朝起きて身支度を整えたら、洗濯機を回して、その間に朝食の準備に取りかかる。水を入れたヤカンを火にかけ、冷蔵庫から卵を取り出し椀に割る。それをかき混ぜながら塩や醤油で味付けし、フライパンに流し込んだら同じ椀にまた卵を落とす。こちらは砂糖を多めに入れて少し甘めにしたものだ。コンロが塞がっているうちに、今度は冷蔵庫の野菜室からレタスやキュウリを出し、流しに放り込む。手早く水洗いして適度な大きさに切り、白い器に載せたら、昨日使ってまだ残っていたカニカマを細かく裂いて上に散りばめた。ごくシンプルなサラダだが、家族はこういったもののほうが好きらしいので、手の込んだものは滅多に作らないことにしている。

「いい匂いだな」
「あ、おはよ、父さん」
「おはよう」

二種類の卵焼きとサラダをテーブルに並べている間にロイがダイニングに入ってきた。時計を見る。いつもの休日より少し早い起床だ。
食パンをトースターに詰め込み、その間に沸かした湯をポットに移す。食器棚を開けながら、玄関から新聞を持って戻ってきたロイを振り返る。

「ああ、今日はコーヒーにしようか。ミルクを一つ入れてくれ」
「インスタントでよろしいでしょうか?」
「構わないよ」

くすくす笑いを耳にしながらコーヒーカップに手を伸ばす。チン、という音が聞こえた。トーストを一枚ずつ皿に移し、また新たに二枚をトースターに入れる。冷蔵庫からマーガリンと手製のストロベリージャムを取り出し、二枚の皿と一緒にテーブルに並べると、廊下からこちらを覗き込んでいる人影を見つけた。

「エド、アル」

どこか不安そうにこちらを見上げる少年たちに、ロイが苦笑する。クライサは首を少し右に傾け、こいこいと手招きした。招かれた少年たちは些か挙動不審気味にダイニングに入り、彼女の元へ駆け寄る。クライサは二人と目線を合わせるように膝を曲げた。

「おはよ。よく眠れた?」

こくんと頷く。

「それじゃ顔洗いに行こうか。あ、その前にお父さんにおはよう言って」
「「おはようございまーす」」
「ああ、おはよう」

二人の手をそれぞれ繋いでダイニングを出ようとすると、兄弟が足を止めてこちらを見上げた。何かあったかと首を傾げると。

「おはよ、ねーちゃん」
「おはよう、姉さん」

クライサは目を瞬かせた。しかしすぐに笑みを浮かべ、

「おはよう、二人とも」


マスタング家の朝






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