「ん……」

あれ、固い。意識が浮上してきて、俺は現在新宿のカフェにいることを思い出した。机に突っ伏したままで、いまいち状況把握ができないが、なんだか違和感が……

「ん? ……」

そこではっきりとしてきた感覚。頭に手がのってる。ていうか撫でられてる。誰だ!? がばりと起き上がろうとしたら、を物凄い力で頭を机に押し付けられた。

「って!」

「臨也」

え、この声……。はっとなって硬直した。シズちゃんがなんで隣に座って俺の頭撫でてるの。

「いいか、俺の話しを聞け」

「……はぁ」

なになになんで。よく分からなくて抜けた返事をした。というか頭抑えられてて動けないから。

「……ニュース見たぞ」

「そ、か」

それで、なに? でもやっぱり無理ですごめん? やだわざわざそんなこと言いに新宿まで来たの。てか、なんで俺がここにいるって分かったの。そもそも今何時なんだ。分からないことばかりだ。

「お前が仕向けたんだろ?」

「……うん」

なんで知ってる。俺さっきから返事しかしてないんだけど。

「なんて言えばいいか、分かんねーんだけどよ」

「うん?」

「ここで今思ってること言ったら、俺都合のいい奴じゃねーか」

「え、ち、ちょっと、とりあえずシズちゃん、手どけて」

「いや無理。目合わせらんねえから。お前は俺の話しを聞いてろ」

「いやいやいや、力強すぎ。話し聞く前に意識飛んでっちゃう」

「構わねえ」

「ええええええ」

だってやだよ。シズちゃんの表情見ないと全然分かんない。どんなこと考えてるとか、どんな目で俺を見てるとか。それが分かんないからすごく不安だ。

「あいつらがいなくなったって知ってよ……喜んじまった。これでまた臨也と一緒にいれるとか。俺から突き放しといてこんなのずりぃよなって。分かってるけど、ごめん。また付き合ってくれ」

「…………」

今、なんて言った?

「……臨也」

付き合ってくれって、シズちゃんが俺に、言った?

「なんで、」

「え?」

「なんで謝んの」

シズちゃんは俺の予想外のことばかりする。本当に。なかなか俺が思ってる方向には進まない。けれどそれはいい意味で。

「手、どけて」

「あ、ああ」

そっと離れていった手を感じてゆっくりと頭を上げた。

「……謝る必要なんてないよ」

「臨也、お前……」

ここがカフェだということも忘れて。俺は隣のシズちゃんに向き直り両手を握った。

「俺、頑張ったんだよ。またシズちゃんと付き合えるように、奴らを消す方法探しまくって。でもいざ全部が終わったところで、シズちゃんに話す勇気もなかったし。もう無理かなって思ってた」

「…………」

「だけど、シズちゃんが、そう言ってくれて良かったあ」

「っ……なに泣いてんだよっ」

ガバッと抱き着かれてシズちゃんの胸に顔が当たる。そこがら水分がじわじわと拡がっていく感じがして、泣いてることを自覚した。

「好きだ……」

「俺も、大好き」

泣いてるけど、満面に笑ってシズちゃんの背中に腕を回してお互い強く強く抱き合った。

「臨也……明日さ」

「ん?」

「一緒に出掛けねえ?」

夏休みも終わりに近付いてると言ったがよくよく考えたら明日は学校だった。それに気づいても構わず頷き、明日は二人で出掛けることになった。







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あと少しで終わります




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