お先真っ暗世代
「え、ごめん何言ってるのか聞こえないや」





メカクシ団ほど駄目人間が集まっている集団はいないと思われる。
緑色の元引きこもりがひとり。
白色の現引きこもりがひとり。
灰色のコミュ障がひとり。
赤色のニジオタコミュショーヒキニートがひとり。

モモとヒビヤとカノとコノハ、エネとユズを抜きにしても、駄目人間っぷりが顕著に表れているのはこの四人。一応アイドルとして仕事をしているモモとまだ幼いヒビヤを除く、名前をあげられていないカノたち四人に関しても、はじめに上げた四人より程度は軽くても必ずどこかの部分で駄目人間だった。

こんな寄せ集まりのメンバーで世界を救うなんてたいそうなことができるのかわからない。
というより、きっと彼らには世界を救うという意識はないのだろう。ただそこにものがあったからどけただけ、とかたぶんそういった認識なのだろう。
すっかり定位置となったメカクシ団本部のソファで杏樹は、とんだ大物だよなあと心の中で苦笑う。


「おいカノ!! 俺の服に能力を発動させるな!!」


そして今日もその駄目人間たちは賑わしい。


「え、ごめん何言ってるのか聞こえないや」
「とぼけるな! なっなんなんだこの服は……! フリルばかりついているじゃ……!」
「キド……、フリル、きらい…?」
「ま、マリー……。お、俺がふ、フリルをききき、きらいなわけ……」
「やーやー! みんなのセトくんが帰ってきましたよー!」
「こんにちはー……ってあれ、なんですかこの空気」
「こんにちはー! 杏樹ねーちゃんはー?」
「……疲れたやだ俺もう帰りたい」
「ご主人おもしろーい!」
「シンタロー連れてきたよユズ」
「よくやったコノハ。杏樹と一緒にこの状況をどうにかしてくれ……」


このままやりとりを聞いているだけでも大変面白いけれど、さすがにそれではキドやユズが可哀そうだ。
……ユズ直々に頼まれたことだし、コノハと協力してそろそろみんなをどうにかしなきゃなあ。
小さく笑みをこぼしながら、杏樹もゆっくりとその重い腰を上げたのだった。





こんな駄目人間たちで大丈夫か?
――大丈夫だ。まったく問題ない。


▼ 超絶短くくて申し訳ないです……
  2012/12/24(2012/12/25up)
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