■ 天文科とメリクリ

目の前にはケーキと美味しそうなごちそう。これは錫也お手製だ。私が作ったお菓子と月子が作ったなんだろ…あれ。焦げた固まりがあるが気にしない。そんな食べ物が並ぶ。羊がフランスから持ってきたという洒落た置物で部屋を飾り、哉太の作のツリーをバックに写真を撮ってやっとクリスマスパーティーが始まった。羊と哉太ががっつく中私はお酒が飲みたいのを我慢して(錫也が怖いからね)ノンアルシャンパンを飲む。

『メリクリー。』

「メリークリスマス!んー、やっぱり錫也のご飯は美味しいな!」

「こら、羊!俺の肉!名前のケーキもうまい。お前何気に器用だよな。マカロンまで、」

「見た目も可愛いよね。んー、美味しいよ。」

「本当だ。今度作り方教えて、」

『嫌だー。錫也は十分うまいんだからいいよ。私が教えるほどでも、…月子?どした。』

さっきから黙ってる。こんなに楽しいパーティーにマドンナのかわゆい月子がそんな顔なんて!イエス様の泣きますぜ!

『どうしたの。プレゼントが欲しいならきっと皆貢いでくれるぜ。頼んでみなよ、羊とか哉太とか案外錫也もころっと、』

「お前は余計な知識を与えんな!

『へいへい。さーせんでした。』

「どうしたの??ご飯美味しいよ?」

「具合悪いなら帰るか?熱は…ないみたいだけど。哉太そこの毛布とって、」

「だ、大丈夫!」

「本当かよ。お前は名前と違ってなんでも無理するからな。ちゃんと言えよ。」

『ねえ、哉太それどういう意味?甘え上手って事?』

「二言目にはめんどくさい、が口癖だろうがお前は。具合悪くなるほど部活も委員会もしてないだろ。」

確かにー。私は帰って好きな事やるか寝るか遊ぶか
がしたいんだよ。月子が私の耳に囁く。映像的には天使の囁きだが内容は悪魔だった。そうか、そういうことか。

『えーっと、だね月子。それは本人たちに聞いたらどうかな。私はこの通り飲み物だけで十分でけして避けていた訳じゃないよ。』

「あー…、つまりどうして月子が作ったのは食べないかってことか。いや、その…、」

「だってよー、お前の料理はほらその、危なくね?いたた!しょうがないだろっ。」

「僕は最後に食べたかったから。料理は見た目じゃないし美味しくなくても大切なのは気持ちだよ。月子が作ってくれたものなら嬉しいよ。」

「羊くん…。」

『リア充爆発しろー。なんだよ、イチャイチャしやがって。なら聖なる夜を最初から二人で過ごせよ!』

そうだ、そうだー!と哉太が同意してくれたのでハイタッチする。照れる月子は可愛い。なんであほ毛となんかと最初は思ったがまあ、幸せならいいんじゃねえの。月子作は全て羊が食べるってことで。

『錫也君。私のプレゼントいい加減イケメン彼氏とかこないかね。なんなの。ロンリークリスマス。』

「こっちだってなんでリア充+名前なんだよ。よりによってお前か、みたいな。」

「イケメンじゃなくていいなら俺が彼氏になろうか。来年はロンリーじゃなくなるし手頃だと思わないか?」

『は、お前はイケメンだよ!?何いちゃってんの?喧嘩売ってんの私に?なんか試されてるの私?ねえ、哉太どうしたらいいかわからないよ!』

「俺の方がわからねえよ!なにそのカミングアウト!?
俺の居場所がないわ!俺の方がロンリーだわ。え、錫也。それまじなのか?エイプリールフールは先だぞ。」

『そっか、エイプリールフールか。もう、錫也ったら先取り早。嘘かよー。』

「本当だって。好きだよ。」

『ひぃぃいいい、重たい!プレゼントが重たい!』

月子ヘルプー、と思ったら2人の世界ぃい。リア充爆発しやがれ!!とりあえず哉太の後ろに隠れる。このプレゼント、受け取るべきかしら…。悩む私と笑う錫也と困惑する哉太とカップルひと組。異様なクリスマスパーティーです。


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