無事に任務をこなしたリオンはエドワードらと共に司令部に戻り、ロイへの報告を済ませた。
そしてやはり呆れ顔をクライサに向けていたロイが退室を許可すると、弟の元へ向かったエドワードと別れ、二人で司令室を目指す。

「さーてと、とっとと帰って家の掃除でもしよっかな」

「お前の机の上、書類凄かったけど」

「それは明日!今日はもう仕事しない!疲れた!」

クライサとは、口喧嘩はよくするが仲は悪くない。こうして会話もするし伴って食事にも行くし、休日には彼女の買い物に付き合うこともある。かといって仲が良いと言うのも何だか癪な間柄だ。
エドワードやアルフォンスのような友人関係とはまた違うが、いなければいないで寂しく感じる人物なのかもしれない。あまり認めたくはないが。

「リオンはこの後も仕事?」

問いに、頷きのみで返す。哀しいかな、この軍国家は三ヶ月前にやってきたばかりの異世界人ですら扱き使うのだ。訓練や有事の出動もなかなか大変だが、要処理の書類の量はサラリーマンの苦労を実感させる。
クライサは御愁傷様、と形だけの同情を見せ(結局のところ彼女自身も同じ境遇だからだ)、また事件だとかで捕まらないうちにと早々に帰っていった。

さすがに疲れた様子で去っていく少女の背中を見送って、仕事場である司令室の扉を開ける。迎えてくれたのは見慣れた顔ぶれの疲弊した顔と、机上に積まれた書類の山。いつものことだとはいえ、溜め息しか出なかった。







嫌になる日常
(これは、定時には帰れないだろうな…)








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