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ロマンス・インフェルノ
HLの変人と名高い13王の一人。偏執王アリギュラ。彼女は三度の飯の次に恋バナを好む。
超常人だが、フェムト然り、ある意味で人間味のある人物だ。が、なぜ自分が彼女の家に連行され、こうしてテーブルにつき向かい合っているのか、理解が追い付かなかった。



少し脳内を整理しよう。杏樹・波崎は本日非番だった。それはいい。
冷蔵庫を覗き、ちょうど食料が切れかかっていたから、買い出しに出かけようとして自宅の扉を開けた。すると目の前に広がるのは偏執王の真っピンクの部屋だった。以上。
……思ったより整理することが少なかったなあ。……ははっ。



とまあ現実逃避をしてみるものの、眼前にいるにこにこ笑顔のアリギュラがそれを許さない。
彼女とはドグ&ハマーの件で多少の面識はあったが、二人でお茶をするほど親交はなかった。けれども問答無用で転移させられた理由は見当がつく。それはもううんざりするほど確信めいた予想だった。

「ねえねえ、あなたの恋バナ聞かせてくれない?」



どこからそんな話を耳にしたのか定かではない。とはいえ、面白半分でぽろりと失言する奴は某堕落王だけだろう。

「え〜なになに〜? それってまさに三角関係じゃん! あたしそういうの大好き〜!」

アリギュラのしつこさ、もとい熱心さに白旗を揚げた杏樹はあれこれ洗いざらい吐き出した。
彼女から自分の恋愛事情がライブラに流れる可能性はないだろうと客観的に判断してのことでもある。案の定アリギュラが表情を輝かせる。

「あれでしょ〜スティーブンってあの傷のある色男! で、ザップっていうのはいかにも遊んでそうなチャラ男のことでしょ〜、あ、戦いのセンスはピカイチだったけどぉ」

口調はまるで女子高生のような間延びしたそれだが、彼女の恋愛観は全く真逆であることを杏樹はよく知っていた。

「それで〜? あなたはどっちが好きなの、杏樹? あたしは断然傷男の方をおすすめするわ〜! まあどちらにせよ、恋愛は押して!押して!押しまくって勝ち取るものなのよ〜!!」

後の展開は想像がつくが、ご覧の通り、女子力全開の桃色の部屋でアリギュラからの一方的な恋愛相談が延々と続いただけだった。具体的には、4時間ほど。
ようやく解放されたときには、なぜか当初行く予定だったスーパーの近く、公衆電話ボックスの前に立っていた。
その物理法則を無視した展開にツッコミを入れることはなく、杏樹はただ、もうしばらくショッキングピンクを見たくないと疲れた顔で切実に願った。


▼ 2015/07/21(2015/08/01up,2015/08/10move)

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