(2012.10.21)


麻倉「千鶴、千鶴!あれ見て、金魚すくい!」
千鶴「わあっ!」
土方「おい、待てお前ら、あんまり二人で先行くんじゃねぇよ」
沖田「そうそう。僕たちの目の届く範囲にいてくれなくちゃね」
千鶴「あっ、はい、すみません…」
麻倉「はーい。んじゃ、責任持ってちゃんと見といてくださいよ。ほら千鶴、行こっ」
千鶴「え!?あ、待って、クラちゃん!」
土方「ったく、あいつは…」
沖田「まぁ、いいじゃないですか。クライサちゃんも、一応僕たちから離れすぎない範囲で動いてるんですし。二人ともあんなに楽しそうなんだから、あんまり水差しちゃ可哀想ですよ」
土方「…ま、そりゃそうだが」
沖田「土方さんの心配もわかりますけどね。今は千鶴ちゃんもクライサちゃんも、浴衣着てるから刀差してないし。何かあった時、あの子たちだけじゃ心配ですからね」
土方「……麻倉なら素手でも何とかしそうだが、それはそれで心配だな」
麻倉「あ、見て見て千鶴!千本つりの景品、新選組のみんなの人形だよ!」
千鶴「風間さんたちの人形もあるけど…」
麻倉「うわ、ちっさくても可愛くないね、あの馬鹿鬼」
千鶴「あはは…」
麻倉「土方さんも総司もイチくんも、みんな可愛いな〜っ!あれだよね、腕にくっつけて歩きたいよね、だっこちゃん人形的な」
千鶴「そうだね。平助君も原田さんも永倉さんも、みんな本当に可愛らしい…」
麻倉「あたし、総司の人形欲しいなぁ。千鶴は土方さん?」
千鶴「えっ!?」
沖田「……なんか楽しそうですね、二人とも」
土方「ああ……何話してんのかわかんねぇけどな」
沖田「先刻から、出店覗くたびにきゃあきゃあ話してますよね。いいですね、女の子たちが楽しそうに笑ってるところって」
土方「…………」
沖田「我ながら、左之さんみたいなこと言っちゃったなぁ…って、どうしたんです?急に黙っちゃって」
土方「いや……年頃の女に男の格好を強いてるってのは、酷なことだなって改めて思ってたんだよ」
沖田「へぇ。鬼の副長さんでもそんなこと思うんですね」
土方「そりゃあなぁ…」
千鶴「あの的屋さんの的、すごく狙いづらそうだったね…新選組の皆さんとか、猫ちゃんの絵が描いてあるんだもの」
麻倉「型抜きもやりづらそうだったー。なんか、もし失敗して型が割れちゃったらっていう緊張感が半端なかったよね」
千鶴「積み木に描かれてた絵は可愛らしかったね。いつ崩れちゃうかってドキドキしたけど」
麻倉「そうそう!バランスとってるようなポーズがだいぶ間抜けだったけど、すっごく可愛かった!あの積み木欲しいなぁ」
土方「…随分楽しそうだな、お前ら」
千鶴「あっ、ごめんなさい!土方さん、沖田さん。私たちだけ浮かれてしまって…」
土方「いや?お前ら眺めてるだけで、俺たちも楽しめたよ」
麻倉「やだ土方さん、覗きなんて最低ですよ?」
土方「なにが覗きだ馬鹿野郎」
麻倉「それはそうと、あたしたちばっかり遊んでちゃ勿体無いでしょ。ほら」
沖田「うん?なに、クライサちゃん、その手は」
麻倉「つなぐの!もう、こんな人混み歩くんだから、手つないでくれなきゃはぐれちゃうでしょ!」
沖田「……手、つながなきゃダメ?」
麻倉「なんだ不服かコノヤロウ」
沖田「ん」
麻倉「……なに?」
沖田「僕の腕に掴まってよ。ほら、もっと身を寄せて?せっかくクライサちゃんが浴衣なんて珍しいもの着てるんだし、この状況を楽しみたいじゃない」
麻倉「……それもそうだね」
沖田「クライサちゃんならそう言ってくれると思ったよ。…じゃ、土方さん、千鶴ちゃん。僕たちは向こうを回って来ますんで」
麻倉「あ、総司!あの飴細工見たい!買って!」
沖田「はいはい」
土方「…………あいつらは、まったく…」
千鶴「あはは……」
土方「とりあえず、俺たちも行くか。何か欲しいもんがあれば、遠慮なく言えよ?」
千鶴「あ…はい、ありがとうございます」
土方「…………」
千鶴「……?あの、土方さん?」
土方「なんだ、お前は腕、掴んでくれねぇのか(にやり)」
千鶴「!!!!(赤面)」






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