暑い。
日差しがジリジリと音を立てる様に肌を焼く。
少し遠くで鳴るテニスボールが弾む音と部員達の声。
木陰にあるベンチに背を預けてうなだれる、俺。

「あいつら、よくもまあこんな暑さの中で試合ができるのお」

冷やされた保冷剤を額に押し当てながらぼやく。
暑いのだけはどうも苦手じゃ。
否、寒いのも苦手じゃけど。

「なあ? さんぼー」

同じく俺の隣で保冷剤を額に押し当てながらベンチに腰掛けている柳に問い掛けた。
柳は、あぁ、と肯定とも否定とも取れるような曖昧な返事をした。
それがなんだか気に食わなくて、柳の手にあった保冷剤をひょいと取り上げた。
けだるそうに伸びた柳の腕を絡め取って、先まで保冷剤が押し当てられてた額にキスをする。
ひんやりと冷たい額から唇を離すと困ったように笑う柳と目があった。

「ああ、ひゃっこくて気持ちよか」
「よくもまあこんな暑さの中で盛る事ができるもんだ」

そう皮肉られて、デコピンを食らう。
柳から奪った保冷剤を大人しく返して、地味に痛む額に再び自分の保冷剤を押し当てながら拗ねたように俺は言う。

「嬉しいくせに」

柳はまた、あぁ、と肯定とも否定とも取れるような曖昧な返事をして、保冷剤を額に押し当てた。

柳の頬がうっすらと紅潮しているのは、暑さのせいなのかは定かではない。









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