白いマニキュアと彼

シンナーの香りが鼻をつく。彼女がマニキュアを塗る音と俺が雑誌をめくる音以外なにも聞こえない。白いマニキュアをみて百合、と呟く俺にはずれ、と彼女は可愛く笑った。彼女はその日の気分によってマニキュアをかえる。この前は緑で植物園に行くからでその前の紫はナスが食べたかった。赤の時はいやいや試合に駆り出され戦争の時に赤札を貰う気分だとかで赤色をしていた。

「名前の連想ゲームは難しいからあてられないよ。」

『だって連想ゲームじゃないし。ゆっきーは植物園の緑しかあてれないからね。』

「だって赤で赤札とか誰もそんな発想思いつかないだろ。試合と戦争を一緒にしたら昔の人が気の毒だよ。」

『でもゆっきーは私の味方だからいいよ。それに試合だってゆっきーが行けって言ったからで行く気なかったし…。』

「名前のために俺たちの試合は早く終わらしただろ。」

『私がいなくたって圧勝できっと早く試合は終わってたよ。なんだか気の毒だった。ボロボロに負けててむこうの選手たち。』

「ふふ、動きが悪すぎるよね。名前はいい動きだったよ。」

『もう試合には出たくない。』

俺の言うことは素直に聞いてくれる彼女は他の男には懐かない野良猫みたいだ。(女子とは普通に仲いいのに)俺的には嬉しいが勝負を挑まれた部員たちがこっぴどくやられている姿を目にするのは微妙な心境だ。勿論負けた奴はお仕置きだが。

『男は苦手なんです。ゆっきーさえいればOK。』

「そう、ありがとう。で、何が言いたいのかな。」

『宿題見せてくださいまし。あ、勿論マニキュア塗りおわったらだけどね、ああ!上から赤を塗るなんて酷い!今日は白いイメージだったのにっ。』

「名前がそんなに俺を誉めるなんてなにかあるに決まってるでしょ。いい加減シンナー臭いから早くやめてくれるかな。」

『ああ、純白が赤札に、』

「白は降伏の色だからね。」

『笑顔が怖いよゆっきー。さっき言った事は真実だよ。そりゃ宿題も見してほしいけどな。』

「次は植物園カラーがいいんだ。そっかそっか。」

ぎゃああ、といいながら俺の腕を必死につかむ彼女を可愛いなぁ、と思う。俺の愛に染まればいいと赤を白に塗りつぶす。今日のイメージはゆっきーなのにといった彼女に俺は爆笑する。俺が白なんてやっぱり彼女は変わってる。こんだけつるんでたらわかるはずだ。白い部分じゃここまでやってこれない。じゃあ赤は名前で俺と重なったね、と言えば赤くなってまた叫んだ。






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