俺は学校を早退した。

ドタチンに軽く礼を言ってから授業中の教室に荷物を取りに行き、そのまま学校を後にした。新羅にはメールする。とだけ言っといた。



「疲れた……」

家に着いてから、俺はソファーに沈んだ。まだ9時30分なのでもちろん家には俺しかいない。
沈黙の中、考える。本当の本当にもう終わったんだな、と。 これからどうしようか。学校内ですれ違うこともあれば、クラスが隣なので合同で授業を受けることもある。そんな中彼と一緒にいて俺はやっていけるのだろうか。



「平和島」

「……え、と。ああ、門田」

それと同時刻、教室に戻ったシズちゃんは同じく教室に戻ったドタチンと話していた。

「体は平気か?」

「ああ。迷惑掛けたな」

「いや。……どうした?」

「え?」

「なんか抜けてるぞ」

「…………」

重たい。シズちゃんの心は重圧に支配されていた。重すぎて頭がうまく回らず、ただ呆然としながらも浮かぶのは、シズちゃんを突き放した時の俺の顔だった。それと、言葉。

「あのよ、門田」

「ん? なんだ」

「隣のクラスの折原って奴、知ってるか?」

「……いや、よく知らねえな。名前くらいしか……」

「そうか」

シズちゃんはドタチンと目を合わせず、机に肘をつき、窓から外を眺めていた。

「そいつがどうかしたのか?」

「……なんか、……なんでもねえ」

ドタチンに話したって、どうにもなるわけでもないし、自分としても話す気にはなれなかったらしく、口を止めた。臨也は、こんなに悩むことがなく清々しているのだろう。そんな虚しいことを思って眉をひそめた。

俺はそんなシズちゃんのことを知るはずもなく気づけば眠っていた。
やることがないから寝る。なんてことは今までなかった。そもそもやることがないなんてことはなかった。
今だって実際やらなければならないことはたくさんあるのだが、やる気が出ない。

12時くらいに目が覚め、携帯を見るとメールが一件きていた。新羅からだ。

「……なんだよ」

その内容は、ただの愚痴だった。『臨也、君早退届け出さないで帰っただろ。君がしっかりしないで怒られるのは僕なんだ。僕の身にもなってくれ』だと。返信する必要ないな。と決めつけ携帯をその辺に投げた。

明日学校に行くのが憂鬱でたまらなかった。







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