「ゲイル!何やってんだよ!お前が忘れたっていう銃はこっちで見つかったぞ!」

コンテナの向こう側で別の声がし、三人の前に立つゲイルと呼ばれた男が後ろを向いた。

「あ〜、なんだ、そっちかぁ〜」

そしてそのまま向こう側へ降りようとする。その緊迫感のなさに呆気に取られてしまったエドワードとロイを放置して、クライサは声を上げた。

「こら、逃げんな!」

クライサの声に、ロイとエドワードもハッとして我に返る。ロイはコンテナの向こう側に降りようとしていたゲイルを呼び止めながら、腰に挿した銃に手を伸ばした。

「そこを動くな!」

「おいらは帰るよ〜」

クルリとこちらに振り向いたゲイルはそう言うと、ロイが銃を構える直前にコンテナの向こう側に飛び降りてしまった。

「エド、肩借りるよ」

「あ?……うおぁっ!?」

急いで反対側に回ろうとしたエドワードの肩を踏み台に、クライサはコンテナの上に飛び乗る。だがその瞬間、ドォンと大きな音が鳴り響き、同時に感じた衝撃に少女はぎょっとした。
鉄製のコンテナに、何か巨大な物がぶつかったような音。余韻を残す音がすぐ前のコンテナでしていることにエドワードとロイが気付き、一体何事かと首を傾げた時だった。

「二人とも避けて!!」

「え?」

少女の声が聞こえた直後、目の前のコンテナが傾いたのだ。鉄製で、重く、傾くなど考えられないコンテナが。

「爆弾止めたお仕置きだよ〜っ」

何が起こっているのか瞬時には理解出来ないエドワードたちとは違い、コンテナ上にいるクライサからはゲイルの行動が見てとれる。ゲイルは、なんと、重いコンテナを自分の身体のみで力任せに押し、倒そうとしているのだ。

(なんつー馬鹿力…っ!)

普通、コンテナは大人の男でも一人で動かすことは不可能だ。まして、それを倒そうとするなんて。

今すぐ降りて彼を止めたいが、徐々に傾斜を大きくしていくそこでは上手くバランスがとれない。飛び降りるタイミングが掴めない。かといってこのままこの上に乗っていては、コンテナと一緒に地面に叩きつけられるだけだ。










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