荒野はまたわたしを殺すのだ 壁の外に出て、昂ぶるままに知性のない独活(うど)を殺す度。そして、ふと我に返る瞬間。 直前までは人間だった亡骸を目にする度。 まるでそれはわたしを責めるかのように、わたしの周りに数多の屍が転がるのだ。 わたしはそれを見て、場の状況を省みず一切のプライドを捨てて地に平伏したくなる。 言いようのないほど強烈な罪悪感が心の中に瞬く間に広がって、己への嫌悪を覚える。嘔吐感すら込み上げてくる。 生理的な涙はもう遥か昔に枯れてしまった。 遠い場所に置いてきた激しい感情が、今では懐かしいものに思えた。 以前は彼らの死にひどく悲しんでいた自分は、それを上辺だけで流すことを学んだ。 もう仲間ではなくなったものを、ただ非情に切り捨てることに躊躇わなくなった。 それは成長したというのか、それとも退行したというのか、わたしには判断がつかないけれど。 しかし今でもずっと変わらないのは。 その亡骸たちは、わたしを何度でも殺すということだ。 またわたしがその殺人を甘んじて受け入れるということだ。 ( 荒野はまたわたしを殺すのだ ) ▼ 感情的に干渉することを我慢した結果、仲間の死を通過点として認識することに慣れた残酷な人間になり果てたことを改めて自覚する夢主。 2013/04/29(2013/05/11up) ←back |