正しい生き方
『海勝麟六の御霊を喰えば、全てが終わるのではないか』
最近ひどく、律は思うようになった。
今のままが良い。
今のままでいたい。
それでは、だめなのだろうか。
どうしても、だめなことなのだろうか。
妖艶な女性に変化した因果に幽玄な男性に変化した律が、そう尋ねたとき。
彼女は『御霊を喰うことを辞めた、不良品のあなたになんて言われたくないわ』と吐き捨てた。心の底から嫌悪が滲み出た表情をしていた。
そんな因果に、律はただ、『そうか、』と応えることしかできなかった。
御霊を喰わない者は、『俺たち』ではないのだから。
でも。
それならばなぜ、それならばなぜ因果は、今の状況に甘んじているのだろう。満足しているのだろう。
本当の意味で御霊を喰らうというのは、人を殺すことだ。
今因果がやっていることは、そうではない。
人を殺さない代わりに、真実を喰う。
いつまで、それで我慢できるのだろうか。
いつか、人を喰ってしまわないだろうか。
いつか、新十郎までもを殺してしまわないだろうか。
――否、行きつく先は新十郎の死だ。
おそらく最後には、新十郎が死ぬ。
そんなのはいやだ。そんなのはいやだ、と律は喚く。
どうか殺さないでくれと、心の中で因果に懇願する。
しかし口に出すことはない。
怖いからだ。
因果に拒絶されるかもしれないからだ。
『こんなはずじゃないんだ』
そう言ってしまえばすべてがお終いで。
たとえ頭を抱えたとしても、新十郎、
きみは、生きたいんでしょう?
だったら、因果じゃなくて、
俺に、預けてみないか、
嘆きの唄を唄うのじゃなくて、
嘆きの唄を糧にして、未来を目指してみないか
どうにかするさ
因果なんか、きっとどうにかなる
何が待っているかわからない、何が変わるかもわからない未来へ
闇に紛れて何も見えないかもしれない。
それでも進んでいけばいい。
のんびりとでも、時間をかけて歩いていけば、きっと因果は気まぐれで新十郎を殺すことをやめてしまうだろうから。
▼ い、意味がわからん……←
とにもかくにも、少しだけUN-GOOPをイメージして書いてみました
2013/01/10
←
戻る← | →