B3→total reflection | ナノ


あなたを縁取る運命は何色か
「お前、面白いな」「――は?」
ヘルサレムズ・ロット。公園を歩いていると、通りすがりに声をかけられ振り返る。
どこか既視感のある青いコートにオールバックの金髪の少年だった。血のように赤い双眸とかち合う。
「器は人なのに、中身はまるでビヨンドだ」
深いような出鱈目なような台詞である。記憶を探るが、話しかけられる心当たりがまるでない。自分たちは初対面だ。一体全体、どういうつもりなのか。道行く人々はナンパだとでも思ったのか、いや、そうではなくとも我関せずと通り過ぎてゆく。「はあ、そうですか」生返事をしてしまうのも仕方ない。
「お前とはまたどこかで会いそうな気がするよ」
ニヒルな笑みを浮かべ、彼は背を向け片手をあげた。
「じゃあな、マ・ビシェット」「――ッ?!」
脈絡の掴めない会話に釈然としないながらも、踵を返そうとしたところへ、これだ。その別称で自分を呼ぶものは堕落王と偏執王のたった二人で、彼ら以外に知るものはいないはずだった。全身から血の気が引く。焦燥と危機感に駆られ、再び振り返ったときには、すでに彼の姿はなかった。


▼ マ・ビシェットは「神のいとし子」という意味です。
  2015/06/12(2015/07/13up,2015/07/20move)

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