朝日がカーテンの隙間から洩れ眩しさで目が覚めた。いつもなら誰かが通る音や声がするのに今日は寮がやけに静かだった。今何時、と時計に手を伸ばしたが壊れていた。部屋の時計と携帯とパソコンを買わなきゃ。なければないで生活できるけど、日本に帰ってきて学校で生活するとなるとやっぱり必要だったりする。あと服なんかもかわないといけないと思いながら支度をすませ学校に向かう。急ぎはしない。どうせこの感じなら遅刻確実なのだから。

『おそようございます。』

「おお!やっときたな!本当に遅いぞ、まったく!またどっかに行ったかと心配するだろ。」

「名前先輩おそいですよ〜。なにやってたんですか。」

「長旅で疲れてたんだろ。ここ最近、片付けとか勉強の追い上げとかでばたついてたからな。急に疲れが出たんじゃないですかね。大丈夫ですか?」

『大丈夫。ちょっと目覚ましがなかっただけ、ありがと。げ、4時間目かよ。これなら午後からくればよかった。』

柿野くんや粟田くん達が心配してくれた。なんか後輩に囲まれての生活もいいもんだな。昨日屋上で写真をとって星空をみて、夜更かししたことは黙っておこう。朝ごはんも食べてないしもうお昼だしお腹すいたな、と思いながら席に着くと錫也がおはよう、と爽やかな笑顔を向けてきた。誉とは違うけどなんだか年下には思えないほどしっかりしてるよな。おはー、と返事をしてついでに月子ちゃん達にも軽く手を振って筆箱を出す。今なんの時間?

「今国語で3時間目までのノートは取っといたよ。目覚ましなら俺のあげるよ。それかメールしようか?モーニングコールの方が起きるか。あ、朝ご飯食べてないだろ。お昼はしっかり食べないとな。」

『オカン…。』

「そうだ、こいつはオカンなんだよ。写真サンキューな。なぁ名前先輩!俺もメルアド知りたい。」

「私も!」

「お前らー!授業中だー!」

『それが私携帯まだ買ってないの。解約した、って話はしたよね確か。明日土日だし新しい店を見つつ必要なもの買う予定。色々足りなくて、だから明日まで待ってね。カメラの部品とフィルムも買わなきゃいけないし行くとこいっぱいだよ。』

「俺もいく!ってかまじ連れてって!」

「私も!名前先輩の洋服選んであげる!なんか可愛いのなさそうだし。女の子とお出かけなんて久しぶり!」

「月子が行くなら僕も行く!」

「じゃあ俺はお前等の保護者としてついていくか。ほっておくと名前先輩に迷惑をかけそうだし、いいかな?」

『えー、なんか大事に。まぁ、錫也頼りにしてまっせ。で、先生授業やんないんですか?』

シカトしてたくせになんだー!とキレたがクラスは笑う。梨本くんたちが携帯買ったら俺たちも教えて!と集まってきたので梨本くんのアドレスももらっといた。これで連絡網のように回してもらおう。1人1人教えるなんてめんどくさいしね。よしご飯行こう、と発言する私にまだ授業中だ!と陽日先生が怒った所で丁度タイミング良くチャイムが鳴った。涙目になった陽日先生は腹いせに私に獅子座定食を奢れと言ってきた。それでも大人なのか。

『横暴すぎだよ。なんだよー、生徒にたかって恥ずかしくないのか。そんなんだから身長が小さいのよ。』

「うるさーい!!身長は関係ないだろ!それに罰ゲームで俺のおかずは生徒に取られるんだよ。朝あいつらがしかけた罠を避けれるかっていう、そんなとこじゃないとこに頭を使えって。まったく。名字は授業妨害した罰だー。」

『なにそれ面白い。私も参加したいんだけど。でも子供っぽいね。だから背、いやなんでもないよ。先生が食べて大きくなりたいなら私は喜んで獅子座定食を奢ろう。』

「名字っ!ありがとう!俺いっぱい食べるよ!」

『追加は自分の金で食えよ。哉太ー、席とりゴー。』

「俺かよ!?」

そんな感じで食堂に歩いて行くと目線が凄い。まぁ、月子ちゃんと意味のわからない死んだ、と思われてた女が歩いてたらそうなるよね。私は気にしないけど。食堂の雰囲気、味、メニュー。すべてが懐かしい。さっそく頼んで手を合わせる。いただきます。ああ、変わってないってかうまい。外国行くと日本の食事が恋しくなる。特にイギリスとかは。脂っぽいものとか色が派手だったり量が多かったりした。この所勉強の追い上げや片づけや書類申請などでちゃんとご飯を食べてなったのだ。

『(こっちに帰ってきてからの初食堂。うまい、)』

「名前先輩なんか小動物みたいで可愛いな。これあげる!これもいる?いっぱい食べてね。」

『ありがとう、月子ちゃん。』

「俺のもやるよ!ってか名前先輩目線とかきになんねーの?皆ひそひそしてるしすっげぇみてるぜ。」

『ありがとう哉太。そうだね、月子ちゃんは可愛いから皆みてるね。たいじょおぶ?』

「名前をみてるんだよ。あと食べながら喋らないでよ。君ってばフランスにいる時から思ってたけど変な所で抜けてるよね頭いいくせに。」

『私?んな馬鹿な。あ、いいところに。おい、一樹どうにかしろや。なんか目線が痛いらしいよ、月子ちゃんが。』

「いや、お前だろ。名前の存在噂になってんぞ。二年前のマドンナが帰ってきたとか。写真のプロとかお前マドンナとか柄じゃないよな。いいじゃねえか面白いし。」

『…この私の頼みを断るの?いつから一樹はそんな男になったわけ、見損なった。んなの柄じゃないのは知ってる。それに私はいいけど月子ちゃんが可哀想でしょ。全く気の利かない男なんだから。』

なんで俺がそんなにぼろくそに言われなきゃいけないんだ、と騒ぐ一樹をシカトしてご飯を食べる。解決してくれないならここにいてくれなくてもいい。寧ろあんたのせいで余計に目立っている。うるさい食事中、と言えば俺には冷たいんだよな、とすねる一樹に錫也は食事中なんだかららさっさと別の所に座ったらどうか、という内容をオブラートに包みながらばっさりと言った。なんだこの2人訳あり?しかし哉太の方は懐いている。不思議に思っている所に一樹会長、と呼ぶ声がして2人の男の子がやってきた。わぁ、星月先生並みに綺麗な子。

「…貴方が噂の、」

「ぬいぬいの彼女さんでこの前帰ってきた写真家星オタク!彼女さーん!ぬいぬいと同い年だよな?」

「こら翼!余計な事を言うな!違うって言っただろ!」

「へえ、いつから名前さんは一樹の彼女になったのかな。しかも食堂で堂々と大声で宣言なんて。こんなに皆注目してるのにさらに注目されちゃったね。僕にはなにも言ってくれなかったのに。」

「げ、誉。これには違うぞ!」

『死ねよ前髪燃やすぞ。なんか勘違いしてるみたいだけどただの同級生だから。私だって選ぶ権利はある。一樹と年は一緒で二年間写真を撮るために世界を飛んでてこの前戻ってきたの。ちなみに天文科。貴方たちは生徒会メンバーね。こんな会長で苦労すると思うけどごめんね。よろしくしてやって。あと誉、出来ないだろうけど彼氏ができたらちゃんと誉にはいうから拗ねないでね。』

「そう、ならいいんだ。それにちょっとからかっただけ。名前さんには怒ってないからそんな顔しないで。一樹ももう少し周りを配慮しなよ。」

「ぬはは、ぬいぬいが怒られてるな。なんか、かあちゃんみたいだな!彼女さん。」

やめてくれ、こんな子供イヤだ。選ぶ権利がだね。ってか彼女さん、もやめてほしいんだけど。この子人の話を聞いてたのだろうか。後ろの美人さんは困った顔をしてるし、なんだかこの2人に振り回されてるのが容易に想像できて可哀想になる。元気に話かけてくるぬぬぬの子が変なロボットを持っていた。猫っぽい…、可愛い。その目線に気付いたのか自慢するように私の目の前にぬいぐるみを持っていて俺が作った!という。

『嘘。すごい!天才じゃん。かわいいー。才能あるね、これ動くんでしょ?いいなぁ、いいなぁ。私もなんか作ってほしいよ。』

「本当!ぬはは。じゃあ今度作ってあげる!」

「よかったですね翼くん。食事中騒いでしまってすみませんでした。紹介が遅れてすみません。青空颯斗、神話科の二年生です。よろしくお願いします。」

『名字名前です。こちらこそよろしく。』

「宇宙科1年、天羽翼!よろしくおかん!」

『名前にしてくれるかな。それだと錫也とかぶるし、冗談だから睨まないでよ錫也。それにしても今年は可愛くてしっかりした後輩が多いんだね。一樹も安心して任せられるよ。でもなんかやったら容赦なしに殴っていいよ。あれ誉。そういえば一樹は?』

「ん?お腹痛いって。僕の顔を見た瞬間逃げてったよ。どうしたのかな。それより友達が増えてよかったね。」

『そうだね(哀れ一樹!)』

「ご飯さめんぞー。ってか食わないなら俺が食う!」

「あー!もう、哉太。駄目だよ。羊くんもまで…。」

『まったくもー、皆もお昼時間無くなっちゃうからそれじゃあね。生徒会がんばって。私もたまに遊びに行くからそん時はよろしく。』

「ぬいぬいさー!」

「はい、お待ちしてます。」

優雅に去っていく青空君と元気に手を振る天羽君。前を見て歩いてほしいものだ。誉も私の頭をなでてから耳元でメールしてね、と言ってたので頷いて手を振ると笑顔で去っていった。月子ちゃんと哉太がそれをみて少し顔を赤くし羊は羨ましそうにみて月子ちゃんに真似して実行しようとして錫也に止められていた。楽しいランチでまた知り合いが増えてよかった。

美味しいランチと生徒会






 / 



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -