この発着場は本線からズレており、コンテナ作業が専門に出来るようになっている。
本線から入った貨物列車はここまで来てコンテナを降ろし、Uターンしてまた本線に戻る。
レールは十本。軍用の貨物レールもあり、かなり広い。
「入り口ってどこだよ?」
「ここに入るには、駅構内からか、かなり先の貨物管理所の前から入るしかない」
「けど、そのどっちにも人がいる」
ロイの言葉に、クライサが続ける。
今回のテロでも怪我人を出さないつもりなら、貨物車が並ぶだけの真ん中あたりから侵入するだろう。
「それに、犯行予告を受けて現場に来てからでは捕まらないような連中だよ。今回もかなり手早く逃げるつもりでしょ」
誰にも見られず、呼び止められずに犯行に及ぶなら、兵がウロウロしている駅構内や管理所前を通るとは思えない。だとしたら、やはりこの辺りから侵入するのではないだろうか。
不意にロイが足を止めた。クライサとエドワードもまた、前を走っていた彼にぶつからないよう慌てて立ち止まる。
「大佐?」
「しっ!」
二人の腕を引っ張りながら、ロイは腰を落とした。引かれるままに座り込み、怪訝そうに首を傾げ、前方を見たままの彼の視線の先を追う。
「……見えるだろう?」
少し先の塀の上。白く細い、紐のような布が風に揺れていた。
「怪しさ満点だ」
「そうかな?」
「その辺のボロ布が飛んできただけにしか見えないけど…」
「そうだな。だが…」
ロイは手を上げ、指を自分の眉間に当てる。
「予感、だ。あれは犯人たちの目印だ、と私の六感が言っている」
それは、軍人として多くの出来事を経験してきたからこその予感。
その感覚がイマイチ分からないのか、エドワードは首を傾げていたが、クライサは落ち着いた顔をしていた。
「予感…」
なんとなく、その感覚は分かる。嫌な予感限定だが、的中することが度々あるから。
「私は軍人だからな。確実にこの世に在る物しか信じない」
だが、自分の感覚が自分を裏切らないことも知っている。
「第六感は友達だと思いたまえ。彼らは見えないモノだけれど、一生側にいる、裏切らない存在だ。完璧ではなくても信じる価値はある」