部屋のドアが開く。視線を向ければデビトがいてこれで皆揃った。ぱたりと本を閉じればルカが口を開きおなじみのみせしめが始まった。ラ・フォルツァから順番に呼ばれ切り札のカード、カンツォーネと言われ返事をしカードに視線を移す。今日の討論はなぜ命の短さを黙っていたかだ。これは私が不利じゃないか。でもカードが決めるし仕方ない。
「それでは今宵の罪人をカードで示してください。」
【力】
【人魚】
『…レルミタと私がラ・フォルツァでラ・テンペランツァとラ・フォルツァは私か。ちょうど別れたね。』
「ちょっと待ってよカンツォーネ、レルミタ!今回俺がなにをやったって言うんだ!俺は最後の話し合いのリストランテでラ・ザーニア食べて食べまくっただけなんだけど!」
「それもどうかと思うがよォ、つーか今回はどっちも黙ってたわけだし俺としては今もムカついてるし許せねぇがカンツォーネの場合は自ら俺たちに話した。が、お前はカンツォーネが暴露しなかったらまだ尚黙ってるつもりだっただろうが。」
「た、確かに。言われてみれば。」
「ちょっとラ・テンペランツァ!今更変えないでしょ!だって俺が能力の代償しったのは5年前なんて前じゃないんだよ!?しかも勝手に島をでてこれは絶対今回の懺悔はカンツォーネだからね!」
『黙ってた事は一緒なんだから年数とか関係ないでしょ!?レルミタの言うとおり私が黙ってたらずっと言わないつもりだったくせに!』
「ストップ!ストップ!」
ルカが間に入って止める。今回は2人で懺悔にしましょう、と意味がわからない事を言い始める。なんだその平和論。どっちか決めればいいものを。まぁ、いいと懺悔を認めるとパーチェも黙ってた事は反省してるし、と素直に懺悔を認めた。パーチェが懺悔を受けるというのなら私もちゃんとうけようじゃないか。
『それで、今日の懺悔はなに。みせしめも久々だしなんか楽しみ。』
「おいおい、それじゃあ全然意味がねぇだろうが。カンツォーネの場合いつも罰を与えたってケロッとしてるからつまらねぇんだよなァ。ラ・テンペランツァ今回はこいつをぎゃふんと言わせる懺悔を考えたんだろうなァ。」
「えぇ、勿論です!今度開催されるラ・プリマヴェーラですが今回もカンツォーネは人魚の歌姫としてファミリーの宣伝もかねて歌うわけですが、私が衣装を用意しました!見てください。この可愛い可愛い花とフリル!」
『絶対嫌!!』
「カンツォーネー、駄目だよみせしめの掟は絶対だからねー。いいじゃない!きっとスッゴくファンシーで可愛いよ。お花の妖精みたい。」
「そうだぜェ。普段からは想像つかないほどに女の子らしくなるぜ。くくっ、これは見物だなァ。ラ・テンペランツァの奴もよく考えたな。カンツォーネにとってはあれで歌うのは超屈辱だしな。」
『勘弁してよ…。あんたたち私の年齢わかってんの?お嬢様ならともかく私にはそれは無理。引かれるわ。』
「やっぱりお嬢様に似合うと思います!?カンツォーネがこれを着て歌うのを見てお嬢様も可愛いドレスを着たくなる!同じ物を用意してますからお嬢様に着させてあげるんです。このデザインはお嬢様のためですから!」
『どや顔でなにいってんのよストーカー従者、死ね。』
「結局バンビーナかよ、てめぇは。そこまで考えてみせしめ用意するとか…逆に怖いわ。ないな。」
「カンツォーネはお嬢をその気にさせるおとりな訳?ラ・テンペランツァ最悪。」
えぇ!?とルカがブーイングに驚く。これはルカもみせしめが必要だよね、と私が提案しそれにのる2人。結局デビト以外がみせしめを受ける、という異例が発生した。私たちだけでやるとのってくる奴らばかりで止める奴がいなくて事が悪化する事がわかった。次回は気をつけよう。結局私はあのドレスをきて歌うはめになってしまった。あぁ、死にたい。そもそも偶数でみせしめはやるもんじゃないね。