(2009.03.09)


勢いをつけて振るわれた刃を左手の剣で受け止め、同時に角度をずらして流す。体格に比例して元々の腕力が違うのだ、まともにぶつかり合っては力で敵う筈がない。
もう片方の剣を持ち上げる前にその背を刃で叩き落とし、体勢を崩した相手の懐に入って体当たりと共に獅子を象った闘気をぶつける。不安定な体勢ながら辛うじてガードした相手に追撃を繰り出すことなく、バックステップでその場を退いた。

「イラプション!」
「げっ!」

それと同時に足元が割れ、地面からマグマが噴き出すのを見てロイドは青ざめた。ほぼ反射的に粋護陣を発動し、その維持に集中する。
その間に、完全に魔術発動のタイミングを読んでいたクライサは地を蹴り、ロイドの横を通り抜けた。風の刃をひらりと避け、新たに紫の術式を展開しようとしていたゼロスの元へ一直線に走る。
振り下ろした剣は盾に防がれ、その向こうからの突きの反撃はもう一方の剣で軌道を逸らす。しかし捻りを加えて再び向かってきた刃を、一度距離をとることで避けた。

「っこらハニー!なにあっさり突破されてんだぁ!?」
「悪ぃ!」

魔術攻撃を凌いだロイドが背後から駆けてくるのに対して、クライサは双剣を一度ずつ振り二つの衝撃波を放つ。相手がそれを避けるのは想定内。ロイドとゼロスの注意がクライサ一人に向いている間、詠唱を終えたジーニアスが術名を叫んだ。

「インディグネイション!!」

な!?と驚きの声を上げる。いくら注意を怠ったとはいえ、こんな短時間で発動出来る術では……ああ、ミスティシンボル装備中でしたっけ。ロイドとゼロスはすぐさま回避体勢をとるが、術の標的に気付いて目を見開く。今にも巨大な雷が落ちてこようとしている円の中心には、彼らのどちらでもなく、クライサが立っているのだ。
回避を促すことも助けに入ることも出来ないまま、閃光と爆音に近い大きな音と共に雷が落ちる。顔の前で両腕を交差させ、ぎゅうと目を瞑って衝撃を凌いだ。

「「!?」」

光が収まり目を開けると同時に飛んできた剣に、ロイドとゼロスはぎょっとした。慌てて自分の剣で切っ先を弾き叩き落とすが、瞬きする間もなく懐に飛び込んできた影に対応が遅れる。離れた位置で剣を握り直したロイドが表情を変えるが、助けに走る時間は無い。
長い赤髪を縫うように、細い、しかし鍛えられた足が首の両側を通り過ぎた。そのまま腿のあたりで挟まれ、ぐいと強い力で引かれたかと思えば、目の前には地面。

「おぶふっ!!」
「……あーあ」
「あたしたちの勝ちだね。向こう一週間、料理当番よろしく!」
「ちぇー、しょうがねぇなー」
「クライサ、ナイスファイト!」
「ジーニアスもナイスアシスト!」
「…ゼロス、生きてるかー?」
「……微妙…かも…」






index




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -