そういう目で見ていいですか



俺、倉間典人には悩みがある。
別に身長のことじゃない。・・・いや、身長も十分な悩みだが・・・。
まぁ、そのことは今おいといて。
俺の悩みは「円堂監督に子供扱いされる」ことだ。
シュート決めたら頭撫でたりするとこなんて完全子供扱いじゃねーか・・・
嬉しいけどさ、嬉しいけどさ!!!(大事なことなので2回言いました。)
それはまだ、いいとして(よくない)「高い高ーい」って持ち上げるのは・・・!あの時はマジで泣きそうだった。
しかも、監督の横で1年のやつら必死に笑いこらえてやがったし・・・
浜野達には「どんまいっ☆」的なことを笑いながら言われた。笑いすぎて酸欠になって死ねば良かったのに。
「倉間ー?どうした、ボーとして」
悩みの原因、円堂監督がひょこっと現れた。
「別に、ボーとなんかしてません」
「してたぞ」
「してません」
「してたって!!」
監督はちっちゃい子が拗ねるように頬をぷぅと膨らませた。
なんだこの24歳、可愛すぎるだろ・・・!本当に10歳年上かよ。
そんな可愛すぎる24歳の手元にはピンクの飲み物が握られている。
俺の視線に気付いた監督はその飲み物をはいっ!と元気よく渡す。
これは・・・
「・・・いちご牛乳・・・」
何でだよ。何でいちご牛乳なんだ!!
「何ですか、このいちご牛乳・・・」
「倉間って身長気にしてるだろー?だから」
やべぇ、死にそう。色んな意味で死にそう。気にしてくれたことは、う、嬉しいけど、身長のことを言われるとは・・・。
想定の範囲内だったけどさ、だったけどさ!好意を持ってる人に言われるとショックが大きい。
俺のそんな想いもしらず、監督は俺の頭を撫でる。
監督に頭を撫でられるのは気持ちがいい。が、同時に腹立だしい。
あんたはそうやって、俺をいつも子供扱いする。
・・・もし、あなたと同じ年だったら、あなたよりも身長が高かったらっていつも考えてる。
同じ年だったら、俺のことを子供扱いしないだろう。恋愛対象としてみてもらえる可能性はあったのだろうか。
あなたより身長が高かったら、こんな風に頭を撫でられたりしないのだろうか、あなたを抱きしめることができたのだろうか。
この歳の差が恨めしい。この身長さが恨めしい。
そんなことを思って、歳の差や身長差を恨んでも仕方がないんだ。
そんなことわかってるから、仕方がないことだと知ってるから。
けど、せめて、
「円堂監督」
恋愛対象の範囲には入れて下さい。
「倉間?」
今まで頭を撫でていた手を掴み、監督の顔を俺の顔に近づける。
いつも遠くでしか見られない年の割には幼い顔。けど、今は互いの息さえも感じられる程近くにある。
「俺のこと、子供扱いしないで下さい」
唇を近づかせていく。あぁ、どうせあんたは俺のことを子供扱いしてるからなんとも思わないんだろうな。
このまま「子供の悪戯」ってことでキスしてしまいたい。
「・・・キスしちゃいますよ」
抵抗もしない監督に聞こえない程度の声でつぶやいた。・・・照れるぐらいして欲しいんですけど。
それと同時に監督の顔がボッと火が出たように真っ赤になった。
「え、円堂監督?大丈夫ですか?」
なにが大丈夫なんだろう。ってか、今の聞かれた?
「・・・ばか」
監督は俺にむかって小さく言った。
「ばかばかばか!倉間のばか!!倉間なんかもっと縮めばいいんだ、ばか!!」
そう言うと監督は俺から逃げるように明日の方向に走ってしまった。罵り方までも幼い・・・。
「・・・」
あれ、もしかして、これって
「恋愛対象になってる・・・?」
いやしかし、10歳も年下の教え子を好きになるなんて、けどあんなに真っ赤になるなんて、意識されてるのか!?
「監督ー!!待って下さいー!!」
こっちくんな、バカっ!と叫ぶ監督を俺は走って追いかけた。



(監督!そういう目でみていいんですか?!)








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