新羅視点



「あ、いたいた。あの二人ってそうじゃない?」

朝、4時46分という無駄に早い時間に目が覚めてしまった。窓を開けて外を見下したら、道路を渡る静雄くんと臨也の姿が見えて僕の頭には疑問符が浮かんだ。昨日までどことなくぎこちなかった二人が一緒に朝から何をしてんだ。と。
 これは後をつけるしかない。そう思いすやすやと眠る門田くんをたたき起こして僕たちも揃って外へ出た。

「な、なんだよ!」

「いいからついて着て。えーと、こっちかな?」

門田くんの腕を引っ張って臨也達が行ったと思われる方向へ走る。道路を渡って左へ曲がり、しばらく走っていると海に出た。砂浜に足を着き、門田くんの腕を放して歩く。

「うーん、この辺だと思うんだけどなあ」

「おい岸谷。意味分からない」

「静雄くんと臨也がいるはずなんだよー」

「は? なんで? あの二人、微妙な空気だったじゃねーか」

「うーん。僕もそう思ってたんだけどね、あれは一夜を共に過ごしてなにかがあったな」

「なにかって……」

門田くんが口に手を当てる。ああ分かるさ君の気持ち。友人があんなことやこんなことをしてる姿を想像をするのは辛い。非常に辛い。門田くんの反応に苦笑いしてから、海を見たらそこには見慣れた影があった。

 そして、冒頭に至る。

「ん? あーそうだな。でもなんで服のままでしかも臨也は姫さま抱っこ……なんでもない」

自分で言ってその意味が分かってしまったのか、青ざめている。

「あんなとこで立ち止まってなにしてんだろう」

少し進んで斜めの角度から二人を見たら

「……」

「……帰るぞ岸谷」

そこで二人は、キスをしていた。門田くんは見てはいけないものを見てしまったようにパッと目を逸らし僕の頭を掴んだ。

「えーもうちょっと見てよーよ」

なんか、あんなに長くキスして息苦しくないのかなって思った。じゃなくて、良かったって思った。

「とりあえず行こうか」

「え? おい!」

波打際まで行って、僕は叫んだ。

「いちゃいちゃするなー!!」

「は……?」

追い掛けてきた門田くんがポカーンとしている。静雄くんと臨也も口を離して驚いたようにキョロキョロと辺りを見回し、やがて僕たちを見つけて顔をしかめた。

「なんでここにいるわけー?」

臨也が睨むようにして叫び返してきたので僕もまた叫んだ。

「とりあえず上がってきなよー」

臨也は頷いて静雄くんに動きを足していたが……静雄くんは歩き出さないどころかこっちも向かなかった。

「シズちゃん?」

怪訝な顔をして問われたことに対し、反応もせず、固まっている。

「見られた……」

「……シズちゃん?」

「見られた……新羅てめえぇえ!!」

そしていきなり振り向いたと思ったら、怒鳴り出して僕目掛けて走って来た。

「え、なんで僕。えええー!」

「シズちゃ、ちょ、いきなり走らないで……振動が腰に響く……!」

「あ、わり……!」

「お前ら、腰って……」

あわてふためく二人とまたまた青ざめてる門田くん。まったく、前途多難だ。







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