いないいないもういない
コロシアイが始まった。
互いが互いを疑い合う、疑心暗鬼のゲームが始まった。





ベッドに仰向けになり夜の色に包まれて、茶色い天井を見つめていた。まるで無機物のように思考が働かない。考えることを脳が頑なに拒絶していた。
捻りだして、ようやく木目を数えだすというお粗末な思惟に出たくらいだった。





彼はもういない。

超高校級の御曹司、十神白夜。
プライドが高くて偉そうだけれど、それは上辺だけのものじゃなく、実は誰よりも仲間のことを第一に考えていたわたしたちのリーダー。

彼がいなくなったことを嘆くと、あいつは笑いながらこう言った。

「それはすばらしい絶望だね。でもそれすら乗り越えて行くのが、キミたち超高校級の才能の持ち主だ」

あいつの言うことは極端にねじ曲がっているけれど、正論であることは確かだった。ただわたしは、わたしたちは信じたくないだけだった。結局は彼という屍を踏み台にして生きていくことが、耐えがたいだけだった。

重い、ひどく重いこの心を、ずっと引きずっていかなければならないのか。
その事実を眼前に付きつけられる。今にも叫んで逃げ出してしまいそうな自分を抑えつけて、じっと天井を眺めた。
いっそ、狛枝のように歪んでしまえたら、それこそ楽に違いない。

部屋の灯りを消した静寂の中。瞳を閉じても眠れない夜は、まだまだ続くようだった。


▼ 短めです。それから名前変換なくてすみません……
  でもまあ実際のところ十神くんは十神くんじゃなかったので、結果オーライというところですがね!←
  2013/07/21(2013/08/01up)
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