もうホント有り得ない。どういうことかシズちゃんは生意気にも社員旅行に行っている。借金取りで社員旅行? 俺は大爆笑したが本当に行ってしまった。なんで社員旅行とかいうイベントを作ったのか、意味不明すぎる。
今日は土曜日。いつも週末シズちゃんが泊まりに来ていたのだが社員旅行は昨日からで、もちろんのこと来ることはなかった。一人は淋しいな。かといって誰かほかに誘う相手なんていないし……淋しいな。もう今日は風呂に入って早く寝てしまおう。そう思いバスルーム向かった。
「あれ……?」
洗面所に入ってそこで見つけたもの。洗濯物の中に混じる俺が着るには明らかに大きいワイシャツ。あれはシズちゃんのだ。
ああそういえば前来た時に汗びっしょりで置いてってそのままにしてたんだっけな。しばらく洗濯してなかったから忘れてた。……ああイライラする。あいつ何様? 俺の家に汗くさいワイシャツ置いてくなんて。捨ててやる。手に取ってごみ箱へ投入しようとした。が、ちくしょう手が止まってしまう。小さくため息をもらしてそれを地面に叩きつけた。
「……」
その時。ふわりと煙草の匂いがして一気に懐かしい気持ちになった。最後に会った日は先週なのにそんなアホな。しかし俺はそれを拾って鼻に押しつけた。吸い込むと身体中に届くシズちゃんの香り。あ、なんかやばいかも。匂いを嗅ぎながら片手でズボンのベルトを外す。
「ぅ……」
なんだこれ、やばい。すでに少し反応していた自身を扱きながら思う。俺は、欲情したのか。シズちゃんの匂いに
ここが洗面所ということも忘れて足から力が抜けていくのを感じ、ガクリと地面に崩れた。
「ふ、ぁあ、シ、ズちゃ……」
自然と名前を呼び手を早める。でも、どんなに擦ってもなかなかイけない。
「あ、ゃ、ああ、なんでっ」
先端の窪みに爪を立ててみる。先走りは溢れてくるのに刺激が足りない。シズちゃんの匂いを嗅ぐ度に身体に電流が走ったようになりイきそうになるのに、あと少しなのに。
「ゃ、もう……やだ、」
つま先に引っ掛かっていたズボンを完全に脱いでそのポケットの中を探る。あった……。縋るような気持ちで電話帳を開いて掛けた。早く、早く出て。
プルルル プルルル 出ない。ふざけんなバカ! しかし切らずに出てくれるのを待った。そしたらしばらくして少し篭ったような声が聞こえた。
「臨也……?」
「ぁ、ぅあああ……!」
そしてその声を聞いた瞬間、イってしまった俺。はあはあと荒い息をついていると焦ったような動揺したような声が伝わってきた。
「なっ……お前なにし……あ、すんません、ちょっと席外します……」
電話越しになにやら話し声が聞こえる。飲み会の途中だったのだろうか。やがてがやがやとしていた雑音は消え、シズちゃんだけの声がよく聞こえるようになった。
「え、と……お前、なにしてんだよ」
「……シズちゃんが、悪いんだ」
「は、はあ!? 意味分かんねーし。つーかマジ俺のいないとこでなにやってんだよ!」
「……シズちゃんがいないから、はぁ……ねえ、セックスしよ」
「は、なに言って……」
「俺、今下はなんにも着てない。上はインナー一枚。一回、イっちゃった……あとはシズちゃんの好きにして」
「お、い。ちょっと待てよ。俺は今、」
「早く。我慢できない」
「っ……あーもう! ふざけんな! バカ。……いいか、指示するぞ」
「うん。まず……どうすればいい」
「……上、脱げ」
「ん……」
携帯の音量を上げて近くに置いた。
言われた通りインナーを脱ぎ捨てる。
「脱いだよ」
「次は、ローション、あるか?」
「ん……ない」
「じゃあ精液でいい。それ使って指いれろ。一本だぞ」
「分かった……」
寝転がり腰を浮かせる。晒されたひくつく蕾に精液を絡めた中指をつぷりといれた。
「ん……ね、動かして」
「まだゆっくり、動かせ」
「うん……ぁ、ふぅ……」
軽く抜き差しを繰り返す。もどかしくて腰を揺らすとすかさずシズちゃんからの言葉が入った。
「腰……揺れてるよな」
なんで分かったんだ。そんなことを言う余裕もなく指と腰を動かして快楽を求めた。
「次、人差し指と薬指、いれて好きなように動かせよ」
「ん、ぁ、ああ、指、入ってくる。シズちゃぁ……あ、もっと奥っ、」
「気持ちいい? 臨也は、ここ好きだよな」
「あ、そこ……前立腺、ぅあ……きもちいい、し、しぅちゃん、もっとぉ!」
「はっ……すっげ締め付けてくる」
周りから見たらこの行為はなんて滑稽なんだろうか。電話越しにも関わらずまるで俺はシズちゃんに犯されてる気になって、シズちゃんは俺を犯している気になっている。でも、俺は本当に犯されてるみたいでやばいほど気持ちいい。
「挿れるぞ……。なんか代わりになるもんあるか」
「ぁ、待って、今風呂場に……」
携帯を取り震える足を無理矢理立たせてバスルームに入る。そして、右手でそこに設置してあるシャワーを手に取った。
「いい、よ。挿れて……」
「……ほら、」
俺はシャワーヘッドをずぶずぶと中にいれていく。キツい……でも、シズちゃんのだと思えば興奮してどんどん奥にいれた。
「あ、あ、おっき……しずちゃんの、はいってくるっ……」
「はぁ……お前ん中、あったかくて、気持ちいい、な」
「あ、そんな激し、無理……! ああ! おかしく、なるっ」
壁に頭をくっつけて、何度も何度もぐちゅぐちゅと同じ動きをする。前立腺を押すようにぐいぐい擦れば身体が浮いたような感覚がして、自身からは白濁が溢れていた。
「あ、あ……イった、シズちゃ、イったよ」
「ん……俺、も」
イった余韻で麻痺がとまらなくてびくびくとしてしまう。耳元に聞こえるシズちゃんの声に目を瞑っていればまるですぐ近くにいてくれてるような錯覚に陥った。でも一人なのは変わりなくて、熱が冷めた頃にシャワーヘッドを抜いて風呂場にへたりこんだ。
「シズちゃ、ん、早く、帰ってきてね」
「ああ……帰ったら、すぐお前んとこ行くから」
「うん。待ってる……」
電話を切って、風呂場を出る。着替える気力もないのでバスタオルを腰に巻きつけてから壁沿いに歩いて自室へと向かった。
ベッドにダイブして、目を閉じてそういえばと思った。電話でシズちゃんから、なんだか荒い息が聞こえていたが彼もあっちで一人シていたのだろうか。そう思うと疲れきったはずの身体がまた、熱くなった。早く帰ってきて俺を抱きしめてキスして、シズちゃんの手に翻弄されたい。
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