08

荒々しいキスは人間とは少し違うけど近いものだった。指などの皮膚は固いけど、舌はそれととは違う感触だ。声帯を震わせて声を発しているのだとしたら、歯や舌がないと上手く喋れないはずだ。サソリさんの身体の仕組みなんて考えたところでわかりやしないけど。とりあえずこの状況がおかしいことだけはわかる。なんとかチャクラの糸を切ったところですぐにまた捕まえられる。戦闘能力でいったら彼の方が何倍も上だし仕方ないけれど。

『お、落ち着きましょうサソリさん。貴方は熱がありますっ。』

「だから傀儡にんなもんあるか。」

『その理論で言ったら傀儡に性欲があるわけないじゃないですか!』

「…俺だってどうかしてると思ってる。俺は永遠に残るものこそが美だと思ってる。永久に朽ち果てない身体になりたくて自分も傀儡にした。だけど俺は心の底から人形になれてねぇ。感情も欲もいらねぇはずなんだ。」

『ええ、そういう人だと思ってますよ。…ただなりきれないのですね。』

「お前に何がわかる、小娘が。」

『サソリさんのなにもわかっちゃいません。サソリさんがもし、私に側にいてほしいというのなら側にいます。ただ言葉にしてくれなきゃわかりませんよ。サソリさんのいいとことは人形のように永遠の美を持っているけどちゃんと喋れるところじゃないですか。』

「つまり名前は俺に愛をささやきながら犯されたいってことだな、理解した。」

『ふざけんじゃないですよっ。話し合おう、ということです!なんでヤること決定で話をすすめるんですか!』

「名前、お前空気読めよ。若い男女が1つ屋根の下にいて密着してんだぜ。お前にはムードってもんがねぇのか。」

『無理やり拘束されてるんです。ムードなんて最初からないでしょうに。なんです、人が心配してあげればそういうこと言ってっ。』

「俺が先に心配してやったんだろうが。大体名前の分際で俺を心配?余計なお世話だな。」

至近距離で鼻で笑われる。なにがこの人をこうもさせてしまったのか。永遠に朽ち果てない、待つのが嫌い。年齢的に考えて大戦中に子供だったこの人の事を考えれば、大事な人が亡くなったのかもしれない。暁にいる限り、私はここにいるのだから言ってくれれば側にいるのに。どうして男とはこうも不器用なのか。素直に愛を口にしてくれれば楽なのに。サソリさんの場合私を好きっていうことはないと思うけど。

『単に近くにいる女が私で、ちょっと人恋しくなったっていう理由でしょうが。お願いだからこのまま遊郭とか行きません?サソリさんとは今後も仲良くやっていきたいのに。気まずくなるのは嫌ですよ私。』

「…お前鈍感だな。」

『え、それサソリさんに言われます?』

「俺はたまるような欲はねぇっていっただろ。それでも求めてんのもコレクションにしたいと思うのもお前だからだ。」

『つまり私を愛していると。』

「そこまでは言ってねぇな。」

『まぁ、そこそこ好意を抱いてくれてるってことは理解しました。私もサソリさんの事好きですよ。最初はなんだよ、このおっさん。口悪いし態度悪いしすぐ殺すとか言う、ふざけんな、って思ってましたけど。』

「俺だってなんだこの餓鬼、弱いくせに足手まといって思ってたぜ。はっ、お互い第一印象最悪だな。」

『私は一応愛想よくしていましたけどね。それで、サソリさんは私をコレクションにすると。殺すってことですか。』

「どうかね、自分でもよくわからねぇよ。今日みたいにふらふらするくらいならさっさと殺しちまうか、って思うし。こうやって会話するのも悪くねぇとも思う。目が離せねぇんだよな、自殺願望あるしよ。それに傀儡にするなら一番綺麗な時がいい。名前、お前はあと数年したら美人になる。今もいい素材だ、大事にしろよ。」

『あんまり褒められてる気がしないけど、ありがとうございます。ぜひ会話しましょう。』

殺す気あったんだ。今更ながら怖いな、と思った。サソリさんはしようと思えばいつだって私を殺すことも、傀儡にすることも可能だ。サソリさんだけの傀儡にしてくれるなら、なんて軽はずみの発言だったに違いない。だからこの人もこんな風に考えたのだろう。私が引き起こしたことだ。でももしも、傀儡になってずっとサソリさんの側にいることができるなら。それでこの人が寂しい思いをしないならそれでもいいと、少し思う時点で末期だろうか。

「なにを考えてる、名前。」

『今は生きてみようと思うと、言いましたよね。それが変わって死ぬときはサソリさんの人形になるのもいいとは思ってるんです。それで貴方が少しでも気が晴れるなら。でももし傀儡になったらこうして話はできないですよね。それは寂しいです。』

「傀儡になったら寂しいなんて思わなくなるから気にすんな。」

『その時の私の感情ではなく。サソリさんが寂しいでしょう。私もその時の事を考えたら今も寂しいです。サソリさんの側にずっといるのに、貴方には何もしてあげれないなんて。今はこうして意思疎通ができるのに、返答のないやり取りは虚しくないですか。』

「…どうだかな。」

『だったらこうして生身で喋ってる方がいいと思うんですけど。』

「そしたらまた俺を置いて行くんだろ、」

『(また…)あ、じゃあ私が朽ちない身体でかつ喋れる体を研究します。様は不死身ってことです。大蛇丸さんもやってたし、私もこの体質で色々人体実験されたんで。そしたらサソリさんとずっといれて喋れるし。』

「んなもん簡単にできっかよ。」

『できなかったときに傀儡にすればいいですよ。あと、私が死にたくなった時。どうせ今すぐ傀儡にするわけじゃないんだし。』

「はぁ、それでいいけどよ。さっきから名前。お前俺に告白か?寂しいだの、ずっと側にいるだの。そんなに俺が好きか。ああ、というか好きって言ってたな。」

『はい!?いや、ちがくて、仲間としてっていうか!そりゃ、ほっとけないとはおもうけど、んっ、』

「今日は会話で終わらしてやろうと思ったが、ねだられたら仕方ねぇな。」

ねだってない、なんて言葉は続かず口の中を犯される。大体会話で終わらす気あったのか。緩みかけていたチャクラ糸と距離はサソリさんが私を抱きしめたせいで0になった。腰に回された腕が器用にお腹から服の下に滑り込む。手が胸の膨らみに達したところで服が落ちた。何事かと思えばサソリさんの腕からナイフが出ていた。この人服を切りやがった。それ戦闘用でこんな卑猥な事に使うためにつけたんじゃないだろうよ。

『なんてことするんですかっ!』

「いちいち脱がしてられっかよ。自分でやらせてもいいが名前お前チャクラ糸解いたら逃げるだろ。」

『当たり前ですっ。』

「あ、チャクラ糸がついてるんだった。じゃあ、自分で脱げるよな。」

『なにを、やめっ、』

「おー、おー。自分で脱ぐとは随分積極的じゃねぇの名前。」

『良心は痛まないんですかっ、ん、』

「生憎そんなものないんでね。犯罪者相手に何言ってんだよ。」

『最低!能力の無駄遣い、変態傀儡師っ。』

今やサソリさんの思うがままに動く私の身体。自分でブラをとって下のスカートも脱いでしまった。私の言葉にむっとしたのか指をくい、っと動かしただけで私は自分からサソリさんに抱き着いてキスをしていた。その間に胸とお尻を揉まれ、乳首をつねる。逃げたくても逃げれない、恥ずかしいのに顔も背けられない。羞恥心で涙が出た。

「…よく泣くな、お前。」

『誰のせいだとおもってんですかっ、うぁ、』

「自分からキスしてきてそれはないだろ名前。」

『自分で操って、そんなので満足ですかっ。虚しい行為です、ひぅ!』

「なんだったら足開かして、お前が1人でオナってるとこを見てても構わねぇんだぜ。それともこの前くれた男がいただろ。あいつに相手をさせるってのもありだな。いい男っていってただろ。」

『…、』

「…名前、なんとかいえ。会話がしたかったんだろ。」

『してくれないくせにっ。そんなことしたら一生サソリさんとは口をききません。この部屋にも入らず、小南さんたちにお願いしてアジトを変えてもらいますっ。持ち上げといたくせにそんなに私が嫌いなんですか、』

「…嫌いな奴を抱くかよ。」

『…でも好きでもないんでしょう。(多少は好かれてると思ったのに、)』

「好きって言ったらなんか変わるのかよ。名前、お前だって同じだろ。俺を好きなわけじゃない。」

『好きですよ、キスを許す程度には。でもお互い子供じゃないし、犯罪者で忍です。付き合うとかそういうことじゃないでしょう。それにサソリさんの場合はもっと根本的に人の温もりを求めてる様に感じます。』

「もしそうなら、どうするってんだ…。」

『(そんな泣きそうな顔しないで、)…サソリさん。』

チャクラ糸を切って、ベットに連れて行って。嘘でもいいから好きだと言って。優しく、丁寧に扱って。本当のサソリさんのままで、くだらない本音でも弱みでも見せて。そしたら女ってものは抱かれてもいいな、って思うのだとサソリさんにキスをした。強いのに弱い人。外見のまま心も子供で止まってる。素直になれなく、弱さを受け入れず、大切なものはなくす前に作らない。もし彼が気まぐれで求めてくれて、少しでも素直になってくれるのなら。私は抱かれてもいいと思った。私の悲しみも埋めてほしいから。


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