『……ここで緊急ニュースです!またもや当局に犯行予告が届きました!』

「!!」

露店が並ぶ角で、ロイと別れようとした時だった。店先に置いてあったラジオから流れる声が、四人の耳に飛び込んでくる。

『これから二十分後に、七番街にある貨物列車発着場を爆破する。いつものように一般市民には危害を及ぼすつもりはない、とのことです!繰り返します、犯行…』

勢い込んで話すアナウンスに対し、露店に立つ者たちは慌てた様子もない。だが、彼ら同様に事が通り過ぎるのを傍観しているわけにはいかない。
ロイが手元の時計を見るのと、クライサたちが少し離れた所に見える駅の柱時計を確認したのは同時だった。

「あと二十分…ということは、爆弾は止められる。それに犯人もまだ現場にいるかもしれない…!」

走り出したロイに続き、クライサも同様に駆け出した。トランクを近くの露店の人に預けたエドワードも、アルフォンスと共にすぐにロイを追いかける。

「君たちはついて来る必要ない!目的以外のことに首を突っ込むな!」

ロイが怒鳴っても、クライサたちの足は止まらない。

「オレはオレのやりたいようにやるだけだ!」

「あたしもだよ!止めたって無駄だから!」

「一般の人の誘導だけでもさせてください!」

目の前で起きた事件を放っておく三人ではないことは理解している。本当なら彼らを巻き込みたくはないが、これ以上押し問答をしている時間はない。
エドワードたちなら大丈夫だろうと判断したロイは、彼らがついて来ることを許した。

「無茶はするんじゃないぞ!何かあれば私の指示に従え!」

「「了解っ!」」

「はい!」

あと十七分。
駅では、警戒態勢のため立たせていた憲兵が、一般人たちを誘導していた。
ロイは駅の正面に着くと、足を緩めずそのまま右へと曲がった。クライサとエドワードもそれに続く。アルフォンスは誘導の手伝いをするため、正面の階段を一直線に駆け上がった。

駅の正面入り口を右に曲がり、暫く行くとそこは貨物列車の発着場である。露店や人の流れで賑わっている駅前と違い、代わりに平べったい木材を打ち立てた塀が長く続く。塀の高さはちょうどエドワードの身長くらいだ。クライサとエドワードには、中の様子は窺えなかった。









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