歓迎

なんだかんだで私は真選組に所属する事に。未だに銀時はうるさいし、小太郎だってそうだ。晋助なんて知ったらどうなるんだろうか。…怖いから考えるのはやめよう。とりあえず屯所の部屋を1つ私の部屋にしてもらった。総悟の隣だと色々危ないからとトシの隣になったが、こっちもこっちで色々と不安だ。

「あ、おい。名前。」

『あ、おはようございます。トシ。』

「ああ、おはよう。なんか微妙だよな、敬語と呼び捨って…。」

『でも、上司じゃん。名前で呼べって言ったのはそっちだよ。』

「そういってるが今のはタメ口だ。まぁ、名前が敬語使うのもなんか変だしな。いいぜ、そのままで。」

『まじか。へい、トッシーおは!!今日もマヨラーかい?』

「調子のってんじゃねぇぞ!なんだか総悟に似てきて本当に嫌だわ。似てきたってか素がでてきたのか。これ以上俺の周りにエスはいらねぇ…。あ、名前に頼みたい事があったんだ。」

『お。初仕事ですね。どこでも侵入できるよ。ピッキングもスリもなんのそのー。』

「…真選組で良かったな。お前を敵にまわすのは疲れそうだ。笑顔で言わないくれ。」

『仲間なら心強いだろィ。』

「その口調やめろ。つーか朝っぱらからテンションたけーな…。」

『まぁね。逆に夜は駄目。私9時に寝る子だから。』

「どこの小学生!?それ侵入の時どうすんだよ。」

『仕事の時は頑張って起きてるよ。で、仕事は?変装?ピッキング?情報収集?色仕掛け?』

「…んな事やってたのかよ。いや、違う。総悟起こしてくれ。」

『なんかある意味恐ろしい。凄く行きたくない。』

あの初対面でも俺の奴隷になれよ、みたいな発言をした総悟だ。私にはまだ優しいが日ごろの行いを見ているとな…。寝起き悪い?と聞けば視線をそらしバズーカ撃たれた、と疲れた顔で言うトシ。山崎なんて、と言って口をつぐんだ。何、その沈黙!!ザキに何があった!なんかものすごく行きたくないんですけど。

「お願い。20円あげるから。」

『いらないよ!!20円とかショボっ!!』

「話合った結果名前に決まったんだよ。」

『朝から何くだらない会議開いてるの。ってか私もいれろよ!勝手に決めるとかフェアじゃないよっ。新人いじめか、訴えるぞ!』

「ジャンケンー、はい。名前の負けだ。文句を言わずにさっさと行って来い。これは上司命令だ。」

『なに。真選組はそれでいいの?ジャンケンで物事を決めるなんて。しかもいきなり言われたらパーしか出せないよっ。なんつーパワハラ。むっつりー、パワハラ上司ー。」

「むっつりじゃねえ!いいからいけやっ!」

『わかった、わかった。ただ、何が起きても私は悪くないから。責任は一切追わないのでよろしくね。』

「は?」

ニッコリ笑った私にトシの顔はひきつった。多分嫌な予感を感じたが止めようとしたが相手はあの総悟だ、と思ったのか引き止めなかった。何か起きたら山崎のせいにするから、とGOサインが出た。後ろでザキが切れているがシカトだ。総悟の部屋に行って一応外から声をかけるが勿論返答はない。仕方なく勝手に入ればアイマスクをしている。

『なにこの人をおちょくってるようなアイマスクは。こんなのどこに売ってるんだか。名前ごときこの俺を起こせるかな、ふははは。的な?むかつくわぁ。』

「…想像力豊かですねィ。朝から騒がしいお人だ。」

『あれま。起きてんじゃん。ってか私声にだしてた?あれーいけね、優しく起こすつもりだったんだけどなぁー。』

「わざとだろ。絶対わざとだろ。棒読みにも程がありますぜ。」

『いや、起きたし。結果オーライ?ほら、終わりよければすべてよし的な。さっさと起きてご飯行こう。』

「俺の中で名前は馬鹿な子になりやした。はぁ、おはようごさいまさァ。仕方ねぇから起きまさァ。じゃあ俺は着替えるんで。」

『はい、おはよう。馬鹿な子レッテルは嫌だけど起きてくれたからいいや。食堂で待ってるね。(なんだ案外すんなり起きてくれるじゃない)あれ、なんで私抱きしめられてんの?』

「何いってんでィ。一緒に着替えやしょうや。名前の事も俺が着替えさせてやりまさァ。」

『それはセクハラです。ってか私着替え終わってるし。ねぇ、離してって…総悟?』

「ZZ…。」

『なんだ、寝ぼけてたのか。』

「いや、名前をからかってまさァ。」

『さっさと起きろ。』

懐から小さな小型爆弾をとりだし投げる。勿論自分は逃げましたとも。朝から真選組では爆発音が鳴り響いたが皆いつもの事だからあまり気にしてないみたいだ。ちりちりの家になった総悟を引き連れ食堂に行く。トシが席をとっていてくれたのでそこに座り食事をとっていると重い口を開いた。

「…何やったんだ?」

『私は一切の責任をとらないといいました。』

「じゃあ土方さんが悪いや。ありゃ始末書ですぜェ。部屋が真黒だ。」

「元はと言えばてめーが起きねーからだろ!」

「朝っぱらから犬の餌毎日みれば遅くに起きたくなるんでさァ!」

「関係ねぇーだろォォ!土方スペシャル馬鹿にすんじゃねぇ!」

こういう光景どっかで見たぞ。寺子屋とか寺子屋とか寺子屋とか。他の隊士が気にしてないってっことはこういうのも日常茶判事、って事か。朝ごはん位静かに食べれないものか。静かに、と言っても明らかなため息をついても2人はぎゃんぎゃんいい合っている。いい加減静かにしてくれ。さっきからおかずが下に落ちてんだよ。あ、私のも落ちた。

「俺が馬鹿にしてんのは土方さんでィ!」

「上等だ表にでろォ!!うをっ!?」

『食事中ぐらい静かにできねーのか。あぁ?食べ物粗末にしてんじゃねーぞ。箸で喉刺されたくなかったら大人しくしなさい。』

「すみません。」

「申し訳ありませんでした。」

『わかればいいのよ。喉に箸なんて付きつけてごめんなさいね。あ、観察に入りました名前です。よろしくお願いしますね。』

【スミマセンしたァァ!!】

「姉貴!!今日歓迎会するんで、ぜひ来てください!!」

「えぇ!!歓迎するッスよ!!」

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ。」

なんか皆が必死なんだけど。…私なんかした?歓迎されてやすねィ、とにやりと総悟が笑うがこれ怖がられてない?しかも姉貴呼びって。私明らか年下なんだけどな。なんだか釈然としてない所に退君がボロボロになって食堂へ駆け込んできた。

「副長ォォ!!局長がァァ!!」

「どうした!!山崎!!」

「局長が、…うっ!」

「てめーら出動だァァ!!」

『えぇ!!事件!?問題発生!?』

「名前は山崎を見てろ。ついでに治療してやってくれ。見た所かすり傷ばかりだしな。」

「攘夷がらみかも知れませんからねィ。俺達が様子見てきますんで、留守番頼みやしたぜ。」

『でも、観察とはいえ私ももう真選組の一員だし。足手まといかもしれないけどついて行くよ。やれることならあるかもしれないしっ。』

「すぐ帰ってる。」

「心配しねーでくだせィ。」

『あ、今キュンってなった。』

「まじでか。もう1回、」

「そ、総悟!!行くぞ!」

トシがポン、と私の頭に手を置いてからでていく。総悟が照れてるんでィ、なんてコッソリ教えてくれた。案の定耳が真っ赤になってて可愛いなと思った。横で退君が唸ったので我に返る。肩を貸してゆっくり歩き部屋で治療をする。水を飲ませた所でようやく意識がはっきりしてきたのか事情を聞くと。

『え、それじゃあ。』

「姉御に局長がまたストーカーして、やられて。俺も巻き沿いくらった訳。」

「山崎ィィ!!」

「ギャー!!」

「攘夷とか関係ねぇじゃねぇかァァ!」

「えぇ!!副長が勝手に勘違いしたんじゃないですかァァ!!」

「紛らわしいんでィ。死ねよ、山崎。」

「えぇ!!」

『私のときめきかえせー。』

「山崎に言え。まぁ、何事もなくてよかったぜ。それより隊士服で普段過ごして変装で侵入するのはまずいって話なった。もし隊士ってばれたらまずいからな。だから普段から私服でいいぜ。その方が名前もやりやすいだろ。」

『そうだね。真選組に所属はしたけど他の仕事受ける事もあると思うし。でも退君は?観察だけどいつも隊服でしょ?」

「侵入する時は私服だったりするけどな。別に普通の時でもあれは地味で分からんだろ。」

『ギャー!!あ、近藤さんか。』

「ギャーって…。名前ちゃん、俺は君を全力で守るよ!!」

『は?いきなりなんですか。頭でも打ちました?あ、元々おかしいのか。』

「俺に対して辛辣すぎない!?お妙さんがよろしくってさー。勲頼りにされてるー。」

『キモい。』

「勲泣いちゃうっ。まぁ、歓迎するよ。なにかあったら何でも言いなさい。」

『はい、ありがとうございます。』

「じゃあ、歓迎会といきますかねィ。」

「お前は酒が飲みたいだけだろ。」

「何言ってるんでさァ。その辺のクズ男よりよっぽど仕事はできるし頼りにしてまさァ。俺の仕事もやってるれるなんてありがたいねェ。」

『そんな事言ってないけど。』

「まぁ、まぁ。歓迎しますぜ。」

そっから部屋を移動して歓迎会ならぬ飲み会が開催された。皆さんテンションが高いです。何故かって?始まる前から酒のんでるからだよ。このヤロー。私が部屋入る前から始まってるってどういう事なの。どうですかィ、と隣に座ってきた総悟がお酒を進めてくる。

『総悟君、総悟君。君は未成年じゃあないかな?』

「無礼講ですぜ?堅いことはなしでィ。名前は飲まねーんですかィ。」

『警察がなんちゅー事を。私はいいや、弱くはないけど。って近藤さんが脱いでる…。』

「はい。目に毒だから場所かえようねィ。なんだか歓迎会なのに楽しそうじゃないでさァ。」

『今まで1人で任務する事が多かったから慣れてないだけ。あとは、こうやって酒を飲んで皆で馬鹿やって笑ってると思い出すの。』

「…それは嫌な思い出なんですかィ?あんた寂そうですぜ。」

『嫌な思い出…。』

銀時、小太郎、晋助、辰馬。私たちはもう一緒に会う事は出来ないのかな。あの日の様に銀時と辰馬が馬鹿やって小太郎を苛めて晋助が少し笑って…。私はそんな光景をみるのが好きだった。女だからという理由だけで私は少しづつ皆から離れていかなければいけなかったけど。それでも一番近くでその笑顔を見るのが好きで。強くなって、生きてきた。嫌な思い出じゃない。けど、

「何辛気くせー顔してんだ。」

『トシ。』

「あ、近藤さんが歌いまさァ。」

「総悟もどうた?」

「ゴリラとなんかごめんでさァ。」

「トシィィ!!総悟が反抗期だよォォ!!」

「いつもだろ。」

「名前も楽しんだもん勝ちですぜ。思い出なんかに浸ってないでぱーっといきやしょうや。」

「嫌な思い出があれば上から塗り替えちまえばいいもんさ。もうここが名前ちゃんの居場所なんだからさ。」

「だ、そうだ。こういうのは楽しんだもん勝ちだぞ。せっかくの美人が台無しだ。あの夜の強気な態度はどうした。」

「そうでさァ。姉御ってよばれてるんですからもっと女王のようにふるまっていいんですぜ。」

似ている、あの時と。馬鹿騒ぎしていた幸せな時と凄く。ここが私の新しい場所。今度はちゃんと守れるのだろうか。皆が姉御歌ってくれー!とか色々いってくる。トシが背中を押して、総悟がマイクを渡してくる。近藤さんが一緒にデュエットしようと肩を組まれる。なんだか楽しくって久々にちゃんと笑った気がした。


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