イヤホンから流れる

携帯をいじる真剣な横顔と大きなヘッドフォンに流れる黒髪。輝くピアス姿の光はカッコいいが部活をさぼって(つか制服だし)音楽を聞きながら(しかも大音量)携帯をいじっている。どうせブログの更新だ。しかしいいのだろうか部活中だぞ。大きなヘッドフォンはなぜ男の子をイケメンに見せるのだろう、と隣で私はドリンクを作ってその姿を観察中。

もうすぐ私達が引退だというのに時期部長の光はやる気がみられん。サボり現場を見つけて叱らないのはなんだか強制するやり方は彼にはあわないのでは?と思っているから。けして光に何か言って毒舌が返ってくるのが怖いとかじゃないんだからね!

「…名前先輩部活さぼるなんていい度胸してるッスよね。」

『お前に言われたくねえよ。つか私ちゃんとドリンク作ってるよ。粉は溶けにくいんだから振りまくってるから、』

「振り過ぎッスよ。だから先輩のドリンクは不味いんです。」

『お前始めて聞いたはそれ!引退する前に言ってよ!もっと早くいってくれれば改善した!』

「そりゃ初めて言いましたから。」

『お前まじでむかつくなぁ。あ、つかヘッドフォンし直すなよ。おい、音漏れ半端ねえってば!』

大音量すぎて私の声が耳に入ってないのかスルーされる。本当にムカつく奴だ。音漏れする音から聞こえる洋楽のようによくわからない。近いのに遠く感じるというのはこういう事なのだろうか。なんだか寂しくなって横顔を見る。もう卒業かと光のラケットを太陽にかざしてみるとしみじみしてしまう。

『…光は最初全然入る気配ないし無愛想だし皆頑張って笑わせようとしてさー。蔵とか謙也がお前も笑わせえや!とか言ってきたけど私大阪の笑い分かんないし。でも、こうやって続けてくれて光がテニス部引き継いでくれるんだって思ったらなんか泣けてくる。引退、したくないなぁ。』

「…。」

『光はやる気なさそうだけどそつなくこなす器用な奴だしあんまり心配してないけど人を頼らないからなぁ。ま、後は頼んだぞ。っても聞こえてないかー。』

なんだか色々言えてすっきりした。涙は出なかったが込み上げるなにかを落ちるかせるように大きく深呼吸をして立つ。ドリンクをいれた籠を持って歩こうとした瞬間手を掴まれ泡だらけのドリンクが1つこぼれた。やっぱりふりすぎたな、と関係ないことを光の顔を見て思った。

「俺は俺のやり方でやるつもりですけど先輩らの存在は忘れませんし…。部長とかにはなんか言いづらいけど名前さんには言いやすいってか。メールとかするし…、だからそんなぶっさいくな顔せんといてください。」

『ぶっさ!?お前ツンデレにもほどがあるってか、聞こえてたの!?』

「名前さん独り言でかいから。ほら、さっさと部活行かんと怒られますからもうにやにやせんといてください。ほんまうざいっすわ。」

ヘッドフォンをまたし直す光はもう何を言っても無駄だと思うのでほっておく。でもテニス部の未来は安泰だなぁ、と私はるんるんで部活に行く。しかし蔵に怒られたしひとつ落としたせいでドリンクが足りず謙也が文句を言っていたが私は音漏れしていた音を鼻歌していた。これからが楽しみだ。






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