(桜/総司)





土方さんに頼まれた仕事が早めに終わったので、様子見がてら遊んでもらおうと総司の部屋を覗いてみた。
ら、主は部屋の真ん中で転がっていました。うん、今日はいい天気であったかいからね。日向じゃなくても転がってればあっという間に眠れそうだ。

「あれ、クライサちゃん」

どうやら眠ってはいなかったらしく、総司はあたしに気付くとのんびり体を起こす。

「仕事は終わったの?」

「うん。だから遊んで」

どうしようかな、なんて言いながら笑う総司を眺めながら、あたしは室内に足を進めた。廊下に面した障子戸を閉めて、部屋の真ん中、総司の脇まで歩いていく。
すると、座り込んだままの総司が手を差し出してきた。

「…………?」

とりあえず、その手のひらに手をのっけてみる。
……。
…………。
……………………ん?
これ、まさか『お手』か…!?

我に返って引こうとした手は、一瞬早く反対方向へと引っ張られた。わ、と短く漏れた声。小さな衝撃に目を閉じて、開いた時には既にあたしの体は仰向けた総司の腕の中だった。

「そっ」

「土方さんから頼まれたのっておつかいだったの?」

「え?あぁ、うん、足達屋に届け物…ってなんで?」

「これ」

と言って総司はあたしを抱き締めたまま、髪に顔を寄せてきた。近い。無駄に近い。いや、抱き締められといて近いもくそもないけど。
何かが髪に触れた気配がして、その後すぐに総司は顔を離す。何事かと見上げれば、

「…………」

桜の花びら。
を、唇で挟んでニンマリ笑顔の沖田総司氏。
を、ドアップで見てしまいました。

「…ッ普通に取れ!!」

「あっはは。クライサちゃん、すごく真っ赤」

「当たり前だバカ!!」

けらけらと上機嫌に笑いながらも、総司は腕を緩めてはくれない。はなせ、と腕や胸をぺちぺち叩いてみても変わりなし。

「そんなに怒らないでよ。クライサちゃんが遊んでって言うから、遊んであげただけじゃない」

「誰があたしで遊べって言った!?」

「楽しかったのに」

「アンタだけね」

その後も総司はなかなかあたしを解放してくれず(添い寝してよ、とか言った時のアイツのS顔ホントひっ叩きたい)、夕飯ができたと平助が呼びに来るまで、暫しじゃれあうことになるのだった。……そのじゃれあいを楽しんでる以上、あたしはやっぱり総司にはかなわないんだろうな。





032:砂時計
だから、どうか、まだ





お願いだから
【H23/04/25】





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