テロリストたちの乗った車が発着場を去ると、ロイはすぐに腕時計を確認した。

「あと七分だ」

「七分もあれば爆弾を止められるね」

「ダメならすぐここから離れるぞ」





第四章





貨物列車の連結部分を乗り越え、レールを数本過ぎた一番奥の列車に辿り着く。
列車に載っているコンテナには、軍の武器や備品を生産している工場の名前が入っていた。

「大佐!この下!」

反対側から列車の下を覗き込んでいたクライサが声を上げる。
彼女と同じように身を屈めると、列車の下部の鉄枠に乗った四角い箱を発見した。

「これわかる?」

「ああ」

爆弾は短時間のタイマー式になっている。時計の下に束になってまとめられている、火薬が包まれているらしい長細い袋が確認出来た。
エドワードとクライサの見ている前で、ロイは慎重にそれを観察する。そして袋に刺さっている導線に手をかけると、躊躇いなく引き抜いた。動いていたタイマーが停止し、三人は胸を撫で下ろす。

「……これ一つの火薬の威力は大したことがないな。全部まとめても、この発着場の一部が破壊される程度だ」

よほど近くにいない限り、怪我人は出ないだろう。
火薬の束を箱から出すと、一本一本にばらしていく。

「テロリストたちは武器を持ってたのに、それで直接誰かを攻撃するでなく、わざわざ爆弾を用意して…」

それさえも威力は控え目だ。テロリストたちが何を考えているのかわからず、エドワードとクライサは首を傾げる。

「あいつらは、ただ世間を騒がせたいだけなのか…?」

「テロリストの残党が集まって、世間を騒がせ、軍に復讐、か…」

ロイも呟きながら、とりあえず火薬を砂利の上に置いた。その顔はどこか納得いっていないようである。
いくつものグループがまとまって復讐、ということでは確かに辻褄は合う。だが、それにしてはあまりに計画的で乱れがなかった。誰かまとめている人物がいるとしか思えないのだが、だとしたら目的がさっぱり見えて来ない。

「この件はもっと調べるしかないな」

暫く思考を巡らせていたロイだが、やがて気を取り直しクライサたち二人に顔を向けた。










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