「あーもう! いらいらするなあ!」
「んだよ! 俺なにもしてねえぞ!」
さきほどまでひと時もパソコンから離れなかった指は、現在自分の頭を掻きむしっている。せっかくのさらさらな髪の毛が台無しだ! なんて思ってる余裕もなく、一気に叫んで髪の毛をぐしゃぐしゃにした後は、全身から力が抜けて項垂れる。
「ああ、君じゃないよ。……はあ、なかなか仕事がうまくいかなくてね」
「はー、お前でもそんなことあるんだな」
「しょっちゅうあるよ。ほしい情報があるっていうのになかなか手に入らないし自分の都合に合わないことだっていくらもあるし、今日は特にイライラするの! ちょっと、聞いてよ!」
「はいはい、どうしたどうした」
俺は怒りのままにシズちゃんに今回のイライラの原因を話した。せっかく、休みっていうから朝からうちに来てもらったのに愚痴ばかり聞かされている彼に申し訳にないと思いながらも口が閉じることはない。無意識に内容は漏らさないようにしつつ、イライラを勢いのままにぶつける。ソファーに深く座っているシズちゃんは、嫌な顔一つせず、時折うんうん頷きながら話を聞いてくれている。どんなにキレやすくたって暴力的だって根は優しいんだ。それにイケメンだしスタイルいいし、金髪似合ってるし。……あ、やばいかも。
「終わりか?」
「あ、ああ。まあこんな感じかな」
「少しすっきりした顔になったな。ストレスは発散できたか」
俺の顔を見てニッコリ笑ってくれるシズちゃん。ああやばいやばい。これはやばいぞ。頭がごちゃごちゃしてるせいか、思考はどんどんおかしい方向へと向かっていく。イライラしてるせいで頭は麻痺しているようだった。
「ムラムラする」
「は?」
「マジ意味分かんないシズちゃんがイケメンで優しいから俺は、ちくしょイライラする!!」
「とりあえず落ち着けよ」
俺を宥めるよう静かな声を出すシズちゃんを無視して回転椅子から立ち上がる。そのままソファーへと向かって呆然としているシズちゃんの上へ乗っかって、無駄に大きい声で言った。
「抱いて!!」
「……別に、いいけど、なんでだよ」
「いいから! このイライラを忘れさせて!!」
言っておくが普段俺は絶対にシズちゃんに抱いて! なんて言ったりしない。むしろ抱かれること自体あまりない。もちろん都合が合わないっていうのが大きいけど俺が否定してるから。男なのに突っ込まれる感覚はいつまで経っても慣れないし、乳首触られて感じるとか恥ずかしすぎるし。だから! 嫌なのだけど!
今は場合が違う。このイライラをどうにかしてほしい。そして、今日のシズちゃん妙にかっこいいんだけど。話を聞いてくれて受け止めてくれたことに嬉しさを感じてその優しさにドキドキしてるだけかもしれないけど、なんかかっこいいんだよ!
何度も何度もキスを仕掛けると、舌で俺の咥内を蹂躙してくれて性的興奮が高まる。今日は、声を抑える気もないので存分に出してやる。
「ん、ふ……ん、はぁ……」
「おい、いいのかよ。いつも嫌がるくせに」
「はっ……いいって、言ってんじゃん。早く触って!」
というか今の俺、自棄になってるかもしれない。もうなになんだか分からなくてとりあえずかっこいいシズちゃんに触られたいし、嫌なことを忘れたかった。
蝶ネクタイを取ってバーテン服を脱がせてワイシャツとズボンだけの姿にする。それに合わせるようにしてシズちゃんは片手で俺のインナーをたくし上げてきて、もう片方の手で、乳首をゆっくり撫でてきた。
「ん……優しくしなくていい、から」
「はぁ? なんだよ普段ちょっとでも荒くしたらキレるくせに」
「今日は全部忘れたいの! だから激しくして!!」
「……お前よぉ、そんなこと言ってどうなんのか分かってんのか」
「わかってるし、ひゃっ!」
ならばとでもいうように、遠慮なしに俺の乳首に吸いついてきたシズちゃん。いきなりの刺激に体をびくりと震わしシズちゃんの首に腕を回す。……でもこれじゃあ、まるで胸に顔を押し付けているようだった。
「ふぁ、あ、もっと吸って……!」
「ん……」
わざとらしくじゅるじゅる音を立てて吸われる。さらに舌を突き出してチロチロと舐められればたまらなくなって体から力が抜けてしまう。両手でもっともっと体のいろんなとこを触ってほしいから自分の手で服を抑えると、体を支えられなくなりシズちゃんの肩に顔を埋めた。
「ぁあっ、もっと、さわって……」
「……ほら」
「ひあぁ! 強い、い、痛い、からあ……はぁ、あ、ん… …」
「んなこと言いながら勃たせてるくせに……なあ? 臨也くんよお」
「あ、あ、ああっ……! ふ、んん……」
服越しに股間を押されて高い声が上がる。だから……そういうのはいいから! 顔を上げて睨みつけると、分かってる、とでも言うように軽くキスされ、一気にズボンを脱がされた。
「臨也のちんこはいつ見てもきれいな色してるな」
「い、いから……そんなに見ないで、早く触ってってば……」
「わーってるよ」
すでに先走りがトロトロ垂れてるものを握り込まれて激しく上下に擦られる。ああ、これだよ……こういうのを待ってたんだよ。意識が飛びそうなくらい、頭がごちゃごちゃになるくらい気持ち良くしてほしい。
「はぁ、んんん……! きもちい、シズちゃん、の、手、やばい……」
「おい……言っとくけどお前一人だけ気持ち良くさせるつもりはねーぞ」
「ん……どうすれば……」
反応する間だって惜しまれる。早くしてほしい。服脱げと言われてとりあえずずっと持ち上げていたインナーを脱ぎ捨てると空いた右手をシズちゃんの手により誘導された。それは、奥まったとこで、
「自分で解せよ」
「え、や……」
「気持ち良くなりてえんだろ」
低く、掠れた声で耳元で囁かれれば、腰がひくりと震え、言う通りにするしかなく、自分で指を舐めて一本差し入れる。始めはゆっくりと探るように、二本目をいれて中を開くようにする。やっぱ気持ち悪いかも……しかしシズちゃんが与えてくれる前の感覚に異物感もそこまで気にならない。腹側に指を折り曲げると異物感しかなかった中にピリリと刺激が走った。
「はぁ、ああん、……!!」
「自分のいいとこ見つけたか」
「ぅん……分かんな、あぁあ……や、止まんない、よぉ……!」
シズちゃんに声を掛けられて気付いた。見られてる。自分でしているとこをシズちゃんに。恥ずかしいはずなのに指は止まらず、興奮は増すばかり。
「一瞬だけ、待っとけよ」
指を抜かれて、空っぽになった穴がひくひくと収縮する。前からの手も外され、快楽欲しさに目には涙が滲んできた。縋るようにシズちゃんに目線を寄越すと困った顔をされ、瞼に唇が下りた。落ち着いて一息ついてると、急激な刺激、が
「はっああぁ……! 中、シズちゃぁ……!」
「……あっつ……」
熱い中に、熱いものが入ってきて一気に奥まで貫かれた。小さく漏れるシズちゃんの呻き声がエロくてやばいほどドキドキする。
下から突き上げられるというのは始めてで、深く繋がるのと自分の体重でシズちゃんのものが中に入ってる感覚が気持ち良くて、自然と口から唾液が零れる。目からは溜めきれない涙が溢れて、俺の今の顔はそりゃもうひどいことになってると思う。
「中で、出して、いいか……」
「あ、ああ、ひぅう……」
口から漏れるのは喘ぎばかりで、俺はともかくこくこくと頷いた。シズちゃんも俺も激しく腰を揺すり、しばらくして中に熱いものが注がれた。それとほぼ同時にシズちゃんと俺の腹には、俺の精液が撒き散らされた。
「すっきりしたか」
「自分が恥ずかしくてたまらない」
あれから何度も抜かず続けて、俺が意識を飛ばしてやっと終わった。明るかったはずの外は夕焼けがきれいになっていて、仕事のことを思い出すと頭が痛む。それよりも、正常に戻った俺は自分のしたことを振り返ると、顔を上げることができない。ここはシズちゃんの膝の上なのだけど。
下半身の違和感がなければひやりとした感じもない。後処理をして、服を着せてくれたらしいシズちゃんに不覚にもものすごく胸キュンした。
「とりあえず、腹減った」
「昼も食べてないもんね……いいよ。なんか作るよ」
痛む腰に耐えながらふらふらと立ち上がりキッチンに向かう。シズちゃんに手伝うか。と言われたが断った。恥ずかしくて、顔が見れないし見せたくない。
まあ、仕事より気になることができて結果オーライなのかもしれない。妙に頭が、すっきりしていた。
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