そして、誘惑されるままに俺は臨也と一緒にすぐ側にあったラブホに入った。
 中に店員らしき奴はいなかった。臨也は慣れた手つきで機械を操作して出てきた紙を取って、歩きだした。

「なあ、今なにしたんだ」

「ん? 部屋取ったんだよ。ちなみに3時間コースにしといたから」

「あ、ああ……」


てか、マジなのかよこれ。ふざけとかじゃなくてマジでヤるのかよ。進む足が遅くなる。ここで流されて俺の人生は曲がってしまっていいのか。いや、DVD見ながら抜いた時点で曲がってるけどよ……

「なあ臨也、やっぱり俺……」

「あ、エレベーター来た。乗ろ?」

ニコニコ笑った顔とは別に荒い手つきで腕を引っ張られエレベーターの中に入れられた。

「なっ……おい!」

「ここまで来て、やめるとかなしだよ?」

壁に押しつけられ、臨也が至近距離で話す。端整な顔が目の前にあって、赤い瞳で見つめられて胸が高鳴った。なんだこれ、やべえ、流される。

「……ね? シズちゃんは、横たわってればいいから」

チン 目的の階に着いたことをエレベーターが伝える。臨也は先に降りて、今度は俺の腕を引っ張って来なかった。帰ろうと思えば帰れる。けど、着いて行ってしまった。



「シズちゃんシャワー浴びてきて。俺は今日の感想とかブログに書いたりしてるから」

「なあ、マジ……なのか?」

「いまさらそんなこと聞かないでよ。分かってるんでしょ」

「…………マジかよ」

「とりあえず早くシャワー浴びなよ。3時間しかないんだから」

背中を押され、シャワールームへと無理矢理入れられた。仕方なしに服を脱いで浴びることにした。どうすんだよ……マジだぞマジ。戻れねえぞ。シャワーの細い水音が響く。頭の中ではたくさんの意見が出ていて、それでも念入りに身体を洗ってしまうのは、やっぱり、期待してるからだろう。だってあんなにエロい奴に誘惑されてんだぞ! 期待しないっつーのが無理な話しだろ。ああもう……身体があちい。



「おかえりー。ずいぶん長かったね」

「……そうか? お前は、その……」

「うん。俺も今入る。静雄くんラブホとか初めてでしょー? いろいろ見て待ってなよ」

「ああ……うん」

いろいろってなんだ? 臨也がシャワールームに入って言ったのを見てから、俺はベッドの横にある引き出しを開けてみた。

「んなっ……!」

そこにあったのは、ローション、コンドーム。さらには初めて目にするものが入っていた。

「なんだこれ……」

その一つを手に取ってまじまじと見てみる。これは……男性器と形が似ていた。てかモロそれだ。こんなの何に使うんだよ。また元の場所に戻して引き出しを閉じた。意味分かんねえよ。次に部屋をよく見回してみたら窓がなかった。明かりは落ち着いた色で、普通の空間より薄暗かった。ベッド、引き出し、それ以外にはなにも目立つものはなにもない。

「静雄くーん、上がったよ」

臨也がシャワールームから出てきて思わず立ち上がった。俺は元から着ていた白のワイシャツにジーパンをまた着たが臨也はホテルに用意されていたバスローブを着ていた。

「さて、と。時間もないことだし、早速始めちゃう?」

「い、いや、俺は、その……」

「緊張しなくていいよ。まず、横たわって」

立ったばかりだというのに、臨也に押し倒された。胸元に色づくそれが見えて自分の顔が赤くなったのが分かる。やべ……。

「まずは、なにしようか」

臨也の顔も心なしか赤くなっているように見えて、ありえないほどドキドキした。







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