学生のうちから妊娠してしまって最初は不安だったがなんとかなっている。羊の親は優しいし凄く親身になって私の事を気にかけてくれている。羊はこのまま親の仕事を手伝うという事なので私もアメリカにいる決意をした。日本にはこの前羊と挨拶にいった。両親も許してくれてなによりだ。

『とりあえずひと安心かな?』

「うん、名前も安定期に入ったし。日本にいる皆には報告したでしょ。こっちでは僕の家に住むからとりあえず安心だし。でもよかったの?学校やめちゃって。」

『うん。星の事は羊にも羊の御両親からも学べるし。私つわりとか酷いほうだから学校行っても具合悪くなって申し訳ないから。』

「僕が変わってあげられたらいいのに。君と結婚できたことも、子供ができた事も嬉いし責任はとるし幸せにする自信もある。でもなんだか申し訳ないよ。僕だけ好きなことしてるなんて。」

『好きな事って羊は元々御両親の手伝いをするためにアメリカに来たんでしょ。星が好きでそれが仕事になるなんて凄い事だよ。それにこの子のためにもしっかり稼いでもらわなきゃ。』

「OUI!もう卒業だけどまさか子供ができるなんてね。嬉しいけどなんか複雑。」

『なんで?』

「子供がいたらそりゃ可愛いけどもっと君と2人きりの時間を過ごしたかったよ。色んな所にいったりとかさ。子供ができたら子供優先だろうし。」

子供に君をとられるなんて、と拗ねる羊に笑ってしまう。こう素直なのはいつまでたっても凄いと思う。この性格のおかげで私は安心して羊と一緒にいられるのだけど。月子ちゃんに嫉妬した時もすぐに和解できた。そして凄くいい子だった。

『産んだら結婚式してくれるんでしょ?』

「勿論だよ。フランスでやるのもいいな、と思ったんだけど日本もいいよね。名前の御両親がいるんだから日本の方がいいかな?アメリカでやるのも派手で楽しそうだけど。」

『私はこの子と結婚式に出れる事が嬉しいの。滅多にないじゃない。この子にドレスを着させられるなんて嬉しい。私とお揃いにできないかな。』

「…女の子なの!?」

『あれ、未莉さんに伝えたんだけど。一番に言いたくて昨日電話したら留守電で、聞いたら今ラウルさんの仕事を手伝ってて手が離せないみたい、って。だから未莉さんが伝えとくわ、って。』

「母さん!」

「んー、なに羊。名前ちゃんの具合でも悪くなった?大丈夫?」

『大丈夫です。女の子だってこと知らなかったみたいで。』

「ああ、やっぱり奥さんの口から聞いた方がいいかと思って。サプライズよ。因みに羊が最後だから。」

「父さんも知ってるぞー。因みに女の子の服を買ってきた!どうだ、可愛いだろー。」

「旦那の僕を差し置いて先に知ってるなんて!」

「羊が愛しのお嫁さんからの電話を無視して仕事してるからいけないのよ。」

「父さんが手を離すな!って言ったんだろ!母さんも帰ってきたらなんでもかけ間違えただけ、とか言うし!」

そうだったのか。未莉さんをみれば面白いでしょ、と綺麗に笑った。こんな人が家族になるなんて。しかも今はお世話になっている身。すごく緊張するけど凄く居心地がいい。ラウルさんが買ってきた服はピンクのふりふりだ。羊は目を輝かせている。そういえばここって少女漫画とか見てるっていってたな。

「身体の調子はどう?」

『相変わらずつわりは酷いですけど大丈夫です。こればっかりは仕方ないですし。でもお腹を元気に蹴るから嬉しくて。』

「僕も触りたい!」

「なんだか名前ちゃんはしっかりしてるのにアンリは心配だな。そんなんで父親になれるのか?」

「女の子はいつでも男の子よりしっかりしているものよ。」

「父さんだって父親になれたんだから僕だって大丈夫だよ。ね、名前。」

『羊は浮気しなさそうだしストレートに愛情を注いでくれるからいいパパになるよ。それにこんないい家庭で育ったんですから、大丈夫です。』

「あら、名前ちゃんだってもう家族よ。私は女の子が欲しかったから嬉しいわ。よくアンリに女の子の服を着せてたわよ。」

『それ絶対可愛いですね!』

「余計な事は言わなくていいから!そんなことより赤ちゃんも参加できる結婚式、考えないと。」

「それなら私がパンフレットをいっぱい持ってきたぞ。」

「私はドレスのパンフレット持ってきたわ。」

『なんだか先の話なのに凄い乗り気ですね。』

「何言ってるの。結婚式なんてずっと前から色々打ち合わせするものなのよ。それに思ったんだけど日本で上げてアメリカでもあげたらいいわよ。」

「さすが未莉!いい案だな。じゃあハネムーンはフランスだな。」

「いいアイディアだけど僕達が決めるから。」

「羊は知らないかもしれないが日本の結婚式には色々しきたりがあってだな、」

また嘘を羊に教え込むラウルさん。それを信じ込む羊に苦笑い。未莉さんは赤ちゃんのドレスを私に見せてくれる。不安だったけどこんなにも祝福されて安心して産めるなんて。自分の娘のように可愛がってくれるラウルさん達と私をいっぱい愛してくれる羊がいる。おなかの赤ちゃんがまた元気よくお腹を蹴った。




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