しあわせ遊戯

※ナッシュがダッチワイフ状態でドルベさんがちょっとだけオカシイ人
バリアン態の生態捏造、ドルベさんに女性器がある仕様


 高エネルギー体であるバリアン態であるといえど、活動をするとエネルギーを消耗する。人間程頻繁にではないが、定期的に人間で言うところの「睡眠」なるものが必要であった。
 七皇にはそれぞれ、自分の空間が与えられている。集合の必要がない場合は、彼らはその中でそれぞれの時間を過ごす。睡眠を取るのもその中でだった。
 ドルベが姿を現したのはナッシュが居る空間だった。彼はもう、此処には来慣れ過ぎていた。度々彼の自室に呼ばれることもあれば、ドルベが事前の断りなく訪れるときもある。
 しかしナッシュはそれに対して全く警戒を示して来なかった。それもそのはず、ナッシュの空間のありかを知っているのはメラグとドルベだけ。彼は七皇皆を信頼しているが、その中でも無二の信頼を置く二人だ。警戒などという概念は最早、彼の中には存在しないのだろう。
 今日ナッシュは眠ると言っていた。ここ最近、彼は眠っておらず相当エネルギーを消耗しているようだった。彼は睡眠の頻度は少ないが、一旦眠ると深みにはまりなかなか起きない。そういう時を狙って、ドルベは度々ナッシュの空間に訪れた。

「ナッシュ…眠っているか」

 返事はない。恐らく彼はもう既に眠りの中だろう。ドルベは物音を立てないように彼がいるであろう場所へと向かう。少し奥に行くと、彼はやはり眠っていた。色の違う双眸は紫の瞼の下に潜んでいる。
 ドルベは瞳を彼に向けて光らせた。眠りの深い彼には必要ないかもしれないが、念のため。彼の瞼が開かないように催眠を施したのだ。
 そしてドルベは眠る彼の傍にひざまづき、そっと頬を撫でて元々人間の時に口があった部分を恋人がするように重ね合わせた。擬似的な口づけにドルベの逸る心が満たされてゆく。

「ナッシュ……ん…。ナッシュ…」

 ドルベはナッシュを愛している。前世で人間だった時から。彼は唯一無二の親友だった。しかし唯の友愛と言うには、ドルベの想いは先行しすぎていた。
 ドルベは度々ナッシュを想い描いては、溢れる想いで全身を痺れさせていた。彼が触れてくれるだけで、微笑みかけてくれるだけで、それを思い返して自身を慰めることができた。
 しかし前世では互いに男だった。男同士は互いに親友として愛することはできても、それ以上に愛することが難しい。何より、性行為を目的としない孔は性器に馴染まない。身体を求めることも難しいのだ。
 絶対的な絆で結ばれていたとしても彼と子孫を残すことはできない。ナッシュを愛し彼が愛する女性が現れれば、彼はその人と結ばれるだろう。自分自身は倫理を外れていても、ドルベは親友に道を踏み外させることなど出来なかった。ナッシュに信頼され彼の隣に居られる幸せと共に、途方もない絶望を感じていた。

 バリアン世界に来て、ここで再びナッシュと巡り逢ったのは彼にとって最大の幸運だったのかもしれない。
 カオスが渦巻くこの世界では繁殖という概念はないため固定の生殖器を持たない。しかし、強い欲望を念じればその用途に合った生殖機能を持たない性器が身体に現れる。ナッシュと繋がりたい、彼を受け入れたい。そう強く思えば、ドルベの身体は女になった。彼を想い少し触れるだけでヒクヒクと疼き愛液を垂らす女性器が彼の股の間に現れるのだ。

 ドルベは眠るナッシュの上に覆い被さり、元々口の合った部分で皮膚や身体の装飾を撫でていく。繋がる為だけなら必要ない過程だがドルベにとっては必要なものだ。これは繁殖行為ではなくナッシュを、その身体を愛する為の行為なのだから。
 ナッシュの身体に触れている興奮と、もし彼に万が一気づかれてしまったら、という恐怖にも似た感情で胸を昂らせながら、彼に触れていく。そして何気なく、彼の力なく開かれた手のひらにそっと手を重ねた。

「ん……」

「…っ!」

 ナッシュが夢の中で短く呻きながら、重ねたドルベの手を握り返してきた。
 生理現象なのか、もしくは何かを夢の中で求めているのだろうか。いずれにしろ、彼の反応はドルベを更に高揚させ快感を感じさせるには充分だった。

「ナッシュ…ナッシュ……」

 繋いだ手はほどかぬまま、ドルベは彼の股の間に身体を滑らせた。何もないそこを手で撫でては、ない口で舐めるように撫でていく。

「っ…は、……はあ、…」

 しばらく撫でているうちに、気持ち良さそうに呼吸をするナッシュの股に一つの形が浮かび上がる。それは男性器だった。意識のない中で、ナッシュも欲望を顕現させていた。
 ドルベはうっとりとそれを手に収めるとすりすりと指で擦りながら頬擦りをした。体表と同じ色をしたそれは人間の目線で言うならば形や質感は同じでも些かグロテスクなものだが、彼にとっては何よりも美しい、愛しいナッシュの分身だ。
 彼を受け入れる為のドルベの女性器はもう、ぱっくりと開いて蜜を溢れさせている。既に準備は万端の状態だ。しかしナッシュの欲望はまだドルベの中に収めるには硬さが足りない。
 ドルベはナッシュの欲望を模したものに口づけをするように撫でると、彼のそれに跨がるように膝立ちになった。

「気持ち良いかい、ナッシュ。安らかで、可愛い寝顔だ…。どんな夢を見ている?私はその中にいるのだろうか」

 ナッシュの眠る姿は普段の皆を束ねるリーダーの姿よりもあどけなく見える。きっと親友にこんなことをされているなど、夢の中ですらあり得ないことだろう。自分の身体に性器が現れることすら、ナッシュは知らないかもしれない。
 彼の寝顔に微笑み、ドルベは彼の性器を自らの股に擦り付け、竿全体に愛液を塗り込むように腰を動かす。亀頭を女性器の中でも特に敏感な芽にぐりぐりと当てると快感で全身が痺れ渡った。身体を仰け反らせ、繋いだ手をぎゅっと握る。

「はぁん……いいっ…、ぁ、君のも段々大きくなってきたな……嬉しい。君もしっかりと気持ち良くなってくれてっ…!ん……あ、あっ…!」

 芽を擦っているうち、ドルベの背筋を快感が駆け上がり、頭に血が上った。身体が震えながら緊張して上り詰め、パアンと弾けると力が抜けていく。ピクン 、ピクンとヒクつく彼の顔には幸せそうな笑みさえ浮かんでいた。
 ナッシュの顔を見ると、安らかだった寝顔に少し苦悶の色が差していた。時折、苦しそうな息が聞こえる。

「ん…ん……」

「あっ……フフ…こんなに、硬くして…苦しそうだな。私も苦しいよ、ナッシュ……君を欲しがって、切なくて疼いているんだ。早く君ので気持ちよくなりたい。いいかい、ナッシュ」

 熱く吐息を吐きながら、ドルベは眠っているナッシュに訊く。もちろん返事はない。それは彼自身理解していることだ。
 再度腰を浮かして片手でナッシュの勃起した性器を持ち、自らの穴に焦点を当て、そこに腰を下ろした。ズブズブとナッシュの性器が呑み込まれていく。途中結合部分を指でなぞり、愛するナッシュが自らの身体に侵入し彼と繋がっていることを確認すると、ハァ、と歓喜で吐息が漏れた。
 完全に呑み込んでしまうと、膣全体で彼を愛撫するように腰を動かし、ナッシュの性器を身体に突いて回った。

「君と、繋がってる…!っ、はんっ…、きみがッ!わたしの、ぁ、中にっ…んんっ!ナッシュ、ひぁああっ、ナッシュ!いい…きもちいいっ…!君に突かれ、て……あんっ、わたしの…中、君でいっぱい…!幸せ、だ……。あぁっ!しあわせ……!」

 ドルベは恍惚の笑みを浮かべて、喘ぎながらナッシュに思いの丈を語りかけた。
 ナッシュをこの身で犯すのは今までに一度や二度あったことではない。彼が睡眠を取ると知ったときにはこうやって赴き、何度も犯した。その度に彼との繋がりを実感し、快感と幸福に包まれたのだ。
 人間であった時分では果たし得なかった結合。それが今他でもない自分と彼とで成し遂げられている。その事実はこれ以上ない興奮材料としてドルベの脳髄を満たした。

「ああんっ!あ…ダメッ…だ!さっき、イッたばかりっ……なのに…!ぁ、またイくっ…イくうぅッ…!あ、ア、ああぁっ!」

 再び達し、痙攣をその身に受けてやり過ごすと、再度動き始める。ナッシュが一度射精に追い立てられるまでに、ドルベは何度も絶頂を迎えた。

「はぁ、はぁ、……ん、」

「っく、…君も、ぁんっ……そろそろ、か……。アアッ、だしてくれ…私の中に、…!はぁ、…ひぅっ!」

「んっ!」

 ナッシュは小さく呻いて、人間が射精するのと同じように腹筋を痙攣させてドルベの中に埋まった性器から液体を放出した。ビクン、ビクンとそれが震える度に中を満たされ、ドルベも再び歓喜に身体を脈動させた。

 苦しみから解放されたナッシュはスッキリしたような表情を浮かべて夢の旅路を続けている。顕現された彼の欲望はもうドルベの中からなくなっていた。彼の欲望に満たされたドルベの性器も満足したのか、消えていた。
 繋いだままだった手をするりとほどき、ナッシュの寝顔を両手で包む。瞼や頬、かつて鼻や口のあった部分を、擬似的な口づけで撫でてゆく。一通り終えると、寝顔に向けて再び眼から光を放った。

「ナッシュ、今日もありがとう。…君のお陰で、明日からまた同志として…親友として、君の隣に立てる」

 眠るナッシュを背に、ドルベは空間から姿を消した。



「おはよう、ナッシュ。昨日は眠れたか」

「ドルベか。ああ、眠れたよ」

「そうか。君はぎりぎりまで休もうとしないから、見ていて心配になるんだ。しかし、今日は体調が良さそうだな」

「そうだな、メラグにも叱られるし、考えなければな。だが限界まで疲れているお陰でよく眠れるんだ。昨日もいい夢を見れた。…内容は覚えていないけどな。すごく心地のいい夢を見た気がする」

「それは良かった」

 ナッシュの体調を聞き、ドルベは嬉しそうに微笑む。ナッシュも彼の笑顔につられて笑う。そういうところは、昔から変わらない関係だ。
 今日のドルベはナッシュを心配する「親友」。彼のすぐ傍で、彼のすぐ隣で、ドルベは一人密かな幸せを噛み締めている。



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「夜這いするドルベ」「自慰するドルベ」を書きたくて欲張って超融合した結果、こんなことに。ナッシュの股間をお顔ですりすりするドルベさんが書けて満足ですw
やっていることはセクロスかもしれませんが「相手を顧みず一人だけで快感を得ようとするセクロスは自慰と相違ない」という持論からできています。なのでこれは一人遊戯みたいなもの。

矛盾してない?って論破されるとそれまでなんですけどね!

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