『東方司令部にいる少年らの身内が身代金さえ払えば、旅は再開出来る。連れの身内が1センズもケチらないよう、祈ってろ』

早朝、駅で荷分けをしているグレッグの手伝いをしていたアルフォンスが部屋に戻ると、ベッドの上で眠っていた筈のエドワードの姿が無かった。
アンシーが宿から姿を消したことにも気付き、クライサの部屋を訪ねてみれば、彼女もいない。そしてクライサの部屋に残された紙に書かれていたのが、この内容だった。





第七章





「アンシーのおじさんという人が犯人なのかと思ったんですけど、コルトさんも怪しいと思うんです」

東方司令部の面々に助けを求めに来たアルフォンスは、自分が持っている情報と、列車の中で一生懸命に考えたことを口にする。無駄かもしれないような話でも、ひとまず話してしまうことにした。

「いくら絵が上手な女の子だからって、美術館にあるような難しい絵が載ってる本なんて、普通子どもには買い与えないですよね」

そういった本は簡単にポンと手に入るものではない。あらかじめアンシーがどんな家にいて、何を好きか知っていて用意したように思えた。

「それでコルトさん本人に聞いてみようと思ったら、もういなかったんです」

エドワードやクライサ、アンシーやそのおじさんという人と一緒にいなくなるなんて、怪しい。それでアルフォンスは、彼が共犯者なのではないかと思ったのだ。

「そのコルトって奴は確かに怪しいですな。…今まで誘拐されて戻ってきた子どもたちが言う犯人像はどれもバラバラでしたが…」

「逆を言えば、コルトって奴が子どもに顔を知られないよう、別の人間を使って誘拐を企てたとも考えられる」

顎に手を当てたファルマンの言葉にリオンが続け、視線をロイに向ける。次に口を開いたのは腕を組んだブレダだ。

「アンシーの親は、要求された身代金が揃ったことを犯人に知らせて、金を渡す日時の指定を待っている状態です」

となると、既に次の獲物としてエドワードらに目を付けたのかもしれない。しかし、ロイにはそれが解せなかった。

今までの事件も、アンシーも、みんな六歳未満の子どもなのだ。犯人としては騙しやすいという理由でそういった子どもを選んだのだろうが、そうなるとエドワードらを誘拐するのはおかしい。









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