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漆黒
わたしが知る黒は二つある。
まずは新宿の情報屋こと折原臨也。
もう一人は首無しライダーのセルティ・ストゥルルソン。

どちらも同じ黒だけど、決定的な印象の違いはある。


♂♀


――新宿、某高級マンション 某日


「杏樹ーッ!何考えてるのか知らないけど構ってくれないとお仕置きするよー!」

……………………………………。
とまあ本来はこんなのじゃないのだが、なぜかわたしの前だとキャラがぶっ壊れる臨也。
彼の常は『狂気』『異端』で『脅威』で『恐怖』だ。全てが全部、狂ってる。でも『純粋』。
たまにわからなくなるときがある。
わたしがこいつに対して抱いている気持ち。
あっちがわたしに抱いてる思い。
何が何だか意味不明。
臨也がわたしの前でも歪んだ人間だったらどれだけよかったことか。
こんなことで悩んだりしないのに。

「ねーちょっとぉー」

ソファに座ったまま眉根を寄せていたわたしの隣に臨也が来て、そう言ったかと思えば
いきなり抱きついてきた。

「っ、」
「何もしないってば」

あはは。杏樹は心配性だねえ。

うわあ。今、絶対わたし赤面してる………………。くそう。
顔『だけ』はいいからなこいつめ……。

なんだか負けた気分だ。

いくら歪でも、わたしには裏があるんじゃないかと疑うほどになぜか素直で優しいから、もうわけがわからない。

そんな複雑怪奇な人物が、一人目の漆黒。


♂♀


――池袋、川越沿い某高級マンション リビング 某日


『杏樹、どうかしたのか?』

そんなふうに心配してくれるデュラハンの女性。
唯一無二のわたしの理解者でもある。

出会ったころはまだ人間界に慣れず、どこか距離を置いていたようだったけど、今ではもうすっかりおなじみになっている。そんな新羅の恋人だ。

「ううん。なんでもないよ」

にこりと微笑む(いや別に臨也のことなんて考えてないし)と、セルティはすかさず

『臨也だな』

とPDAを見せる。

「な、………」

絶句して口をパクパクさせるわたし。すると、そこへセルティとお揃いのマグカップを持った新羅がやってきて、PDAを覗き見た。
コーヒーのにおいがあたりに漂う。

「……へえ。またまた。臨也も罪な男だねえ。ま、もともとあいつは存在自体がアレだけど」

そう言うと、いやそれだけで再び書斎に戻って行った。

「……一体何しに来たのよ……」
『さあ?』

『非日常』で『裏側』で『異端』で『異常』な存在。
そのうえで人外という致命的な種族の差があるけれど、でも彼女の感情は人間のそれと全く変わらない。
賢く可愛く、姉のような――そんな人物が二人目の漆黒である。


どちらもわたしが愛する黒なんだ。


( I love You !! Black too ! )


▼ これ実は去年の4月に書いてました;;
  相変わらず文才なくてすみません……!!
  ……それにしても新羅は、本当何をしに来たのやら……。
  2011/07/10(2012/12/27move)
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