洗濯物を畳んでそのままうとうとしてくる。静かな空間と日差しが気持ちい。このまま寝てしまおうかとまどろみかけていたとき携帯が鳴って現実に戻される。誰だよ、とディスプレイを見れば一樹からの電話。お前仕事は?せっかく気持ちよく寝れる所だったのに。腹いせにちょっとシカトしてやろうかと迷ったが仕方なくでてやる。

『はい、もしもし。』

【でるの遅いだろ!!ってかなんか不機嫌な声だなー、あ。もしかして寝てたのか?悪い。】

『…いいけどさ、どうしたの?仕事に息詰まったのかい。そういう時は部下にあたりなさい。そのために部下がいるんだ。』

【部下がかわいそすぎるだろ!いや、仕事は大丈夫なんだけどよ。名前さ、最近具合悪くないか?】

『具合ー?いや、別に…。なに、またでましたか星詠みパワー。え、私病院とかいた系?いやだー、どうしようか。世界の中心で愛を叫ぶ、みたいな事しちゃう?』

【お前のんきだなぁ…。いや、そういうんじゃなくて、あのな。んー、ごほん、えっと言うぞ!あの、】

『長い!』

【す、すまんっ。】

なにか言いにくい事が見えたのだろうか。恥ずかしい病気?んなものあるっけ?痔とか?嫌だな。とりあえず早く言ってよ一樹、と言えばなぜだか俺の事好きか?と聞いてきた。なんだこいつ。情緒不安定な女か。昼間の仕事中に電話かけてきて俺の事好きか、なんて聞く男では断じてなかったはずだ。過労か、疲れてるのか。

『とうとう頭いかれたか。愛がわからなくて不安になる乙女かお前は。いきなりどうした。』

【いいだろうが別に!!俺は勿論愛してるからな名前。いや、なんでもねぇっ、あ?あぁ、嫁だけどうるせぇ、どっかいけ!】

『そういえば会社だったね。恥ずかしいから叫ぶのやめなよ。うん、私も好きだよ。じゃなきゃ結婚しないでしょ。それでどうしたの?』

【名前、お前妊娠する。】

『…へぇ。』

【それだけか!?なんか俺ばっかり騒いでる感じなわけか!!もうちょっと驚けよ、なんだよ。子供ほしがってたよな?まぁ、見えただけだからいつかはわからないんだけどよ。まぁ、俺は産みたいから、いや産め。俺のために産め、わかったか。】

『子供にその俺様がうつらないか心配する私の身にもなろうか。産まれるのね、来年だって。一樹も私も欲しかったし丁度良かったね。』

【…ちょっと待て!もしかして、】

さっき病気いったんだよね、と言えば一樹が今から帰る、と言われ電話をブチぎられた。あらまぁ。しかし星詠みは便利だねぇ。話す手間が省けたわ、と洗濯物を片付けていたら一樹が帰ってきた。随分早いと思い玄関に行けば息切れ切れの状態。大丈夫か、こいつ。というかまじで仕事抜けてきたのか。そんな事でいいのかな。これから子供が生まれるんだからしっかりしてくれよ。でも、嬉しい事は嬉しいな。

「た、ただいま、」

『おかえりー、一樹。わざわざ走ってきてくれたの?有難う、私頑張って産むね。』

「…おー、なんかそう言われると色々言おうと思ってたのに調子狂うな。まぁ、これからは俺になんでもいえよ。あ、ってかお前電話でた時点で言えよなまったく。」

『だって一樹が仕事中に電話するの珍しいから大事かと。なのに一樹ったら前置きが長いよ。』

「俺のせいかよ!!まー、なんにせよ俺嬉しいんだよ。あー、抱きしめたいけどあんま力いれないほうが、ってか体冷やすのは育児とかどうしたら、」

『落ち着こうか一樹。』

「なんでお前はそんなに落ち着いてんだよ。」

『母は強し、って事で。』

「まだ産んでねえだろ。」

『私元々こんな感じだよ。』

「確かにな。あー、でもまじやばい。嬉しいわ。」

しゃがみ込んで顔を緩ます一樹にとりあえず皆に報告しようか、と笑う。愛してる名前、と優しい口づけがかえってきた。多分俺のために産め、なんて言うの貴方くらいだけどそんな一樹が好きだよ、ずっとずっと。星詠みで性別ってわかるのかな?なんて言えば知りたいような知りたくないような、とまだ先の事なのに悩みだした。そんな貴方が愛おしい。




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