1ヶ月計画

目の前に風になびく髪からシャンプーの香りが鼻をくすぐる。Z組には授業なんてあってないようなものであり誰もが違う内職をしている。まぁ、例外もいるがそれは地味な山崎とか駄目な眼鏡とかである。その中で彼女も比較的真面目に授業を受けていた。そんな後ろ姿を眺める俺に名前さんは全く気付かない。つーことでアピールしてみるが、

「名前さーん、今度俺と出かけやせんか?」

『え、沖田君と…?なんか用事あったっけ?』

「いや、ただ俺が出かけたいだけ、」

「誰が許すかこのサド!こんなのに近づいたら最後アル。駄目アルよ。」

「なんでお前が出てくんだチャイナ。」

こんな具合に邪魔が入るし放課後話してると土方の野郎が邪魔に来る。どんだけ邪魔がはいるんだ、といらつく。そんな俺に名前さんが困ったようにまたね、と手を振りながら帰っていったのが可愛い。仕方ないから邪魔な奴らへのバズーカはやめてやろう。

「ってなわけでィ姉御。俺らの事応援してくれやす?」

「あら、可愛い名前ちゃんを簡単に渡すとでも思ってる訳?」

「アイス奢りやす。少しでいいんで協力してください。」

「わかったわ。なんか少し怖がってるみたいよ、沖田君の事。」

「なんででィ!俺があんなに優しくんすんの珍しいって土方さんがこの俺を心配するほどだってのにどこにそんな要素があるんでィ。」

「バズーカぶっ放してるから?」

いやいや。俺がそうなら皆どうなるんでさァ。机に突っ伏して落ち込む俺に姉御はいつの間にかいなくなってしまった。どうしようか、と考えていればドアが開く音がして起き上がれば名前さんでびっくりする。でも怖がられてると思うと何にも言えずもう一回寝の態勢に入る。

『あの、沖田君。妙ちゃんに凄い落ち込んでるって聞いて私今まで冗談と思ってたから。それに神楽とよく喧嘩してるからちょっと怖かったし、』

「もうそれ以上喋らないでくだせィ。まじへこむ…、冗談って。」

『わー!ごめん!えっとだからお友達から、』

「却下!ってか今友達じゃないってなんなんですかィ!ただのクラスメイトとかいったらまじロープで縛りやすから。」

『えええええ。』

「…これが本当の俺ですぜィ?恋人なら優しくしてあげやすが友達なら容赦しやせん。どうしやす?」

意地悪く笑って距離をつめると困った顔をしておろおろする彼女が可愛くて。やっぱりこっちのが性に合っている。こんままキスしてやろうかと鼻が触れそうな距離で1本の指を出されきょとんとする。1ヶ月待ってください、と消え入りそうな声で言われる。

「1ヶ月?」

『その間に考えるからだから1ヶ月は友達で、駄目?』

「ふーん、まぁ俺が大人しく待てたらいいですぜィ。そのうちしびれ切らして襲いますんで早めに決断して下せェ。んじゃ、帰りますか。はい、手。」

『…手繋ぐの?』

「名前さんは友達と手つないで帰る事ないんですか?」

『いや、昔はあるけど…。それに男の子と手つないだらそれって、うわ!』

無理やり手を取って歩き出す。今は仕方ないので恋人繋ぎはしないが1ヶ月後には無理やりしてやろう。隣で笑う彼女になんで笑ってるか聞けば沖田君が笑ってるから、と嬉しそうに言う。1ヶ月も待てるかどうか、俺と理性の戦いでさァ。





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