二十三時、詰まる吐息。
貴方の輪郭をなぞる、夢の中。


『蓮二、』

僕の水槽からは決壊したように水が溢れ出す。

『蓮二!!』

残響する貴方の声と会話しながら襲われる、憂鬱。劣等。

『蓮二、何故俺を避けるのだ』
―避けてなどいない
『いいや、避けている』
―避けてなどいないさ、
『ならば俺の名を呼んでみろ……』

僕を捕らえて離さない、貴方の瞳。
美しくも、忌まわしくも、愛おしい、
その瞳。


『俺の目を見て、俺の名を呼んでみろ!!! 蓮二!!!! 』


貴方は余りにも無知だ。
僕を捕らえて離さない貴方の瞳、
僕は貴方に溺れて、酸欠になって、死んでしまう。

嗚呼、僕は崩壊を望んでいる。


「お前は、何もわかっちゃいないよ、弦一郎」


僕は蟲です。
蠢く蟲です。
貴方を蝕む蟲です。
僕は蟲です。
貴方を蝕む蟲です。

「俺は、」

どうか、逃げて。
今すぐ、一刻も早く。
僕が貴方を汚しきってしまう前に。


僕、は、

「お前を愛している……っ」

貴方の顔が、浮かんでは消える走馬灯のよう。
吐き出したエゴイズムは僕の利き手を汚した。




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