ロイの後ろに貼り出された地図の×印をつけられた箇所を、リオンが記憶を辿りながら指し示していく。

「最初に爆破されたレールがここ、次がここ、次はここ…」

線路の他には、軍部の武器発注を受けている工場や運送される荷物を一時的に預けられる倉庫、荷物をそれぞれの軍施設に送る分岐点にもなる貨物列車発着場なども爆破されている。
それで各工場から各支部へ行き渡る筈だった武器のルートはほとんど潰された。

「んで、最近のテロで武器発注が増えて、更にそれは一つの工場から発送される、と」

「ああ。しかし各地の爆破事件でルートから外れた武器は、別の線路へ回され、またそこから別の線路へ…」

そこでロイは部下たちが得た情報の確認をとる。
まず、工場からの武器の運送状況。昨日から今日にかけて、受注分の武器…かなりの量を貨物車両に乗せたらしい。
次に、各地にある倉庫の在庫。ほぼ回収出来たようで、今日列車が通るルートに乗せたそうだ。

報告を聞きながら、リオンが地図の上に残ったレールをなぞる。残る線路は一本。そこを、報告通りの列車が通るなら。
そしてまた、リオンの指が紙面を滑る。

「アルフォンスが泊まった町から東方司令部寄りに人気の無い場所がある。この近くには軍の支部も無かったな」

「それと、数年前廃棄された大きな製鉄工場が今も残ってます。……ここがテロリストたちの拠点と考えられます」

ホークアイの言葉と共に、リオンの指が一ヵ所で止まった。ロイの目が鋭さを増す。

「そこに大量の武器を積んだ列車が通る。廃工場ではテロリストがてぐすね引いて待ってるぞ…!」











レールの周りには、屋根が落ち、壁が倒れてボロボロになりながらもかろうじて建っている小さな倉庫が点在している。その中心に、六階建てほどの高さの大きな工場が建っていた。
上階の外壁は屋根と共に落ちて鉄筋が剥き出しになっているのに、一階には穴も無ければ窓や扉さえも見当たらない。一人の少年によって、片っ端から埋められていったのだ。

「一階に侵入者だ!」

二階から降りてきたばかりの男たちが上階に伝えるように叫ぶが、その数秒後、彼らの耳に鉄板を蹴る音が聞こえてきた。一階に残る最後の穴を外から塞いだエドワードが、建物の外につけられた階段を上がっているのだ。音に気付いた上階の者たちが窓から彼を狙うが、その銃弾はエドワードに辿り着く前に突然生えた分厚い壁に妨げられた。









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