sky blue Q 「空が青い理由ってなんですか?」♂♀ A とある同級生その1 「え、ええ?僕?……うーん……う、海とか地球が青いから?」 A とある同級生その2 「ええと……宇宙から差し込む太陽の光の色がどうとか……そういうのでしょうか?」 A とある同級生その3 「俺その3?!別にいいけどなー、理由?そんなの杏樹の目が青いからに決まってんだろ!(キリッ)」 ――紀田君、君さあ……。 ――ははは!なんだい帝人! ――それで恰好つけてるつもり? ――すごい王道ですね………。 ――……なんか落ち込む。ずーん。 A とある同級生その4 「誠二さんが生きている世界だからですよッ!」 A とある同級生その5 「……俺が『彼女』を探し続け、美香を愛し続ける世界だからだ」 ――きゃーーッ!誠二さん!!大好きですっ! ――あぁ。俺も愛してる。 ――せ、誠二さん………! ――美香……! A とある闇医者 「君の瞳が青いからさッ!」 A とある首無しライダー 「新羅……(呆)。太陽の光の所為じゃないのか?」 ――セルティ!そんな夢のないことをッ! ――ええ?でも事実じゃないか。 ――そうだよ!そうだけどさッ!僕らの未来にはあるよね! ――何が? ――夢だよ夢ッ!ないとは言わせないさマイハニー・マイディアー!ぐふおっ ――ちょっと黙れ。 A とあるワゴン組その1 「……。あー、青っていう色があるからじゃないか?」 A とあるワゴン組その2&その3 「エリオちゃんと友ちゃんの髪と目が青いからっすよ!」 「ねーゆまっち!それってもしかしなくても電波少女と戯言だよね!」 A とあるワゴン組その4 「海が青いから……とか、って答えておけばいいのか?これ」 A とある寿司屋の店員 「オー!杏樹ースシクイネー!」 A とある情報屋の姉妹 「あー!杏樹姉!おひさー!」 「久。目、青」 A とある情報屋の助手 「……さあ。どうでもいいわ」 A とある池袋最強の弟 「……ところで兄さんはなんて答えたのかな?」 A とある池袋最強 「ああ?そんなの空が青いからに決まってんだろうが」 A とある(うざい)情報屋 「そりゃあ、太陽からの光が人間から見て青に見えるからでしょ」 ♂♀ ――池袋、西口公園 夕方 ベンチに座っている杏樹は一通りの質問の答えを記したノートを見て、 「みんなの個性があらわれるなあ……」 苦笑気味にしみじみと呟く。 「杏樹ー帰るよー!」 遠くから聞こえる青年の声に表を上げる。杏樹の想い人でもなければ、ただの知り合いというわけでもない、曖昧な立場の臨也が、ここは池袋だというのに堂々と杏樹のところまで歩いてくる。 幸いにも自動販売機や街灯・ガードレールが飛んでくることはなく。どこにいるのやら、まだ静雄は彼が池袋に来ていることを知らないようだった。 「帰るよー!、ってわたしの家は臨也のマンションじゃないんだよ?」 呆れつつも、ノートを閉じて立ち上がる。 「シズちゃんにも訊いたの、それ」 杏樹の問いには答えずに、どこか不機嫌そうに尋ねてきた臨也に対し「そうだよ」といたって普通に返した。 「……じゃあさ、杏樹にとっての空が青い理由って何なの?」 ちょっとデジャヴなどと思いながら、苦笑して杏樹は口を開く。 「神様が最初につくった色だから」 歩き出す臨也と肩を並べて、新宿への道のりを行く。 夕日が二人を照らしていた。その橙色の光が杏樹の金髪に反射して、きらきらと輝く。 「へえ……。杏樹らしいね」 臨也は興味深そうに相槌を打った。 そして杏樹は、なぜそんな理由に至ったのか説明を始める。 つと、臨也が手を絡めてきた。 驚いて彼のほうを見たけど、逆光で表情がよくわからなかった。 多分、笑っていたような気がする。嘲笑か軽笑か、苦笑か微笑か。それさえも検討がつかなかった。 何も言わずに、杏樹は夕空を振り仰いだ。 向こうの空は、すでに群青色に染まり始めている。 おそらくその反対側は、いまだ青空が残っているのだろう。 もう少し、もう少しだけ、この穏やかな時間が続けばなあ、と思った。 しかしそう思うときに限って、思い通りにはならないのが人生というものだ。 「いーざーやーくーんよぉー!!」 ――予想通りに、池袋最強こと平和島静雄の怒声が聞こえてきた。 ( そらが青いりゆう ) ▼ この話は実は杏樹の過去が絡んできていたのですが……。アップするに至って、その部分はややこしくなるので削りました。 2010/05/04(2011/08/10up,2012/12/27move) ←back |