「ん……ねむ……」
深夜。ていうか早朝まで眠れなかった。目覚めた今は7時だから一時間くらいしか眠れてない。そりゃもう頭がもわもわする。
グダグダと考えてしまっていたんだ。今日のことを。シズちゃん来るのかな。とか来たら来たでどうすればいいのかとか。
起き上がって支度をする。無駄に髪を整えているのに気付いて、何してんだ。とぐしゃぐしゃにした。
「あ、やばい」
そうこうしている内にも時間はどんどん過ぎて。電車に乗り遅れてしまう。俺は家を飛び出した。
ギリギリ学校に着いた。ドキドキしながら3組の教室に入った。
「……あ」
シズちゃんは、いた。
教卓の真ん前の席で頬杖をついて座っていた。
「……これって、席自由?」
夜のうちにシュミレーションは何度もした。だが、現実それは全く意味を成さないものとなって、動揺に上擦ったで彼に聞いた。彼は、フイ と視線を逸らしてポソリと呟いた。
「……多分」
「、そっか。ありがと」
反応してくれただけで良かったのだが、ギクリとしてしまう。言葉を交わすことなんて、ずっと、全然なかった。
俺はぎこちなく歩いて後ろから二番目の自分の席に座った。シズちゃんの背中が、よく見える。教室の空気は重いように感じた。それを吹き飛ばすように開け放した窓からは生温い風が吹いた。
「授業始めるぞー」
さらには先生が入ってきて、教室内は補習。の空気になった。元から真面目にやる気がない俺はプリントを解くフリをして視線は彼の背中に固定だった。
一生懸命問題を解いている。時々考えるような素振りを見せたり、投げやりになったり。見ていて飽きなかった。
「折原、できたのか?」
「あ、まだです」
せっかく集中してたのに。渋々と問題を解く。簡単だ。簡単すぎる。俺は頭がいいんだ。ただサボってただけ。
しばらくペンを走らせる音だけが響いた。
「答え合わせするぞ」
先生が黒板につらつらと解答を書いていく。もちろんのこと、俺は全問正解だった。
彼は、いい出来ではなかったようで不機嫌な様子だった。あれくらいの問題を解けないだなんて、本物の馬鹿なんだな。と思ってしまった。思うだけだ。口に出せたらいいのに。彼から俺の姿は見えてないから、俺の様子なんて、全然知らないんだろうな。
いやしかし、こうして彼を見つめていると、一緒にいた時間は三ヶ月前なのに、とても昔のことのように思えた。
「じゃあプリント出して、解散」
どうやら先生の長ったらしい話は終わったようで、解散の号令が入る。
彼は先生にプリントを手渡してさっさと教室を出てった。俺はそれを追うことができずに、のろのろと立ち上がってゆっくりと行動した。
まあ、一言でも話せただけいい。それだけで今日は満足だった。
でもやっぱり物足りなかった。
1008052241
|