お酒はほどほどにね!

※未成年飲酒、(Wの)キャラ崩壊注意
本番はないです。そしてあまりえろくはない


「ふんっ……ふ……んん……」

「………」

 なぜ、こんなことになっているのだろうか。片桐はどうにもならない下半身を持て余しながら、はあと息を吐いた。
 明日はせっかく休みなんだから、と興味本意に未成年の彼に酒を飲ませたのがいけなかったのか?それとも酔った勢いで元彼女の話を持ち出してしまったからか?彼と話している最中にマネージャーから来た電話にうっかり出てしまったことが原因だったのだろうか?

 どうしてそうなったのかは悩むところであるが、気づけば半裸という中途半端な状態で彼はソファーに座る片桐の前にひざまづき、一心に奉仕をしている。

「かたぎりさぁん……きもちい…?」

 舌を出してちろちろと亀頭を舐めながら濡れた紅い瞳が片桐を見上げている。傷が付いた顔に似合わないその上目遣いも、普段低い声が切なく自分の名前を呼ぶのも、今の片桐にとっては心臓にも股間にも悪かった。頬は先程うっかり飲んでしまった酒(とは言ってもそんなに量は多くないのだが)のせいで紅く上気しており、一層妖艶に彼を仕立て上げている。
 知らなかったのだ。彼がこんなにも甘えたがりだったとは。表舞台ではヒーローのような彼が、こんなにも誰かに依存する少年だったとは。

「ははっ…W君、もうその辺にしといてくれないと、っ……出ちゃうよ……」

 脂汗を拭い、荒い息を隠しながら強がって笑ってみせる。 しかしWは首を振って、片桐を離すどころかますますがばりとくわえこんだ。口で扱き、先端をちゅうちゅうと吸われて思わず快感に顔を歪める。更に根元を手入れされた綺麗な指で擦られるともう駄目だった。喉の奥できゅうっと締め付けられ、片桐は一声呻くとあっけなく達した。自慰もご無沙汰だったもので、量といい勢いといい、彼には強かったようだ。ケホケホと噎せながらWはようやく片桐を解放した。

「ああ、ああ、もう。ほら、吐き出して」

「んーん、や。ぜんぶ飲む…」

 片桐の静止も聞かずに眼を閉じてきゅっと眉を寄せ、Wは喉を鳴らして片桐の出した精液を飲み込んだ。あっけにとられる片桐と対照に、にへら、と顔全体を緩ませて破顔する。

「おいしかったぁ」

「そんなわけないだろう…」

 今まで付き合った彼女は一人も飲んだことがないというのに、彼は同性の精液をどうしてこうも嬉々として飲めるのだろうか。
 Wは立ち上がったかと思うと片桐に半ば飛び付くように抱きついてすりすりと頬擦りした。はあぁー、と酒臭い息が盛大に片桐の顔にかかる。

「えへへ、かたぎりさんすきすきー。おれのものだぁー」

「W君、酔いすぎだよ。もう寝よう、な。そうしよう!」

「やだぁ、おれまだ、ねむくないもん…。かたぎりさん、おふろはいろ?えっちなことしたいなあ…」

 彼がもし犬だったとするならば、狂うほどに尻尾を振っていることだろう。酔っている彼はもう正常な思考がもう出来ていないようで、普段の姿からは想像もつかないような言葉が次々と飛び出してくる。しかも、若干呂律が回っていない。勘弁してくれ、と思いながらもそんな彼を邪険にできないのは、自分が相当この後輩に入れ込んでいるからだろうか。

「ふ…W君…」

「かたぎりさん、…おれのこと、すき?」

 ふいに、Wが片桐から顔を上げて尋ねた。かくんと小首を傾げて可愛らしく、大きな眼をぱちくりさせている。ああ、もう。これは計算ではなく天然なのだろうか。だとしたら人を堕落させる悪魔が乗り移っているに違いない。普段悪魔のようなモンスターを使役する彼だが、その主人もまた悪魔だったというわけだ。

「かたぎりさぁん……」

 大きな眼がどんどんと光を増し、今にも泣き出してしまいそうにうるうると揺らめいていく。今までに見たことのない表情だった。

 酒は人の本性を顕にするという。これがWの本性だとするならば、さしずめ人からの愛情に飢えているというところだろうか。何があったのかは片桐の知るところではないが、おそらく彼は甘えたい盛りの時に甘えることができなかったのだろう。
 それを普段、必死に強がりの仮面で、覆い隠しているとしたら?プロデュエリストは皆に喜びを与えるヒーローでなければならない。ヒーローは勝ち続けなければならない。皆を笑顔にするために。故に、強くあらねばならない。弱さを誰かに見せることは許されない。ヒーローとは、常に孤独な存在である。
 そんな過酷な世界で健気に前を向くWを支えようと思ったのは片桐自身だ。彼がヒーローの仮面を脱いで「人間」でいられる場所になろうと、彼を守ろうと思って手を差しのべた。そんな彼が今、精一杯片桐に手を伸ばしている。それを取ってやらぬことがどうしてできようか。
 片桐はWが先程したように、その身体をぎゅっと抱き締めた。片桐より一回り小さくて、少年らしくほっそりとしている。

「好きだよ、W君。大好き」

「…えへへ!」

 息たっぷりにそう言ってやればWは満足したように笑って首に腕を回してきたから、片桐は彼を抱き締める腕を強める。しばらくそうして抱き合っていると、隣からすうすうと寝息が聞こえた。やっと寝たか、とクスリと笑って、抱え上げて寝室へと連れていく。
 シーツの海に横たわる彼は気持ち良さそうに眠っている。どんな夢を見ているのか口元にうっすらと微笑みを作りふにゃりとした寝顔は、年齢よりも少し幼げに見えた。
 おやすみ、とぽんぽん頭を撫でて立ち去ろうと背を向けた途端、手がぎゅっと握り込まれていることに気がついた。 離そうとすると彼は赤子のようにぐずる。なんとまあ大きな赤ん坊を相手にしているようだと笑い、仕方なく片桐はWの隣に潜り込んだ。人肌に安心したのか、Wは再び安心したような顔を見せて片桐に擦り寄った。

「おやすみ、W君」

 やらなければならないことがあったような気がしたが、彼の寝顔を見ているとどうでもよくなった。明日にすればいい。片桐はWの背中に腕を回し、額にそっと口づけた。


「ってぇー…」

 朝、隣で呻き声のようなものが聞こえて眼を覚ました。隣をふと見遣ると、Wが起き上がった状態で額を押さえてあーだのうーだのと呻いていた。二日酔いに苛まれているらしい。

「おはよう、W君」

「なっ!ななな、なんであんたがここに!」

 声をかけてやればビクウッという音がするほどに驚いて、あからさまに慌てた。そしてバッと片桐と自分の身体を交互に見、両手で生娘のように身体を覆う。どうやら片桐が添い寝をしていることと自分がいつの間にか半裸になっていることに、ただならぬものを感じたようだ。自分で脱いだのに。

「な…なんもしてねーだろうな……」

「君が離してくれなかったんじゃないか…。昨日のこと、何も覚えていないの?」

「あー…。チューハイもらって飲んだとこまでしか覚えてねぇ…。つか頭いてー…」

「君、お酒弱いんだね。あんなの、ジュースみたいなものだっていうのに。やっぱりまだ早かったみたいだね。お酒は飲んでも呑まれるな、っていうくらいだ。ほどほどにしないとね」

 こめかみをピクピクさせながらすっかり眉が釣り上がっており、頭が痛くて不機嫌です、というのを全面に顔に出している。ポンポンと頭を撫でると振り払いはしなかったものの、ジトリと片桐を睨んだ。怒らせては怖いと、片桐も欠伸をしながら起き上がる。

「じゃあー僕は朝食でも作ろうかな。W君、何食べたい?」

「……朝食はまだいいから、もうちょっとだけここにいろよ」

 酒は抜けたようだが昨日の甘えたはまだ抜けていないのか、片桐から眼を逸らしながらWはぼそぼそと呟いた。昨日のふにゃっとした顔が上気で紅くなっているのも可愛いが、いつものきりっとした顔が照れたように紅くなっているのもまた違った可愛さがある。
 仕方ないなとコロリと再び横たわると彼も大人しく横になった。片桐に背を向けて丸まっているWは後ろから見ても充分わかるくらいに耳まで紅くなっている。片桐はさりげなく彼の肩に手を回しながら、昨日あったことを彼に言おうかどうかと至極楽しげに悩んだ。



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付き合ってはいるけどこの片桐さんは多分まだWに手出ししてない
Wが18になってから、とかって制約つけてそうな感じ
しかし空気に流されやすいので拒否できないという可哀想なお方

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