がちゃがちゃと色んな物音とペンチやらハンマーやらよくわからない道具が散乱している。整理しなよね。そんな整理されていないのに手は目的のものを手に取っているという事は彼は何処に何があるかわかっているという事なのだろうか。こんだけ汚いのに。生徒会室の横の翼のラボに逃げ込んだ私は今追われていた。

「名前は本当によくここに来るな。俺の発明品がそんなに好きなのか!ぬははは、見てくれ!今はな書類整頓とんすけくんを発明ちゅーなのだ。豚をモデルにしたかわいい形なのだ。」

『今日は遊びんに来たんじゃなくてきの、梓くんから逃げてきたの。あの日から梓のアプローチが凄くって凄くって痩せるかと思ったら太ったし…。というかその豚可愛いくないよ翼。書類整理するなら小さくて持ち運び出来る方がいいからモデルはミニブタくらいにしてよ。』

「それいい!さすが名前はアイディアがさえてるのだ!梓と喧嘩でもしたのか?最近仲いいのにー。」

『人の話聞いてないでしょ。喧嘩ならまだよかったのになぁ。恥ずかしくて梓くんの顔が見れないんだよ。あの野郎かっぱりんで私をつるなんてさずが頭がいいやつは、』

「恥ずかしいって事は少しは意識してくれてるんですね。嬉しいです先輩。でも翼のところに逃げるなんて本当に先輩は僕を夢中にさせるんですから。嫉妬したんです僕。どう責任とってくれるんですか。」

急に現れた梓くんに悲鳴をあげて翼に抱きつく。おまっ、どこからわいたんだ怖いからやめてよね。一階から三階まで宇宙科の梓くんと追いかけっこをして宮地に怒られ直ちゃんがいつもの間にか増えててやっとの思いでここに隠れていたのにやっと息が落ち着いてきたというのに梓くんはけろっとしてる。むかつくがさすが宇宙科の運動部だ。私とは違うのね。睨んでいたら翼からべりっとはがされてしまった。ひぃぃいなにをする!せっかく盾にしてたのに。

「よくも僕からあんなに逃げてくれましたね名前先輩。」

『笑顔が怖い笑顔が怖い。こら、翼お前逃げるんじゃねえ。梓くんを止められるのはお前しかいない。』

「翼が僕を止められるわけないじゃないですか。頼むなら金久保先輩とか夜久先輩の方が適任ですよ。」

『そっちか!選択ミスだ、翼のばかー。』

「なんで俺が行けないんだよー。もうしらないぬーん。それにそろそろ行かないとそらそらに怒られるのだー。発明に夢中になってたけど時間がないのだ。」

「じゃあさっさと行って怒られて来るといいよ。またこの前発明品を爆発させたんだろ。」

「酷いのだ梓。」

『酷いのだー。解放しろー。さっさと私解放ぐはっ!』

「名前死ぬなぁー!梓女の子には優しくってじいちゃんが言ってたぞ!力ずよく圧迫すると名前は小さいから死んじゃうだろ『死なないから、殺さないで、』でも虫の息だぞ。」

「いいから早く行きなよ。僕は翼が怒られてもいいけど。」

やばい、と走り去って行く翼を2人で無言で見送る。やっと2人になれましたね先輩と耳元で言われ固まる。おいおい近い近い。意識しないほうが難しいよね。好きだと言われてそれからも言ってくる。梓くんは顔をそらさないで真っすぐいってくるからこっちが照れてそらしてします。そうするともう私の負けだ。きっぱり断らない私もいけないのかも知れないがそんな隙をあたえない梓くんもズルイと思う。

「恥ずかしいんですか?」

『もー、あのねぇ!って梓くん!それなんか煙出てるよ、なんだっけ。書類整頓とん、太郎?』

「名前なんかどうでもいいですからさっさとラボから出て下さい!危ないですよ、っ先輩!」

腕をひかれ突風と爆発音と衝撃で少し吹っ飛ぶ。梓くんが抱きしめてくれたおかげで衝撃はなかったが梓くんの上で起きてしまって逆に慌てる。押し倒してるみたいなベタな展開だ。翼めっ、と内心怒り起きあがってどこうとすれば腰に腕をまわされてそのままの体勢になってしまう。何事なのか梓くんよ。下を見ればにっこりと笑っていた。笑顔が怖いんだけど。

「もう少しこのままでいてください。最近名前先輩僕から逃げてばかりで寂しかったんです。」

『でも、ちょっとこの体勢は私が梓くんを襲ってるみたいだし普通に起きて話しませんかね。』

「先輩が襲ってくれるのはいつでも大歓迎ですけど。体は大丈夫ですか?結構近くで爆発でしたから。どっか物とかあたりました?」

『耳がキンキンするくらいで梓くんは?』

「僕は鍛えてますからね。先輩が無事ならよかったです。」

『翼はどうでもいいとか言って私には甘くないですか。』

「そりゃ好きですから、翼はどうでもいいですけど名前先輩は大事ですから。僕本気ですよ?」

顔真っ赤ですね、と笑われて逃げようとするが逃がしてはくれない君が憎い。仕方なく梓くんの制服に顔を埋め顔を隠す。そんな事を言われたら好きになりそうで怖い、逃げたい。顔が見れない。ああ、嫌だ。梓くんがそんな考えを読んだのか小さく笑った。その後に頬にキスをされ暴れたのはちょっと後の話。




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