覚悟を決めてズボンの前を開いて俺のすでに先走りを溢れさせているものを両手で包んだ。早くシズちゃんに触ってほしくて上下に激しく擦り上げる……って、いやいや別にシズちゃんに触ってもらいたいわけじゃない。つーかむしろ自分だけでイきますからって感じ。うん。俺はなにを思ってたんだか。この男に触ってもらいたいとか有り得ないからね。
 と、いうことは、だよね。ここにシズちゃんがいる必要なんてないんじゃないの。俺ただ視姦させてるだけなんじゃないの。いやしかしここで「見ないでよ」なんて言っても照れてるだけに思われるんじゃないか。それだけは勘弁。そうだ。俺はどんなことだってこなす。それを見せつけてやるんだった。よし! ヤろう!

「……っは」

 くちゅくちゅと卑猥な音がする。もっと、シズちゃんを煽るようにわざと音を鳴らすように扱く。ああやばい。これエロいな。自分でもぞくぞくする。夢中になってちんこを擦っていると黙っていたシズちゃんがいつもより低く妙に色気のある声で言ってきた。

「おい……まだイきそうじゃねえのかよ」

「ん……もうちょっと」

「早くしろよ!」

「は、はあ!? なんでそこでキレられなきゃいけないの!」

「早く挿れたいからだ」

「キリッすんな! ていうかなんで挿れること決まってんのさ! 俺は挿れされる気なんてないんだけど」

「俺は挿れる気満々だ」

「どうしてそうなった!」

 口論を続けている間に俺のものが萎えそうになってしまい、それはあまりにも情けないというか、ないな。という感じなのでシズちゃんを無視してまた触ることに没頭する。裏筋をなぞったり、先端に爪を立てたりして徐々に自分を追い詰める。

 自慰したことは、あまりない。元からそんなに欲求が強い方じゃないし自慰してる自分を想像するとあまりにも滑稽に思えたからしたくなかったのだ。セックスという行為自体に不潔さを感じる。だって、ねえ! 俺は一生そんなことせずに生きていくんだろうなと思っていた。がしかし、その滑稽なことをシズちゃんの前でして、セックスまがいのことをされそうな予感。俺超逃げて! と思うのだが足が動かないでいた。なんでだし。俺は、シズちゃんにされたいの……?

「そんなことあるわけないから!」

「あ?」

「なんでもないこっちの話。……てか、もう、イきそうかも」

「よし。待ってたぞ臨也」

「別に待ってほしくなかったけど、ね……んん!」

 先走りの量が増えて音も激しくなる。緩急をつけて触るとたまらなく気持ちいい。足が、ガクガク震える。やば……もう、

「シ、ズちゃ……やっ、げんか、い……!」

 自分でも分かる、上擦った声で言ってやればシズちゃんは、俺の手をどかしてシズちゃんの手で俺自身を擦り上げた。予測できない動き、俺とは違う骨ばった大きな手。それだけで興奮してしまって、体がビクビクと跳ねて勢い良く白濁を出した。
 力が抜けて背中からベッドに倒れ込む。余韻で麻痺する身体と整わない息を落ち着ける為、深呼吸を繰り返していると、シズちゃんが覆いかぶさってきて、俺の白濁に汚れた指を見せつけるようにして舐めていた。

「っ……! ちょ、なにして……」

「ん……臨也の精液はどんな味がすんのかなって思ってよ」

 とんでもない奴だ。こいつ、とんだ変態だ。あまりの変態っぷりに顔面蒼白にして引いていると、奴はさらにさらにとんでもないことをしてきた。

「んぐぅっ……!」

 こいつは、シズちゃんは俺の精液がついた指を舐めてさらにそれを俺の口に突っ込んできやがった。最 悪 だ ! 俺の気分はこれ以上ないほどに下がってもはや抵抗することも忘れる。
口の中にある指から青臭い精液の香りが鼻に通ったり、シズちゃんの唾液が俺の唾液と絡んだりで、有り得ないことになっていた。も、ほんと限界……

「よしっ……と」

ちゅぷん、と、指が抜かれて、あろうことかその指は尻の穴に近づいていった。マジ? え、ちょ……マジでちんこ突っ込むつもりなのこの人。思考さえもついていけてなかった。もう、これは未知の世界だ。

「いっ……いててて! 無理無理無理! 無理だからシズちゃん!」

「成せば成る!」

「ならない! っつ――あっ!」

 人差し指一本。それだけでも入らない。入らないはずだったのにぎちぎちと嫌な音を響かせてそれは侵入してきた。嘘……尻の穴に、指、が……。

「このまま二本目もいくか! ……っておい、臨也?」



 そこからのことはまったく覚えてない。ついに俺は気絶したらしい。あまりの非現実に頭はパンクした。身体は感覚を失った。俺は非現実という名の現実から逃げたのだった。



「…………ん……」

「……お、目ぇ覚ましやがったな」

「シズ、ちゃん……?」

「お前、失神したんだぞ。そんなに気持ち良かったか? 人差し指一本いれただけなのに」

「……は、はは……そっ……」

「そ?」

「そんなはずないだろ! このっ……エロに盛んな中二!!」

「は、はあ!?」

 まるでガキだ。もっと上手い言い方はなかったのか。とりあえずこいつになにか言わなければ気が済まなくてガキのような言葉を並べた。失神? 気持ち良くて? ん な わ け な い だ ろ!

「馬鹿! バカバカバカ! 有り得ない! 俺の尻終わった。もう、直視できないっ!」

「自分の尻直視するのは無理だと思うぞ……」

「うるさいっ! ほんと……最悪だよ。男に、しかもシズちゃんに尻掘られるなんて……」

「まだ一本だったけどな。次はちゃんと俺のちんこ挿れるまでは失神するんじゃないぞ」

「すみません次ってなんですか」

 いろいろとフラグを勝手に立てるシズちゃんに対して、俺はどうしたら原形も留めないほどにボキボキに折れるのか思案していた。まあ、まずは次がないことを祈るしかない。
 そんなこんなで一級フラグ建築士シズちゃんと潔癖ボーイの俺は二度とちんこを晒し合うことはしないだろう。まず俺がさせない。と思っていたのだが、……学校という存在は本当に恐ろしいもので、すっかり眼中になかったそこはとんでもないことを企画しやがった。

「宿泊……行事?」

 ガラガラガラガラ、俺の中で世界が崩壊する音が、した。







1011082150



まだ続くのであった。







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