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結んだ約束がまだ綻びていないのならおれはきみに××したい
「なあ、火神、キスしたい」


結んだ約束がまだ綻びていないのならおれはきみに××したい


夏休み。
こっちの大学も休みで、どうやら向こうの大学も長期休暇のようだった。
って言っても、日本ではただの『夏休み』だけど、外国では日本で言う学年が変わる直前の『春休み』ようなものだ。
俺は念願叶ってアメリカにいる火神の所へ旅行に来た。二週間。たった、二週間。本当は夏休み丸々火神の傍にいたかったけど、さすがにそれは課題の問題もあるしきつい。俺は断腸の思いで二週間を選択した。そんなこんなで火神の部屋。ソファに座ってバスケ雑誌を読んでいる火神の傍らで、膝を抱えている俺。

「キスしたい」

無反応だったから、もう一度はっきり言葉に出すと、火神は「は、はあ?!」と動揺して、顔を真っ赤にして応えてくれた。嬉しい。

「それから結婚しよう」

まっすぐに火神の目を見て宣言。
いわゆるプロポーズ的な。

「……んなまた突拍子もない……」

火神は少し呆れ顔になった。

「だって、俺、もう待てない」

膝を抱える腕に力を込めた。
日本でいる一日一日、いや一分一秒でも火神が傍にいないと寂しくて苦しい。
いつでも一緒にいたい。隣でいたい。
ずっと、出会って好きになって恋をして、三年以上待ったのに、待ってるのに。
片思いじゃなくて両思いなのに。
火神が恋しくて愛しくて、死にそう。

「好きだ。火神。愛してる。俺、もう、無理。限界」

声が、震えた。
会えるのは長期休暇のときだけで。
バスケの試合とか頻繁入ってるらしいから、疲れてるんじゃないかって色々考えたりして満足に電話もできない。
下の事情だって、俺、火神がいないときは何もしてない、し。
一人でなんてまっぴらで。火神じゃなきゃ嫌だ。会うたびに、愛しい気持ちが溢れて、火神が隣にいるんだ、触れられるんだという事実を残したくて、身体を繋げる。日本に帰っても火神を感じられるように、たくさんキスマークをねだって強くつけてもらっても、向こうに帰ると数日でなくなってしまう。そんな、切ないのはもう嫌だ。
そんな、身体だけみたいに思える関係、嫌だ。もっと別の、ちゃんとした証。愛しあってるっていう、証が欲しい。

「……ゆず」

泣きそうになる。
膝頭に額を押し付けて、顔を埋めるようにしている俺を、優しく抱きしめる――腕。

「……じゃあ、ゆずが大学四年になる直前の……春休みのときに結婚、しようぜ」

「やだ。待てない」

「おい……」

はあ、とため息をつく火神。
俺はもぞもぞと動いて、火神の両脚に跨って、その首に腕を回す。

「俺は今すぐにでも結婚したいの! 火神のばかやろー!」

反動で腕をきつく締めてしまったらしく、「死ぬ、首絞まる!!」という火神が濁音のついた悲鳴をあげた。

「わかった、わかったから。……あー……じゃ、じゃあクリスマス、とかはどうだ」

ぴく、と体が反応する。
クリスマス。聖なる日。
言われてみればそれは相応しいような気がする。

「ん、それでいい」

とりあえず妥協。
仕方ない。こっちも急だったし。
俺が頷くと、火神は安心したように脱力して今度はため息じゃない息をついた。

「お前って駄々こね始めたら面倒くせえよなー」

「うるさいバカガミ。そんなこと言ってると青峰に浮気するから」

「え゛ッそれ冗談にきこえないからマジでやめてくれ……ださい!」

冗談だよと笑うと、前科ある奴に言われてもなあと言われた。
なんだ、あれは不可抗力だったじゃないか。
俺のせいじゃないし。青峰が悪いんだし。

クリスマス。結婚。
帰ったらみんなに報告しなきゃ。
とにかく俺は嬉しくて嬉しくて、首から腕を放して火神の唇にキスをする。
何度も啄ばむように口付けると、「可愛らしいキスばっかすんな。物足りねえ」と火神が俺の後頭部をがっちり抑えて強引にキスをした。咥内を割って入る舌。絡めあって混ざり合う。頭がぼうっとする浮遊感。行為中の快感にも似たそれがたまらない。お互いを貪るようにキスを繰り返す。俺に限界が近づいてくると、火神がそれを察して唇を離してくれる。何も言わないのに、わかるみたいだ。愛されてるなあ、って実感して、嬉しくなってまたキスをする。
キス魔かよ、と火神が口の中で呟いた気がしたけど、まあ気のせいということにしておく。

とりあえず、嬉しすぎてこれなら死んでもいいと思った。


▼ 短めでバカップルのお話。
  たまにはゆずも甘えたり駄々こねたりします。
  ゆずの青峰との前科といのは、また別の話で詳しく()
  2012/07/29(2012/09/20up)
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