(FA/マスタング兄妹)





今年も東方司令部にハロウィンの季節がやってきたようです。

「お兄ちゃんお兄ちゃん、トリック・アンド・トリート!」

「断る」

「ちょっ、断らないでよ!せっかく可愛い妹が抜群に可愛い小悪魔的仮装までしてお菓子ねだりつつ悪戯までしてあげるって言ってるのに!」

「確かにむやみやたらと可愛いが、それとこれとは別だ」

「ハロウィンだよ!?あたしが一年で一番テンションが上がる日・ハロウィンだよ!?」

「そんな万聖節の前夜祭など知らん!!」

「知ってんじゃん!!っていうか何それ!?あたしこそ知らないわ!!」

「とにかく却下だ!ハロウィンなどやらん!黒猫ファッションに衣装替えして出直してこい!!」

「黒にゃんこになったらトリック・アンド・トリートさせてくれる?」

「……百、いや千、いや一万歩譲って、悪戯か菓子のどちらか一方を選ばせてやる」

「イヤだそんなの!悪戯したいしお菓子も欲しいもん!クライサ・リミスクの半分は悪戯、もう半分はお菓子でできてるんだよ!」

「そんな納得いかんものが主成分の妹など私にはいない!!バ●ァリンの方がまだ信憑性があるわ!!」

「あたしよりもバ●ァリンの方が大事だって言うの!?うあぁん酷いよ!酷い兄がいたもんだよ!あんな熱さましと痛み止めにしかやさしさを発揮してくれない錠剤なんかに妹そっちのけで愛を注ぐなんて!!」

「バ●ァリンを蔑ろにするんじゃない!本当にしんどい時、誰より信用できるのは彼らだぞ!どんなに孤独な時でも、彼らだけは味方だからな!やはり頼るべきは薬だ!!」

「何それほんとに酷い!!いいよもう、バ●ァリンとか●ンザとかに看病してもらったらいいじゃない!美味しいお粥も作ってくれるんだろうね!!」

「バ●ァリンの話はもういい!!とにかく、トリック・オア・トリートなら受けて立ってやるから、そこの菓子を持って大人しく席に着きなさい。仕事が一向に片付かん」

「14も離れた妹に大人気ないようこの三十路男!!あたしから悪戯っていう翼をもぎ取るなんて、お菓子っていう片翼だけじゃ飛べないんだよ!?」

「やかましい!!飛べなければ走れ駆けずり回れ!!」

「っていうかいい加減あたしの行動パターンなんて理解してるだろうに、なんでハロウィン仕様のお菓子用意してないの!?信じられない!そこの菓子、ってあれでしょ!?昨日グラマンのじいちゃんが司令室のみんなで食べろってくれたお茶菓子(開封済み)でしょ!?」

「…………」

「急に真面目ぶって仕事再開してんじゃないよ馬鹿兄!!無視するならいっそ最初からしてよ!!」

「おや、どうした氷の?」

「編集点!?なに今までのやりとり全カットする気になってんの!?させないよ!?」

「ああもうやかましい奴だな!いったい何が目的だ!!」

「だからお菓子よこして悪戯させろって言ってんでしょうが!!」

「断る!」

「ああほらループしたぁ!!」





039:片翼の鳥
今日も東方司令部は平和です。





リオン
「馬鹿兄妹の馬鹿喧嘩だな」
【H24/10/25】





index




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -