静雄視点



「きたっ……!」

あれから数十分後、俺の携帯が光った。しばらく待機ということで近くのファーストフードにいたのだが、全然落ち着かなかった。
待っている間、開いたままのディスプレイはなかなか光ることがなく、イライラが増していた。もう探してやる。そう思っていたところでこれだ。

「おいてめえ臨也どこにやった!」

「静雄くんいきなりそれは……」

イライラを隠しもせず問い掛けると相手が鼻で笑う気配がした。

「折原は池袋の東方面にある倉庫にいる」

「無事なんだろうな!」

反応はなくて、電話口からは切れた音が断続的にしていた。


「行くぞ」

俺は席を立って外へ走り出す。新羅と門田も後ろからついて来た。
東方面の倉庫といったら一つしかねえ。ちょっと遠いが、手段を考えてる余裕なんてなかった。


「なあ……門田、新羅」

「ん? なに?」

「お前らよ、来ない方がいいんじゃねーか」

走ってる途中、俺は二人に言う。俺には規格外の力があるからともかくとして、門田と新羅は普通の人間だ。相手はプロ。それじゃあ危ない目に遭うことは分かっている。

「僕らはいかないよ」

「あっ?」

新羅の言葉に門田が驚いたような声を出す。俺もさすがに驚き、振り返って新羅を見たらまさかとでも言うような顔をしていた。

「だってもし死んだりしたらセルティに会えないし! 近くまで送るだけ。ね、門田くん」

「いや俺は……」

「いいって。俺と臨也の問題だし」

そして俺は二人に手を振り、走る速度を上げた。

「じゃあな」

電話があってから約10分。この短時間の間で臨也になにかあったとしたら……ヒヤヒヤした。はあっと大きく息をつき、大きな倉庫の前に着いた。シャッターは半分開いていて、俺はそこをくぐって中に入った。


「来たな。平和島静雄」

真っ暗な奥から、一人の男が出てきた。直感で気づく。こいつがあの時、レインボーブリッジにいた奴だ。と

「臨也は」

「生きてるぞ。この奥の部屋にいる」

その言葉を聞き、俺は男を無視して奥へ走ろうとしたがそこで違和感……というか嫌な気配がした。

「まあそう焦るんじゃねーよ」

よくよく見回せば、俺の周りにはバットやらナイフやらを持った奴らがざっと30人いた。

「てめえらに構ってる暇はねえんだよ!」

「シズちゃん!」

力づくで通ろうとしたが、広い倉庫に響き渡った臨也の声で俺の動きは止まった。

「臨也っ!?」

声のした方を向くと、そこには身体を縄でぐるぐる巻きにされた臨也が何人かの男に囲まれていた。その中の一人には首元にナイフを突き立てられている。

「なっ……臨也を離しやがれ!」

「お前が暴れなかったらな」

代表的な男の言葉を合図に、そこらへんにいた奴らが一気に俺に襲いかかってきた。俺は、反応することができなかった。

「シズちゃん!」

臨也の声が、耳に残る。







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