ナッシュのマントとドルベ、時々ミザエル

※not女体化ですがドルベに女性器がある仕様


 ナッシュの玉座に座り、彼のマントを抱いてドルベはもう一度、瞳を閉じる。鼻腔に広がる彼の香り。それはドルベをひどく安心させた。
 マント、そしてバリアラピスはナッシュが消える前に残したもの。すがるようにそれに彼の在りかを求めた。心の隙間を埋めるように深く顔を埋める。

「んっ…………っ……」

 手が自然に股の間へと向かう。ドルベの欲望に従って現れた割れ目。ナッシュの猛った欲望を何度も受け入れたそこは今、居ない彼を求めてヒクヒクと疼いていた。
 ナッシュの残り香を嗅ぎながら指を纏めて出し入れしてやれば、彼に抱かれている幻覚を呼び起こす。愛しい腕に抱かれ、愛しい眼に見つめられ、愛しい声に名を呼ばれ、愛しい香りに導かれ…………そう、ドルべは今、ナッシュに抱かれているのだ。自然に指の動きが早まる。

「あァッ……そん、なッ……っあ、あっ…ナッシュ……!」

 玉座で一人乱れる影をじっと見つめる別の影があった。
 仮面のようなその顔は一見平時と変わらないように見える。しかし、その眼を見れば溢れ出る感情を抑えることに努めている様子が窺える。拳を握る彼のその心に宿る感情は憐れみか、嫉妬か。
 ミザエルは知っている。皆の前で平静を装う彼がこうやってたまに人知れず乱れている姿を。この世界に居ないナッシュを今なお求め愛している事実を。
 自分は今一番彼の近くにいる。そして一番彼の支えになっている筈だった。心も、時には身体も。だが生気の宿らない虚ろな瞳は自分を映しながらもどこか遠くを見ていることがある。
 彼と自分はどちらも同じ思いを抱えている。だが、共通点を有してもそのベクトルは互いに向き合うことなく何時までも一方通行なのだ。

 やり場のない思いをもて余しながらも、ミザエルは乱れ続ける彼から眼を逸らすことができずただその場に立ち尽くすのだった。

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