02
暑い砂漠からようやく帰ってきたらメイドに間違えられた。そっから自己紹介で仲良くなったが私が第二王女だと知って皆びっくりしている。まぁ、この国にいた時は王宮に引きこもってたからね。色々目立ってはいけなかったし、一般人なんんで死んじゃう。死んだ、などの噂が流れてるらしいがもう都市伝説化してるんじゃないか私。なんでそんな事になったか話そうと思ったが皆が神妙な顔をしている。

『んな、暗くなる話でもないよ?』

「いや、ここまでだけで結構重い話だけどな。」

『まぁ、じゃあ簡単に話すけど。あれは姉さんが6才ぐらいの時。それはそれはまぁ、おてんばで?人の言うことは聞かない今と変わらない強気な性格でした。』

「なんで私の話みたいになってるのよ。ってか余計なお世話よ!!」



私が4才ぐらいの時だった気がする。砂漠のため果物や穀物、水など、食料は輸入に頼るギルカタール。そこに米や作物や技術を伝える仕事を父の伯父がやっていた。そして両親が仕事で旅行に行く間だけそこに泊まらして貰っていた。だから私も必然的に付いて行くことになったのだ。

「まさか急に仕事が早まるとは。ごめんね、名前ちゃん。遠い所まで連れて来ちゃって。でも皆家を留守にするからね。」

『ううん、楽しい。』

「そうか、よかった。きっと伯父さん達が帰るときにはお父さん達も帰ってきてるからね。あとね、今から行くギルカタールって所はおっかない人がいっぱいいる町だから伯父さんの傍を離れちゃ駄目だからね。」
 
『うんっ。』

「いい子だ。本当は留守番をさしときたかったけどな。今は伯父さん達の村も治安がよくないからね。まだ幼い君を置いてくのはしのびないんだ。」

『どーいう事?』

「伯父さんと一緒にいたほうが安全と言う事だよ。帰る頃には村の争いも少しおさまってるといいんだけど。」

その頃の私の村は大きくするために隣の村と実権を争っていたのだ。ギルカタールに連れてくるのと村においてくるのは苦渋の選択だったのだろう。国につくと三人くらいの護衛がついた。米や穀物を保管するのは王宮だけではなかったので町の倉庫に保管する事になっていた。野菜などが育たないギルカタールには大事な食料なのだ。なので私達商人は丁重にもてなされた。しかしその倉庫にいく道。人目につかない倉庫の場所に小さな女の子が一人の男に捕まっていた。



『それが姉さんだったの。』

「あの時たしか隠れんぼをしていて遊んでいたんだったな。」

「お嬢ったら狭い道に入るもんだから…。あとから話を聞いた時はびびったぜ。」

「あの時は隠れるのに必死だったのよ。悪かったわね。」

「でもプリンセスには影から何人か護衛がついているでしょう?」

「相手も味方が何人かいて結構強かったのよ。しかも私の首にはナイフが当てられていたから。」

『迂闊に手を出せなかったわけ。それで私たちを護衛していた人も参戦したんだけど敵にやられちゃって。王宮で大人しくしとけばいいのに。』

「一流の殺し屋を雇っていたのよね。あの事件以来外出が厳しくなったのよね。だから私がプリンセスって町の人に隠してる所もあるし。ばれると外に出ずらいんだって。」

『だから出るなよ。それで私たちは影に隠れていたんだけど、伯父さんが敵に体当たりしてね。姉さんの手を引っ張ってそのうちに逃げたの。勿論姉さんがプリンセスなんて知らないし。』

「つまり姫さんは姫さんの命の恩人なわけだ。あー…、姫さんが2人だとややこしいな。」
 
『いいよ、名前で。元々私は普通なんだし。それで、引き取られました。』

「いきなり簡潔ッスね!?」

「その助けてくれたおじさんがなくなっちゃった訳よ。まぁ、普通の人がギルカタールの人に勝てるわけないのよね。」

『それで私は国に帰えれなくなった訳よ。で、王様が可愛い娘の命を救ってくれた小さい少女を見放すわけもなく、引き取られたの。親は?って聞かれていない、って答えちゃったんだよね。今は仕事でいない、ってまだ小さくて言えなくて。私はあんまり覚えてないんだけど気付いたら城に住んでた。』

それも凄い話だけど。まぁ、4才の女の子をほっとくわけにはいかない。国に帰そうとしたらしいが紛争をしった王。そして親はいないと言った私。色々勘違いが交差した結果だ。しかし姉さんはプリンセス。そこに違う子供が入る事は噂になる。一般の家ならよかったが相手は王宮だ。そして王の隠し子ではないか、という噂がたってしまった。

「俺たち知りませんでしたよ?そんなこと。第二プリンセスの噂は聞いたことありましたが信憑性がなかったので本当に噂だけだと思ってました。」

「あなた達がギルカタールの有力者になる前の話ですしね。内密にしていたので。公に公開すると決めるまでは彼女の事は隠す、というのが話し合いの結果でした。」

『国に帰ろうと思ったんだけど噂が噂だったから急に私いなくなると隠し子を認めた感じになるし。そういうのもあったのかもね。まぁ、面倒な事になった訳だよね。』

「王も妃もアイリーンも名前の事気に入ってたしな。可愛い娘を助けた恩人が可愛い子だったってな。お嬢が妹が欲しい、っていったのが決め手だったよな、あれ。」

『すべて姉さんのせいだな。面倒事ばかりもってきて、まったく。』

「悪かったわね!それで王がいっそ第2プリンセスにしたらどうだ、と言って。私は普通になりたかったから普通の妹が、しかも可愛い名前が妹なんて嬉しかったのよ。」 

「命の恩人で養子にとられてプリンセスか。ずいぶん簡単になれたもんですね。これだから王宮の面倒くささは嫌なんですよ。貴方も気の毒ですね。」

『ギルカタールって身内に甘いからね。まぁ、なに不自由ない生活だったけどなんつーかな。まぁ、私だけ余所者というか。でも、私はやっぱり国に帰りたい訳よ。だって私は普通の人間。ギルカタールでは生きれないじゃん?』

「だから国をでたわけっすか。」

『でも一応私もプリンセス。プリンセスが国を出れるわけないからさらわれたとデマを流した。』

「あれデマだったわけね…。私心配したのよ。」

『あー、ごめんごめん。でも死んだってなによ。』

「あぁ。それは8年も連絡なしで帰ってないんですからもう…ね。」

ライルめ、絶対お前の策略だろっ。昔とちっともかわらねぇな。私が眼鏡奪って遊んだこととか怒ってんのか?私は私で普通の暮らしをしていたというのに。生い立ちを話してわかった通り私は本物の王位継承者ではないし幼い頃にここをでてしまった一般人だ。今更お見合いと言われても困る。しかも知らない人いるし。

『もうプリンセスじゃないし私はそれを言いに来たんだよ。私はただの一般市民なので国を継げません。すまん!』

「そんなこと許しませんよ。私達がそれを許すと思いますか?この国に帰ってきた時点でもう運命は決まっていますよ。」

「いーじゃないっすか、プリンセス。普通なんか退屈じゃないっすか。」

『まぁね。でもギルカタールっていう時点で無理っていうか。というか、姉さんの婚約者でしょ。姉さんが結婚すれば国は姉さんとこん中の誰かが納めてハッピーエンドじゃん。あ、もしかして姉さんはもう誰かと結婚してて国を継げないとか?結婚おめでとう。ご祝儀ないや、ごめん。』

「勝手に話をつけないでちょうだい。私は普通になりたいの。だから取引したのよ、ギルカタールっぽいでしょ。25日期間の間に1千万G貯めたら自由の身よ。」

「そしてそれまではこの婚約者候補の中から同行してもらっていいというわけです。お嬢様は名前様よりお強いですが実戦経験はありませんから。」

『…また無茶な取引したね。馬鹿?姉さんは馬鹿?国ぐらい継げよ。』

「嫌に決まってるでしょ。」

「でもなんでプリンセスが呼ばれたんですか?国を出たんでしょう?」

『そうだよ。カーティスの言うとおりだよ。なんで呼んだんだ、このやろー。』

「予備ですよ。お嬢様が取引に勝って自由になったときの跡継ぎとして名前様が選ばれたんです。」

「まぁ、見ず知らずの奴がやるよりはいいんじゃねぇか?名前が継いだ方が。一応第二王女の名前は持ってる訳だしな。」

『いや、タイロン。そんな簡単じゃないでしょ。ってか姉さんが継げばいいじゃん。自分勝手にもほどがある!』

「嫌って言ってんでしょ!!」

『私だって嫌って言ってんでしょ!私はよそ者だけど姉さんは自国じゃないか!っていうか姉さんみたいなのが普通になれるわけない。いい加減目覚ませ、馬鹿!この常識知らず!姉さんみたいなのが普通になって世間でても過ごせる訳ないだろうが!なめんなよ一般人!この国異常なんだからなマジで!』

「ばっ、勝手に国をでてよく言うわ!!姉に向かってその口のきき方は何!」

『そっちこそ勝手に呼び出してよく言うよ!いつも問題事ばっかり持ってくる人に言われたくないんだってば!』
 
「2人とも落ち着け。まったく品がないのは変わらんな。」

「『悪かったわね。男のくせに長髪うざい。』」

はもった私達に姉妹っぽい、とシャークが笑う。こんなとこ似ても仕方ない。というか私みたいな奴が国を継ぐ事に違和感ないのかよ。一時期身内にいたからって。しかし勘が当たっていたなんて。こんな事なら本当に帰ってこなきゃよかった。でも来なかったら乱暴なやり方でどうせ連れてこられてたはずだ。故郷にいなかった私をみつけたのだからやはりギルカタールは侮れない。いや、ライルが侮れないのか。

『…ちょっと待てよ。でも私にも婚約者を紹介したという事は私も取引すればいい訳か。』

「いえ、名前様には結婚するときのために婚約者の方々と仲良くなっていただきます。皆さん知らない方ばかりでしょう?」

『…なに、姉さんはそんなに1千万G貯められそうなの?私は絶対結婚しなきゃいけないのか。私は生きてるって事と結婚しないって事と姉さんの顔を見にきただけなんだけど…。』

「私だって1千万G貯められそうにはないわよ。今だって時間が惜しいんだから。」

『姉さんだって結婚したくないんでしょ?あ、いや別に皆の事嫌いなわけじゃないからね!なんか否定ばっかりしちゃってるけど。』

「わかってますよ。気にしないでください。」

「姫さんと比べると…、やっぱり普通のいい子だよな。」

「…シャーク、どういう意味かしら。」

「すみません…。(殺気が、)」

『…わかった。じゃあ私も1千万G集める!なあに、その顔。いいじゃん。1千万G集めたら私も自由ね。姉さんだけなんてズルいじゃん。』

「でも第二の姫さんは戦えないんだよな?」

『うん、でも皆がいるじゃん。そのための婚約者候補でしょ?危機的状況の方が親密度はあがると思うし皆がどれくらい強いか見るのにもちょうどいいじゃん。仲良くなるっていう目的も達成できるし。』

「でも危険じゃない。」

『姉さん。別に私が取引に参加して支障はないんだからいいじゃない。姉さんも私も取引成功すれば自由。それに姉さんは普通になりたいんでしょ?一緒に国出ようよ。私が姉さんを普通にしてあげる。』

「なんか…、普通になりそうっすね。」

「いいわね!!名前とも過ごせるし普通になれる。普通になっても特にこれといっていきたい場所とか、計画はなかったのよね。」

こんだけ普通になりたい、と言っておきながら無計画。本当に馬鹿なんじゃないの、とため息をつくと叩かれた。だって本当の事だ。でもそのためにはまずお金を稼がなくてはならない。しかしどちらとも自由になったらこの国はどうするのか。知りたいような、私は無関係と突っぱねたいような。そんな事は取引に勝ってから考えよう。そもそも王達に挨拶して私も取引をやると言わなきゃ。

「では名前様も1千万Gの取引を受けるんですね?」

『うん。まぁ、集められなかったら集められなかったらで、皆結婚しようか。誰になるかは知らないけどよろしく、あはは。』

「姫さん…、あんたも十分計画性ないぜ?」

『私の場合考えるのが面倒なんだよね。とりあえず足引っ張ると思いますがよろしくお願いします。』

「任せてくださいよ、プリンセス。」

「僕も出来る限り力を貸しましょう。そういう話でしたから。」

「お前は本当に意味わからない事をやるよな。少しは落ち着いたかと思ったが…。」

『人はそう簡単に変わらないよ。』

「いや、寧ろ退化した。昔はもう少し可愛げがあったぞ。」

だって英才教育とかマナーとかうるさかったんだもん。城から離れたならそんなことする必要はない。自由に生きて好きにする。それなりに色々精神的に強くなったのだ。しかし物理的な強さは持っていない。ここに来る間もモンスターから逃げたり魔法やアイテムを使ってきたのだ。それを考えると初めから前途多難な気がする。1千万Gを25日間に集められるか。まぁ、なんとかなるさ。



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