02

リーダーに連れてこられすぐにメンバーと会った。イタチ、とその名を口にすれば彼は珍しく驚いた顔をした。知り合いか、と他のメンバーが言ってくる。知らないふりしとけばよかった。イタチは私が生きていることも一族を殺した理由がばれていることも知らない。もう終わったことだし私も蒸し返す気はない。私は私のやるべきことをやるだけだ。メンバーだって元カノです、なんて言われたってやりずらいだけだ。

『木の葉の抜け忍なので、何度か任務で一緒になりました。だから大蛇丸さんも知っていますよ。名前と言います。戦闘は皆さんに比べれば使い物にならないかもしれませんが医療忍術には自信があります。足手まといにならないようアジトに基本いるように言われてます。なので怪我をしたら部屋を訪ねて頂ければと思います。よろしくお願いします。』

「医療忍者はいればいるだけ助かるだろ。それにこれから仲間集めや計画実行で各自が動く。アジトに1人いた方がいいだろう。」

「まぁな。俺もその方が金集めに集中できる。ここの財布をになってる角都だ。チャクラの治療以外で医療用具に金を使う時は治した奴からもらえ。」

「…サソリだ。俺に治療は必要ない。コンビにさせられなきゃなんでもいい。」

「干柿鬼鮫と言います。医療忍者はありがたいじゃないですか。なにか怪我したらよろしくお願いしますね。」

「私も研究に専念したいから丁度いいわ。それにしても貴方がここに来るなんて運命も皮肉なものね。私は貴方の身体に興味がある。」

『セクハラですよ、大蛇丸さん。』

「僕はゼツ、よろしくね。外に出るときは僕が付いてくから。声をかけなくても名前が外に1人でたら勝手についてくよ。」

『監視しなくても逃げやしませんけど。私は女性の方に会いたかったんですが別のアジトに?ここにはあまりいないんでしたよね。』

「ああ、今度会わせる。部屋とアジトの案内は…、ゼツにしてもらえ。」

「俺がしよう。…木の葉の縁だ。」

『結構です、イタチ。』

「じゃあ私がしましょうか。木の葉の縁なら私もあるでしょう。」

『抜け忍共がなにを言ってるんですか。そんな縁はありませんよ。今後1人で買い出しに行くことも増えるでしょうからゼツさんと仲良くしときたいですし。よろしくお願いします。』

「わかった、ついてきてー。」

【ハヤクコイ。】

「…名前、あとで部屋に行く。」

『来なくて結構です。私とあなたの間に特に話すこともないですよね。今後仲間としての相談ならリーダーを通してください。それにいったように私は戦闘には基本参加しないので話すことはないかと。』

イタチに笑顔で圧をかける。こっちがただの元仲間のフリしてんだから貫けよこの野郎。こいつらなんかあったな、みたいな空気になってるじゃないか。ゼツさんが面白がってるのか地面から出たり入ったりもぐら叩きのような動きをしている。いらっとしたのでよくわからない触覚みたいなやつを掴む。案内お願いします、とこちらにも圧をかければ動きだしたのでついて行く。

「イタチさん、どういうご関係で?」

「…昔馴染みというやつだ。」

「なんでもいいが任務に支障だけはだすなよ。だがお前もそういう顔すんだな。」

「確かに。サソリの傀儡じゃないが表情にでないからな。大蛇丸はなにか知ってるのか?」

「私もとうの昔に里を抜けたから詳しくはないけれど。まぁ、あまり言ってほしくなさそうだから黙っとくわ。睨まないでよ。彼女の事気にはなるけど殺しはしないわ。」

「仲間割れはやめろ。名前の能力は貴重だ。なにかあったら守るようにしろ。」

「ふざけるな、そんな足手まとい連れてくるなよ。」

「仲間以外がアジトに踏みこんだ時点で侵入者だ。名前云々の前に殺すのは普通だろう。戦闘力がないといっても普通の奴よりは強い。とりあえず当面仲間探しになると思うから頼んだぞ。」

ゼツさんにざっとアジトを案内してもらう。二重人格なのか2人で1人なのかよく喋るのと、毒舌なのが会話してて面白い。自室になる部屋に入れば以前唯一の女性、小南さんが使っていた部屋らしく綺麗だった。医療道具も置くのだから清潔感があるのはありがたい。簡易シャワーもついているしここから出なくても生活できそうだ。そんなことを見破られたのかゼツさんにたまにはでなよ、と言われてしまった。

「そうそう警戒しなくても、皆各地に飛び回ってるから。全員が揃うなんてこと滅多にないし。1人きり、ってこともないだろうけど基本ここのアジトには立ち寄る、ってくらいだよ。」

【弱ソウダカラ舐メラレテルヨナ、オ前。】

『その方が私的にはありがたいですけど。ゼツさんは色んな所に行き来できるんですね。リーダーとの戦闘時もいましたよね。』

「やっぱりばれてた?まぁ、移動には時間かかるけどそうだね。なにかあったら呼んでくれていいよ。」

「俺だ、入るぞ。」

「あれ、イタチ。じゃあ僕らはお邪魔のようだし行くね。」

『いいえ、そこにいてください。なにかあれば呼んでいいんですよね。』

【早速スギルダロ。】

「イタチが睨むから退散するよ。仲間探しにも行かないとだしね。」

【ジャアナ。】

肝心なところで使えない人だ。しかしいずれはイタチと話すことにもなるだろう。仕方ないとイタチを見る。数年だが大人びたその顔、背丈。思わず顔をそむけた。彼は私を殺そうとして、裏切った。どんな理由があろうとしてもだ。私はサスケ君に負けた、選ばれなかった。イタチは私を好きなんかじゃないのだ。だから私もあの時の幼い恋心は捨てた。未練はあるかもしれないけど、胸は痛むけど捨てたのだ。

「どうして、」

『どうして生きてるかって?殺し方が甘いからじゃない。イタチが私に何も話さなかったように私だって話してない事があるの。私の能力は医療忍術だけじゃない。生命力が凄いの。それで生き延びた。それから全部聞いた、どうして一族を抹殺したのか。』

「!?どうしてだ。」

『安心してよ、誰にも言ってない。馬鹿みたいだけど私はイタチに裏切られて死んだような生活を送ってた。あんまり覚えてないのだから酷かったみたい。病院に入院させられたけど自殺を図った。まぁ、この生命力のせいで中々死ねなかったんだけど。だから自分で術かけて死のうと思ったんだけど止められて。哀れに思った火影が教えてくれたのよ。』

「…そうか。名前、俺は、」

『なにも言わないで。貴方がどう思って行動したかも、優しい人間かも私は知っている。それで私を殺そうとしたならそれに意味があるのかもしれない。だけど私には好きな人に殺された、っていう事実しか残ってない。あの頃の私は死んだ。貴方が望んでいたように。あの件は誰にも話す気はないわ。だから放っておいて。』

「…そうか。では、これからは仲間としてよろしく頼む名前。」

『怪我したら診るけどそれ以外の接触はお互いのためにしない方がいいわ。周りにも感づかれないためにも距離を置いて。』

「下手に距離を置いたら怪しまれるだろう。さきほどの挨拶の時点で奴らは感づいてるだろ。なにかあったと。」

『イタチのせいだけどね。…普通にしてくれればいい。』

そうか、とイタチが少し笑った。どうして笑うのだ、どうして嬉しそうにするのだ。手を伸ばし私の頬にイタチが触れた。少し痩せたな、と労わるようなその優しい手をはたき落した。こうなったのは誰のせいだ。そんな優しい目で私をみないで。イタチはまだ私を好いてるのだろうか。そんな錯覚に陥りそうで、全然吹っ切れてなくて。そんな自分が嫌になった。



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