「……さすがに気絶くらいはしたかな?」
下を覗き込むようにしてクライサはポツリと呟く。
「ここの三階から飛び降りて平気な奴だもんなぁ…」
「その上、線路に丸太を三本も置くなんてことをしてみせた奴だ。化け物だな」
「え、丸太三本!?それどうやってどかしたの?」
「どかす時間が無かったからな、燃やした」
「あー…」
「さて」
二人は話しながら歩みを進め、五階から六階に通じる階段の前で足を止めた。
「この上にいるんだな?」
「多分ね」
揃って階段を見上げた。六階。そこには、一連の事件の首謀者、コルトがいる。
「ねぇ大佐。あたし、お腹すいちゃった」
「そういえば、この間言い忘れたが、メインストリート近くに新しい店が出来たぞ。私はまだ行っていないが、君の好きそうな雰囲気だそうだ」
「へぇ、じゃあ帰ったら早速行こっかな」
「悪いが私は付き合えんぞ。事後処理があるからな」
「いいよ別に。かわりにリオン貸してね。四人で行くから」
「君ね……」
「列車で無視されたこと、忘れてないからね」
「……帰ったら、な」
「うん」
やれやれといった風に溜め息をつくロイに笑みを返して、クライサは階段を上り始めた。